見出し画像

「夏の庭 The Friends」(1994)ネタバレあり


基本情報

真夏の神戸を舞台に、ワンパクざかりの男の子3人と老人との交流を描くドラマ。湯本香樹実の同名児童小説(福武書店、新潮文庫・刊)を原作に、「お引越し」に続いて相米慎二が監督。脚本は「夢二」の田中陽造、撮影は「ワールド・アパートメント・ホラー」の篠田昇が担当。主演の小6トリオはオーディションにより選ばれた。94年度キネマ旬報日本映画ベストテン第5位、同読者選出日本映画ベストテン第8位。1994年3月12日より大阪・京都・神戸先行公開。-eiga.com

ログライン
人が死ぬところが見てみたい3人の小学生は近くの一人暮らしの老人を見張りはじめるが、その老人と交流を深めるうちに大人の世界を経験していく。

ストーリー
・人が死ぬところを観たいからおじいさんを観察する、というパンチの効いた出だし。その中でだんだんおじいさんと交流していくのがよい。そして仲が深まったところで唐突に訪れる別れがなんともいえないカタルシスを生んでいる。
・自分のお父さんについて毎回違うことをいう眼鏡。そして実際にはお父さんは再婚して別の娘もいるという、ストーリーを動かしていく彼のエネルギーの元とさみしさをうまく表している。
・お父さんについてからかわれて怒るメガネや、人が死ぬのを観たいなど、どことなくスタンドバイミーを連想させる雰囲気。

演技・演出
・出だしの土砂降りの中でのサッカーのシーンはよい。相米監督は雨を多用する。(台風クラブ、ションベンライダー)
・戦争で妊婦を殺してしまった話など、子供にとって過激な戦争体験が語られるが、子供の無邪気である種の残酷な好奇心はサラッとそれを聞いてしまう。
・そんな子供たちがおじいさんが死んだときには泣きわめき、ぶどうを食べさせようとするところはとても胸を打つ。
・土砂降りの夜、家に迷い込んだ蛾を見て、おじいさんが「誰か死んだやつが挨拶に来たのかもな」というのはスッと入ってきた。演技のなせる業か。

撮影
・橋の上を歩くメガネは見ててとてもハラハラする。相米監督はそういう演出が多いと思う。(ションベンライダーの橋から飛び降りるなど)
・ションベンライダーや台風クラブのような長回しとはまた違った、スローズームを使って優しくキャラクターを追いかけるようなカメラワーク。
・撮影は篠田昇。病院のシーンは花とアリスのような光がふわっとした見せ方。

好きだったところ
・スイカを切るために包丁を研ぐところ。

自分だったらどう撮るか/盗めるポイント
・おじいさんと子供たちをすぐに交わらせず、かといって対立させるわけでもなく、徐々に距離を近づけていく。
・経験の少ない子役にはとにかく走る、水をかけるなど動きをたくさんつける。

画像引用元:https://exsior-magazine.jp/gardencolumn/movie003/

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?