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上海の角のアパートがシンメトリーで美しい

アパートが綺麗ならどうだと言うのだ。でもちょっと見てほしい。

戦艦のような様相

上海市淮海中路の交差点に建つランドマーク的存在の「武康大楼(Wukang Mansion)」。上海有数のSNS映えするスポットでもあり、休日にはカメラやスマホの撮影者で賑わう。

これ、アパートなのだ。家賃は各部屋の面積によりさまざまだが、15〜50万円が相場となっている。ちょっと家賃高めだが人気もそれなりに高く、オールド上海ファン憧れの住居となっている。住まいを休日に撮られまくることになるが、それも数ある魅力のうちのひとつなのだ。

武康大楼(Wukang Mansion)

ハンガリー・スロバキアの建築家ラースロー・ウデックによってデザインされ、上海の旧フランス租界地域にある1924年に完成した建築物、今でも保護されている歴史的なアパートだ。数年おきに外装の補修などは行われているが、再来年でなんと築100年となる。

反対面も同じ造り

交差点に面している角を頂点に、細長い三角形の形状をしており、正面から見ると丸みをもたせた角を中心に、左右に同じ形状が広がってゆく。

上空からの形状


私の中で「アパート」といえば、二階建てで正面に廊下と玄関と洗濯機、側面に階段が配置された○○荘という看板のジ・アパートなのだが、この武康大楼がアパートと知った時には強烈なギャップでジ・アパートが音を立てて倒壊してしまった。荘と大楼じゃ規模が違う。

私の中のジ・アパート


武康大楼ほどの派手さはないが、今回はそんな美しい角のアパートをいくつか紹介しようと思う。




密丹公寓(Midget Apartments)

武康大楼から北東へ500m進んだ武康路×湖南路の交差点の角に建っているのが「密丹公寓(Midget Apartments)」。このエリアは歴史的建築物が多く保存されている。

台形からのシンメトリーが美しい

1931年、フランスの建築設計会社Leonard, Veysseyre & Kruzeによって建てられた。残念ながら内部に入ることはできないが、螺旋階段やモザイクタイルなど、現在でもクラシカルさは当時のまま保存されているとのことだ。


当時はひさしがプリティー

写真引用元:2021年尾逛逛湖南路(下)


休日になれば1階の角で営業しているスムージー店は、喉の渇きを癒す撮影者達で大賑わい。撮影するならスムージー客のいない朝がおすすめ。

そこだけポップでかわいい




麦琪公寓(Magy Apartment)

復興西路×烏魯木斉中路の交差点の角に建っているのが、丸い形状のベランダが特徴の「麦琪公寓(Magy Apartment)」。

円形から広がるシンメトリー

1936年、こちらもフランスの建築設計会社Leonard, Veysseyre & Kruzeによって建てられた。このフランス租界エリアは、ただ散歩しているだけで当時の建築物が目に飛び込んでくるので、キョロキョロしながら歩いてしまう。いつでも車にはねられる。

ポツンと一軒アパート

写真引用元:麦琪公寓

現在では周りに市場や花屋など庶民の生活を支えるお店がずらりと並び、ベランダからもどことなく生活感がただよっているが、完成当時は周りに何も無く、デザイン性の高い建物がニョキっと生えていただけだった。




白赛仲公寓(Boissezon Apartment)

先程の丸みのある麦琪公寓に対して、スパッとまっすぐ直線的なのが、同じ交差点に位置する白赛仲公寓(Boissezon Apartment)だ。こちらも平面的なベランダをセンターに、角から二つの路地へ流れるシンメトリーさが美しい。おのずと消失点が見えてくる。

迫力ある電線
二人はお隣さん

1933年、フランスの建築士アレクサンダー・レオナルドの設計により完成。こちらもまたフランスの建築設計会社Leonard, Veysseyre & Kruzeの仕事だ。このエリアの美しい角のアパートはほぼ同社が手がけている。



これらの建築物はどれもアパート、つまり他人の住居スペースなので、残念ながら自由に出入りして中を撮影するのが難しい。また、現在上海はロックダウン中なので、街歩きどころか自由な外出もできない状態だ。

上記の理由で今回は4つのアパートだけの紹介となり、取材も浅くなってしまったが、また自由に出歩けるようになったら、交差点の角に立って頭上のアパートを眺めたい。


上海は生活エリアが魅力的

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