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UX研修で感じたユーザーの視点に立つことの難しさ

こんにちは!
スタジオディテイルズのチーム4989、新卒の小久保です。
普段は名古屋オフィスで活動をしている私たちですが、入社後2ヶ月間、ディテイルズとグッドパッチ合同でのUX研修を受けていました!
自分の振り返りを目的に、その時の学び・気付きをまとめたので、ご紹介できればと思います。


UX研修とは何か

この研修では、UXデザインを模擬クライアントワークを通して体験し、仕事内容について学びました。UXデザインとはユーザーがサービスの利用を通して、いい体験を得られるように設計することです。
先輩デザイナーから座学で講義を受けてから実践するという流れで、こまめにフィードバックをもらいながら学ぶことができたのがいい経験でした。


ジュニアUXデザイナーの学習を支援する
新規サービスの立案

今後、グッドパッチが開発予定の学習サービスを新卒メンバーで2チームに分かれ、提案を行うという内容でした。
私たちがこの課題のために行った、ユーザー・ビジネス調査→分析→アイディエーション→ユーザー検証→アイディアブラッシュアップ→プレゼンテーションの流れを記していきます。


ユーザー・ビジネス調査

ユーザー・ビジネス調査とは

まず、UXデザイナーは、案件内容を理解するため、調査を行います。
・ビジネス調査
クライアントに対し行います。
目的は、会社や事業の目指す未来を理解・共感し、共通の判断軸を持つためです。
・ユーザー調査
サービスの対象となるターゲットに対し行います。
目的は、顧客を理解し、潜在ニーズを顕在化するためや、インサイトを見つけるためです。

潜在ニーズとは、「質問をすれば引き出すことができる思い」で、インサイトは「消費者本人が認識していない感情や思い」ですので、インタビュー後の分析で明らかにしていきます。

今回はインタビュー形式で調査を行いました。他にもアンケートを実施するなどの調査方法もあります。

インタビューでのポイントは
・5w1hで具体的な経験を聞き出す
・行動・感情の裏にある思考・価値観を引き出す
・インタビュイーが使う繰り返しの発言に注意し、そこを深掘りする。

です。曖昧な発言を見逃さないように注意していきます。

実践してみる

この研修課題では
ユーザー:UXデザイナー歴1〜3年目のUXデザイナー
クライアント:グッドパッチ
ですので、それぞれの対象となる社員にインタビューを行いました。

ビジネスインタビューの様子

インタビューの結果、デザインの教育の現状やジュニアUXデザイナーの悩みについてリアルな声を聞くことができました。しかし、次の工程の分析でインタビュー内容を整理していくと、私たち名古屋チームとインタビュイーとの言葉の認識の差に気が付いたり、調査の深掘りがなかなかできていなかったことに気付かされました。
曖昧な言葉に反応できる能力は、先輩方には慣れが必要だとアドバイスをしてもらいました。次回インタビューを行う際は、言葉に敏感に反応し、答えを深掘りする事で行動・感情の裏にある思考を聞き出せるようにしたいです。


分析をする

分析とは

分析は散らばった情報をわかりやすく整理し、物事を多角的・複合的に捉えることです。
この分析が、次の工程であるアイディエーション※の際の基準となります。 
表面上の発言ではなく、背景にある価値は何か捉えることがアイディアを作る際に重要となるので、全体像を意識しつつ詳細な理由と原因を行き来して本質を探ります。

※アイディエーションについては後に説明します。

実践してみる

まずはインタビュー結果を短い文章で書き出していきます。
後にそれぞれの発言の互換性を探し、「過去の事例をみることで、解決方法を導いた」は「これまで得た知識を実務でどう反映させるかを明確化したい」から、のように因果関係・相関関係を明らかにしていきました。

他にも整理した結果、「ジュニアUXデザイナーは人からの評価が欲しい」というインサイトを導き出しました。
このように、「どうして?」「要するに?」といろいろな角度で捉えながら、インタビュイーの発言の互換性を明らかにすることで、大きな思い・小さな思いに整理することができ、ユーザーをより知ることができるのが、大きな気付きでした。

振り返ると、より情報を見やすくした方が、後のアイディエーションのワークで新しい発見を得ることができたのではないかと思い、今後は視覚的に整理することを意識したいと思います。
その後、私たちはユーザー像を明確にすべく、分析結果を踏まえたペルソナを抽出し、ターゲットとなる人の悩みを整理していきました。


アイディエーションをする

アイディエーションとは

アイディエーションの範囲は人によって考えが異なるとは思うのですが、今回の研修においては、
①土台を作る…現実と課題を整理し、そのギャップから課題を立て、課題に対し仮説を立てます。
②発散する…プロジェクトの目的や状況、チームやクライアントの特性に合わせて手法を選んでアイディアを発散します。
③伝える…テキストにしたり、ストーリー形式でまとめたり、チームの共通認識を作るために可視化します。
④選ぶ…ユーザーニーズ・ビジネスインパクト・事業の未来・コストなどの判断軸を元に、アイディアを選びます。
以上、4つの工程を指します。

