スタジオ共作所

スタニスラフスキー・システムを基にした”韓国式演技法”を日本俳優を通して具現化する事を…

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スタニスラフスキー・システムを基にした”韓国式演技法”を日本俳優を通して具現化する事を目的とした団体です。

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  • CHE の考え

    スタジオ共作所の主宰であるCHEの日本俳優・演技に対する挑戦と失敗

最近の記事

日韓俳優演劇 『かもめ』 私と役との出会い

こんにちは、私は CHE です。 現在、チェーホフの『かもめ』をもとに、俳優と役の関係を探求した劇を制作中です。この作品をどのように分類すればよいか悩んでいます。試演?ドキュメンタリー劇?ポストドラマ?既存のカテゴリに当てはまらない新しい形式の作品です。 ドラマの核となる葛藤は、異なる二つの要素が衝突するときに現れます。内と外、個人と他者、男性と女性、親と子、東洋と西洋、右と左、そして日本と韓国など。世界は異なる方向を持つ要素が葛藤し合いながら変化しています。そして、俳優

    • 皆に送る手紙 by NA

      こんにちは、Naです。 ”れんれん、あけちゃん、うえさま、みよしちゃん、りっち、りかちゃん、たける、なっちゃん” 大切なマッコリチーム。 そして ”こうへい、こうしろ、たいせ、なんぶちゃん、みさと、ゆきの、あけみ、みちこ” チャミスルチーム、 そして両チームを行き来したリキ、えーちゃん、 行政的な仕事と通訳を手伝ってくれた李さん、ギフン、ワークショップの過程をじっくりと記録してくださった瀧田さん、 このワークショップを企画してくれたチェまで、今あそこの日本にいる友達へ。 も

      • (SORA・英香) 手紙 5回目

        SORAさん アンニョンハセヨ。 寒くなりましたね、お元気でお過ごしでしょうか。 私はSORAさんの率直なお手紙をとても嬉しく思っています。 俳優同士が本音や思いを打ち明けたり、自分の演技体験をじっくり考えて話すという機会はなかなかないような気がします。私にとってとても貴重な機会です。 SORAさんがとても近くにいて、パジャマでおしゃべりをしているような、 そんな気分でこの手紙を書いています。 SORAさんは『カモメ』4幕のニーナの演技が残念だったと、当時を振り返って話し

        • (SORA・英香) 手紙 4回目

          こんにちは、エイコ。 私の返事が遅くなりました。 ごめんなさい。 前回のお手紙をいただいて、ずいぶん前に演じた『カモメ』と『童僧』について改めて考えてみる時間でした。 大学時代、俳優として多くのことを学んだ公演が二つありました。 当時、私には難しくて大変な作業でしたが、学びも大きかったと思います。 私は『カモメ』でニーナを演じましたが、今考えても4幕での私の演技がとても残念だと思えます。 エイコの手紙をもらって『カモメ』4幕のニーナのセリフが思い浮かびました。 もう一度4

        日韓俳優演劇 『かもめ』 私と役との出会い

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        • CHE の考え
          2本

        記事

          (NA・利貴) 手紙 2回目

          利貴さんへ。 こんにちは、利貴さん。返事がずいぶん遅くなったでしょう?いろいろな作品に参加することで少し忙しかったです。同時に学校の講義、そして色々な行政の仕事に苦しめられて時間がありませんでした。心を落ち着かせて、利貴さんに言いたいことを書ける余裕がなかったですね。すみません。 ご了承ください。 私が働いている大学の学科には演出、企画、制作、編集を勉強する日本人留学生が何人かいますが、幸いに私が指導教授である学生も4人ほどいます。 最近この学生たちと会って韓国俳優の演技

          (NA・利貴) 手紙 2回目

          (NA・利貴) 手紙 1回目

          ナギョンミンさんへ ギョンミンさん。こんにちは!私は大月利貴です。 一度Zoomでお会いさせて頂きました。1月のWSがとても待ち遠しいです。直接お会いできることを心から楽しみにしております。ギョンミンさんの事はこれから、NAさんと呼ばせてください。NAという言葉は私にとって宇宙を連想させるようでかっこいいです。NASAのように。 私の事は利貴でも利貴さんでもあるいは、力道山などどんな呼び方でもOKです!これから宜しくお願いします。 実は一緒にzoomでのミーティングをし

          (NA・利貴) 手紙 1回目

          (SORA・英香) 手紙 3回目

          SORAさん アニョンハセヨ。 お手紙いただきありがとうございます。電車に乗っている 時にチェさんからメールで受け取りました。うれしくてドキドキしました。 すぐに読みたい気持ちでいっぱいでしたが、帰宅してしっかり環境を整えてからゆっくり 拝見しました。 SORAさん、私の手紙を丁寧に読んでくださってありがとうございます 。SORAさんの誠実さや包み込むような優しさに感激しました。 「SORA」という呼び方、気に入ってもらえてよかったです。 (でも実は、「雪花」さんというお

          (SORA・英香) 手紙 3回目

          K-ACTING WS 紹介

          CHE 初めまして。 私は韓国で俳優や演技講師として活動してきたCHE(チェ・ギュファン)と申します。 長年にわたり映画やドラマで培った知識やスキルをまとめ、独自の演技方法論を作りたいと思い、2020年に来日し、日本の俳優を対象にワークショップを行っています。私が外国人の目から見た「演技における日本俳優の現状」には独特な社会的な背景があると感じました。 日本俳優 「既存の形にとらわれて、漠然としたイメージを表現すること」は、演技初心者にとって陥りやすい罠ですが、特に日本

