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こんな時だからこそ考える「希望とはなにか?」ということ

どう考えてもおかしいと思うことが、一部の中では「おかしい」とさえも言えずにまかりとおっていく。

新聞記事やソーシャルメディアの投稿を読むたびに、そんな現実が、日々、当たり前のように起きていることを思い知らされる。

そういうニュースに接して「それは、おかしい!」と声をあげることも大切だが、声をあげるだけあげて、せいせいしている場合でもないだろう。

こういう時だからこそ、「希望」をもって、日々、自分ができることをやっていくときなのかもしれないなと思い、以前に読んだ『5年後の自分を計画しよう ー 達成する希望術』のメモを引っ張り出してきて眺めていた。

この本には、いまのような不確実な時代にこそ持つべき「希望」の本当の意味がまとめられている。

まず、希望とは何かという話し。この本では、希望について、次のように定義されている。

将来について胸躍るようなことを考えながらも、目の前に立ちふさがる難題にも気づいている状態だ。希望を抱くとは、そういう状態だ。
(出所:『5年後の自分を計画しよう』31〜32ページ)

希望とは「楽観」ではない。将来の可能性を考えながらも、そこに到達することは簡単ではないことを自覚している状態を「希望」と定義している。

だから、楽観にもとづいたポジティブだけを求める「願望」と「希望」は違う。本書では「単なる願望は精神的なファーストフードだ」とまで言って戒めているが、なぜ安易な願望を抱くのがよくないのかを、次のようにまとめている。

希望は願望に勝るということだ。人が希望を抱くとき、将来について大いに期待すると同時に、期待どおりの未来を手に入れるために乗りこえなければならない壁もはっきり見えている。つまり、行動する準備ができているのだ。いっぽうで、願望は努力を蝕むこともある。願望を抱くだけでは、つい受け身になって、目標をかなえるのがむずかしくなる。
(出所:『5年後の自分を計画しよう』31〜32ページ)

ここに出てくるように、希望を持っている人は、単に「未来はこうなればいいなぁ」と思っているだけではなく、その希望を実現するための困難さも自覚しながら、「そこにどう到達するのか?」という行動も念頭に置いている点が特徴だ。

この「行動も念頭に置いている」という点が、この希望の定義の大事なところ。

この定義を踏まえて、この本では希望に満ちた人たちが考えていることとして、次のことを紹介している。

・未来は現在よりもより良いものになる
・自分にはその未来をつかむ力がある
・だが、ひとつとして障害がない道はない
・目的地への道は何本もある

新しいのは一番最後の点。

行く手にはいろいろな障害があるとわかった上で行動をしても、うまくいかないことがある。しかし、ここにあるように「目的地への道は何本もある」と思い、ほかのやり方を試してみるのを忘れないように。

そして、最後にとても大事なこと。希望は伝染するという話しだ。

希望の効用は成功や個人的な幸福だけではない。希望に満ちた人はあふれる希望を人に分けあたえ、人の人生もよりよいものにする。あなたのあり余るほどの希望の一部を人に分けあたえて、個人的な希望を誰もが利用できるようにしたら、どんなことが起きるか想像してみてほしい。みんなにとってとりわけ大きな問題を解決して、社会をよりよいものにする文化や気運を生みだそう。
(出所:『5年後の自分を計画しよう』235ページ)

ここからわかるように、希望を持って行動をすることの影響は、自分だけにとどまることではない。それはほかの人にも伝わるものなのだ。

希望を持ち、できることから、少しずつ行動を起こしていく。楽観することなく、かといって「自分ができることはたかが知れている」と悲観することもなく、小さいかもしれないその行動が、自分だけではなく、周りの人にも伝わることを願って、日々、自分ができることをやっていくことが、より善い未来をつくっていく最善の方法ではないだろうか。

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Photo by Jan Tinneberg on Unsplash

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