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老いについて思う–父のこと④【Rika's Subject】

老いについて思う–父のこと③の続き)

そして母と同じく父に対しても交錯する


微毒な親 では、母に対する「定まらない感情」を書いた。
父に対しては、違う意味での「定まらない感情」がある。

1日も早く死んで欲しい。
以前、ある運命鑑定の人に「父上は77歳ごろに亡くなる」と言われたことがある。それを言われた時は「ああ、そうだろうな」と思った。「失礼な!」とは微塵も思わなかった。

77歳までのカウントダウンをして心待ちにしている自分もいる。
父じゃない父はもう目の前からいなくなって欲しい。
これ以上、母を泣かせないで欲しい。

今年の夏頃、父は3ヶ月連続で体重が毎月3キロずつ減ったことがあった。胃ガンの再発かと慌てていろんな検査をしたが、結局どこにも異常は無かった。
日頃「『もうお父さん早く死んで欲しい』って思っちゃうわ」とこぼしている母は大層安堵していたが、私はその結果を聞いて安堵するどころか落胆した。「ガンならしょうがない」と、惜しまれて綺麗に死んでいってほしかった。

1日でも長く生きていて欲しい。
ときどき、子どもの頃のことをふと思い出す。
昔住んでいた家。階段を登ると2階の子供部屋が揺れる家。
うちはいつまでもクーラーも車もシャワーも無かったけど楽しかったなぁ。
私のしたいことは何でもさせてくれた父。
父が生きたいと思っているのなら生きていて欲しい。
たくさん働いて燃え尽きたのだったら、あとはのんびり過ごしたらいい。
それよりも、あなたがいない世界が来るのがつらい。


今年もお正月は実家に戻るつもりだ。
その時、また少し筋力が弱ってできないことが増えた父を見て、
私はどっちを思うんだろう。

父の老いを踏まえて…


実家に帰れば、目の前に究極の半面教師がいる。
リタイア後に、仕事もボランティア活動もせず人と関わることが無いと、お前も30年後にはああなるんだぞ。そう言われているようだ。

私は死ぬまで働くつもりだ。
勝間さんの本でも、仕事は最強のアンチエイジングであり、一生働ける仕事を選べとある。
それ以前に私はたくさんの馬を養わなきゃならないから何が何でも働けないと困る。(引退競走馬のこと

元気なシニア達はだいたい好奇心が旺盛で、新しもの好き・新しいことを始めるのが好きな人が多いように思う。私は以前から新しもの好きだったから、そこはクリアできそうだ。
あと、健康はともかく死守しなくてはいけない。

今まで自分の老後なんてあまり考えたことが無かった。
おひとりさまゆえに、自分が死んだ後に遺された人のために、「なるべく物は少なく」とか「銀行口座とかID・パスワードの整理をしとかなくっちゃな」とかは考えていたが、「自分が老人になった時にどういう姿になっていたいか」という観点では考えてこなかった。

そういう意味では父に感謝している。
私が70歳になった時は、穏やかな人格で、今と変わらず働いてお金を稼ぎ、人と馬たちの役に立っている小綺麗な老人であればいいなと思っている。(了)

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