          (SORA・英香) 手紙 2回目

          こんにちは、中村英香さん。 チェ·ソルファです。 送ってくださった手紙を拝見させて頂きました。 手紙を通じて演技のお話しができるので、わくわくして期待感を抱いてしまいます。 率直な手紙を送ってくださってありがとうございます。 SORAという名前も気に入りました。 イギリスでしばらく過ごした時も私の名前の発音が難しく、友達が言いづらそうでした。 「ソラ」は呼びやすくて、私の名前の発音に近いので、日本でワークショップをしている間も「SORA」と呼んでもらえると嬉しいです。 そし

          (SORA・英香) 手紙 2回目

          (SORA・英香) 手紙 1回目

          崔雪花(SORA)さま  はじめまして、崔雪花さん。 今回、K-ACTING WSの講師として日本にいらっしゃるという事でとても嬉しく思います。お忙しい中このような機会をいただきありがとうございます。 私は中村英香と申します。スタジオ共作所でチェさん、大月利貴さんと演技について追求しています。雪花さんは(以後、親しみをこめてSORAさんと呼ばせてください)チェさんの大学の後輩だと伺っています。 学生時代から今日まで様々な演技経験をされてきたSORAさんにとって日本俳優と交

          (SORA・英香) 手紙 1回目

          「K-ACTING」を通して우리(ウリ)を体験したい!

          こんにちは、私はスタジオ共作所でスタニスラフスキーシステムを中心に演技方法論を模索している大月利貴と申します。日本人であり俳優をしています。 スタジオ共作所は韓国俳優であるチェ・ギュファンさんが主宰として立ち上げた団体です。私は共作所で2年ほど演技訓練をしています。 なぜ、日本人俳優である私が韓国的演技に興味を持っているのか? その理由は、韓国のドラマや映画を観るたびに私はロマンを感じます。ロマンとは大富豪になることや、夢の国にいきファンタジーな生活をすることではありま

          「K-ACTING」を通して우리(ウリ)を体験したい!

          人の心を惹きつける魅力「K-ACTING」

          ※日本人俳優の演技の傾向 1. どこかで見たような??演技。 今まで見てきた俳優の演技をトレース。それが無意識的に染み付き演技の傾向として定着。紋切型。 2. “自然な演技”と言われる演技。 自然な演技とは何か。雰囲気芝居と評される演技。 ボソボソと小さな声でセリフを言う。 3. 俳優の個性が過剰に感じられる演技。 俳優自身のキャラクターが強く影響力もあるが、役とかけ離れた技巧が目立つ。 4. イメージ先行の演技。 イメージした役の感情を表現しようとする。相手と

          人の心を惹きつける魅力「K-ACTING」

          日本式演技の相対的解釈「K-ACTING」

          日本俳優は自分の仕事に「具体性」を持つべきだ。 そのためには、自分の中にシステムを確立することが必要である。 故に、韓国式演技を通して、日本式演技を相対的解釈等を用いれば、見出すことができる。 そう信じている。 ー具体的と抽象的ー 私が何の仕事をしているのかと尋ねられ、俳優と答えると、大体返ってくる言葉は、 「すごい」「台詞を覚えるのは大変でしょう?」「事務所はどこ?」「役になり切れるの?」 「華がないとやっていけないでしょう」「売れたらサインしてね」。だ。 ここに、俳優

          日本式演技の相対的解釈「K-ACTING」

          混ぜるから美味しい「K-ACTING」

          私になぜ韓国演技が必要か? 韓国演技を通してどうなりたいか? それには主に2つの理由がある。 1. 他者と交流したいが、自分が否定されたり傷つく事を恐れて消極的になったり迷う自分から、今ここで何をするか明確で具体的な目標を持つことで余計な迷いや思考から解放される自分になる。 2. それぞれの物事をそれぞれに線引きし一辺倒の演技や解釈になりがちな自分の考え方が、線引きを消し、混ぜる事で多角的に物事を捉え新しい価値を見出す自分となる。 では

          混ぜるから美味しい「K-ACTING」

          現れる自分「K-ACTING」

          私に日本人俳優に韓国式(的)演技(K-Acting)が必要な理由 スタジオ共作所でチェさんや皆さんとワークを始めて1年が経ちました。 私はスタニスラフスキーシステムをベースとしたペペデ、一人エチュード、二人エチュード、動物 観察、ガラスの動物園の公演を体験しました。 その中でチェさんは「相手・役を通して自ずと現れる自分という存在」について繰り返し言っていたことを思い出しました。 私はその「現れる自分」を極端に恐れています。 自分を曝け出すことか

          現れる自分「K-ACTING」

          関係性を線で繋げる「K-ACTING」

          日本の俳優が、韓国式(K-ACTING)に触れる利点について。 最近では、メソッド演技、マイズナーほか海外式のアクティングテクニックを学んできたコーチが日本にもそれを伝えるワークが開催されております。 様々なテクニックを学び、自分自身に落とし込んで様々な活動の場でどう活用していけるのか。それが一番必要な事であり、自分のメソッドを築くという事が俳優にとって理想的だと思います。 私自身も「生涯かけて自分のメソッドを築いていく」という事が非常に重要だと感じていて、撮影現場で、

          関係性を線で繋げる「K-ACTING」