見出し画像

外国語学習コンテンツとして「ネイティブ向け教科書」が熱い件

野本響子さんが、外国語学習を続けるためのコツとして「自分にとって楽しいコンテンツ」を見つけることの重要性について書いていました。

これは外国語を勉強している人にとって、本当に大切なことです。仕事などで必要に迫られて外国語を使う人以外は、自分から能動的に学習素材を探していかなければいけません。しかし、興味が続くくらい楽しく、かつ自分のレベルに合っているものはそうそう転がっておらず、自分にとっての「当たり」はなかなか見つかりません。

僕自身、中国語学習者としてこの素材探しには苦労しています。いまどきは素材自体はネット上を探せばいくらでも見つかるのですが、逆に選択肢が多すぎて何から手をつけていいやら、となります。ドラマや映画なんかも今は動画サイトにごまんとありますが、それこそ自分にとっての当たり外れが大きいのでそうそう簡単には選べません。

そんな中、最近自分にとって超優れた学習用コンテンツを見つけ、ハマっています。それは、現地の学校で普通に使われている教科書です。

写真は、こちらの標準教科書を出版している人民教育出版社による、語文(国語)の教科書です。写真は1年生と2年生のものだけですが、中学生までの語文の教科書は全部買いました。そのほかの教科についても少しずつ買い揃えています。

以下、ネイティブ向けの教科書で外国語を学ぶメリットを挙げてみたいと思います。

メリット①発見があり、単純に面白い

まず、ネイティブ向けの教科書を開いてパラパラめくっているだけでも「ネイティブはこんな順番で勉強するのか」とか「意外と難しいことをやるんだな」とか、いくつも発見があり、知的好奇心が刺激されまくります。

たとえば、語文の1年生向けの教科書を開いてすぐに出てくる文章はこんな感じ。

右上に「识字」(識字)とあるので、文字の勉強からということになりますが、のっけから意外と難しい字を勉強しているんだな、という感じです。

というか、そもそも「真っ先にピンイン(発音)から練習するんじゃないんだ!」という部分に驚きを隠せませんでした。第二言語として中国語を学ぶ場合、何はなくともまず発音の練習から始まります。1ページ目からその違いに感動です(ちなみに、ピンインは20ページ目くらいになって初めて登場します)。なんかもうこれだけで面白いな、と思います。

学習の進め方だけではなく、内容そのものも面白かったりします。たとえば国語の教科書に載っている物語の内容などからは、なんとなく中国が大切にしている倫理や規範のようなものが見えてきます。まさに「文化」を学んでいる気がします。

さらに語文以外にも歴史の教科書や、先頃日本で話題になった「習近平思想の教科書」なんかも仕入れて読んでいるのですが、それこそ日本にはない発想で書かれていて超面白いです。このあたりはいずれ別のnoteで書いていきたいと思いますので、楽しみにしていただければと思います。

教科書で学べば、楽しい上にnoteのネタが見つかるのです。

メリット②自分のレベルにあったものがわかりやすい

もう一つ大きなメリットは、教科書は当然ながら学年別にレベルを分けて書かれているので、自分がどのレベルにいるかがすぐにわかることです。

例えば僕の場合、どの教科でも小学生向けまでは割とスラスラと読めるのですが、中学生向けになるとかなり読み進めるのが遅くなります。今の僕の語彙力はおそらく小学校高学年レベルなのだな、とわかります。

そのため、今は小学校高学年向けの教科書を読みながら力をつけ、中学生向けを読めるように学習を進めています。

こんなふうに「次のステップ」がわかりやすいのも、教科書から学ぶメリットかも知れません。

メリット③安い

これは在住者、かつ中国限定のメリットで他の言語学習には当てはまらないかもしれませんが、中国の教科書は安いです。

たとえば小学校の語文の教科書は、1冊で10元(180円)もしません。1学年につき上下巻があるのですが、たとえ小学校の全学年分を買っても12冊で100元程度。日本円で2,000円もしません。それでこれだけの学びが得られるのであれば大満足です。中国では公共交通機関など公益性の高いものはまだまだ安いので、その恩恵と言えます。

ちなみに日本でも買えないもんかな? と思いAmazonを調べましたが、なんと一冊3,200円で売っていました。定価の20倍くらい。どういう市場原理でこうなるのか驚くべき値段です。やはり安く買えるのは在住者特権だったかもしれません。

ある程度その言葉を学んできた人の「2周目」向けかも

ただ、教科書を使った勉強は必ずしも万人に向けたものではない、というか多くの人には向かないものだとも思います。

中国の教科書は本来、半年をかけたカリキュラムに沿って書かれたものであるため、読み物としてどんどん読み進めるようなものでもありません。本来の目的にあわせた使い方ではないため、例えば1年生の国語の教科書を全部読んだからと言って、必ずしも1年生並みの実力がつくわけではありません。

また、ネイティブの学習方法は必ずしも第二言語学習者に対しても適切とは限りません(ってゆる言語学ラジオで言ってました)。あまり慣れないうちから、ネイティブと同じだという理由でその学習法に飛びつくのは正解ではないかも知れません。

ただ、すでにある程度その言葉を学んできて、仕入れるべき知識が頭打ちになってきていたり、次に何を学んでいいかわからないと感じている人にとって、ネイティブの教科書は「2周目」として最適な素材じゃないかな、と思います。これまでに学んだことを、もう一度別の観点から整理し直せるという意味で、とてもいい刺激になります。

とりあえず僕はしばらく中国の教科書をひたすら通読します。何かまた発見があったらnoteに書きますのでお待ちください。

いただいたサポートは貴重な日本円収入として、日本経済に還元する所存です。