憑羽に寄す:十七 貴い血の娘
ルチアが井戸の傍らに座り込んですぐ、イスラは腰から携行灯を外した。ごく小さく絞って火を入れる。
ゆらゆらと動く灯りから顔を上げれば、向かい側で、ルチアが膝を抱いている。金色の髪がぼやけたぬくい橙の灯りを重ね塗りされて、陰影がちらちらと細かく揺れている。
頭のかたちに沿って編み込まれた髪は、なかば解けかかって、頭の片側に房を垂らしたままになっている。金糸の房の端々に、棘めいたほつれが飛び出している様は、硬質な破片が並んで突き出しているようにも思われた。
硝子でできた宝冠