UXデザインにおけるアイディアとは、課題を解決する手段で、理想と現実を埋める物です。
①の土台作りの中でペルソナの悩みの裏にはどのようなニーズがあるのかを仮説することがポイントで、ここで本質的な仮説をたてることができると、いいアイディアを生み出しやすくなります。
仮説を立てることができたらアイディアを発散し、チームで伝え合い、選んでいきます。

実践してみる

ペルソナを元に、現実・理想・課題・仮説という土台を作ってから、アイディアを発散し、似たアイディアをグループ化していきます。そこからチームで話し合い、アイディアを2つに絞りました。
今回はアイディエーションの工程の③伝える④選ぶを、時間をかけて行えませんでした。ですので、次回は伝える時に可視化させることを意識したり、選ぶ時に判断軸を設定していきたいです。


ユーザー検証をする

ユーザー検証とは

ユーザー検証とは、導き出した仮説を確かめるために行い、検証によって仮説を軌道修正したりブラッシュアップすることを目的としています。二つの方法を紹介します。
・ユーザーテスト
ユーザーの抱えている課題が仮説と一致しているか、またはアイディアが課題への解説策として受け入れてもらえるかチェックします。
・ユーザビリティテスト
実際のプロダクトを用意し、使いやすいか機能性をチェックします。


実践してみる

グッドパッチのジュニアUXデザイナーにアポイントメントをとって、ユーザーテストを実施しました。アイディアに対して理解度・共感度・使用したいか・新規性・魅力度を五段階で評価してもらった後、評価について深掘りをすることでヒアリングを行います。
今回、検証を実施するための資料作りでは、4コマ漫画風に内容を紹介して、検証対象者に内容を伝えました。ここで検証者にいかにリアリティを感じてもらえるかが、アイディアの評価を引き出すための重要なポイントだと感じたので、資料作りに次回はもう少し時間をかけたいです。

検証した結果、私たちの考えたニーズがユーザーのニーズと少しずれているとわかりました。
2案の中でユーザーテストから好印象と評価をもらった部分を組み合わせることでアイディアブラッシュアップを行いました。
本来はこの後にもう一度検証を行うべきですが、今回は時間がないため省略したので、心残りです。


プレゼンテーションをする

プレゼンテーションとは、効果的に聞き手に説明する為のものです。
UXデザインについて10日間で学び、最終的にクライアントであるグッドパッチのUX unitに所属している4人の先輩へ未熟ながらもサービスを提案するプレゼンテーションを行いました。

そこで提案へのFBを受け、自分達がコスト感をおさえていなかったことや、ユーザーが受けられる学びの質の度合いについての考えが弱かったことなどを指摘してもらいました。
・コスト感について
自分達の提案を受注してもらえるかの判断の一つに費用があるかと思います。例えば過去の案件のプレゼンテーションの資料を先輩に見せてもらうなどの工夫をすれば、研修でコスト感を踏まえた提案ができたかと思います。
・学びの質の度合いについて
ユーザーがどんなことをやるかは十分考えたのですが、それを教えるのは誰で、どんな学びを得られそうか、をはっきりと提案の中で伝えることができていませんでした。例えば、「どんなすぐれた講師がいるか」「ユーザーはどのレベルまで成長できるか」などを設定すると、提案の魅力が上がると思います。
ビジネス的な視点で提案を捉えていただけたので、これから私もその視点を養っていきたいです。


模擬クライアントワークを通して

私は大学のグラフィックデザインについての学習の中で、サービスの立案も行ったことがあったのですが、外装のデザインが学びの中心だったので、このように内面的な要素を注視することは初めてでした。
過去にUXデザインの手法を学ぶことができていたら潜在ニーズや、インサイトに目を向け、全く違うアイディアを生むことができていたと思い、グラフィックデザイナーにも十分に必要な知識だと感じます。

UX研修では特に、ユーザーの視点に立つことの難しさを感じました。ユーザーから求められているだろうと考えたものがユーザー検証で思うように良い反応がもらえなかったり、クライアントの要望を受け入れすぎて、ユーザーには響かないものが完成してしまうことがあるかと思います。
今回は時間がなく、ユーザー調査を2人にしか行えませんでしたが、時間がなければインタビュー形式ではなく、アンケート形式で実践する、などの工夫をして、さらにユーザーの視点に近づくことができればと思います。

感想

スタジオディテイルズでは、UXデザイナーの役割は主にディレクターが行うと思うので、この研修のおかげでディレクターの仕事を理解しながら一緒にお仕事に励むことができます。また、研修で学んだロジカルに物事を捉える思考法を意識して、私もデザイナーとして活動していきたいです。
10日間のUX研修で、視野が広がりました。ありがとうございました!


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