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本棚ーなんども読むnoteー

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読みながら涙が出たnote、ニヤニヤが止まらなかったnote、誰かにおすすめしたいnote。本棚に並べておきたいnoteたち。
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2020年4月の記事一覧

【小説】次の春もあなたとともに

 「ごめんね、すーちゃん」  幼い頃、お母さんにそう言われたことだけは覚えている。その後も何か言っていた気がするけど、その時の私には難しかったのだろう。何についてかは記憶にないし、とにかく大泣きしていたことだけが頭の隅っこに置いてあった。桜の花びらが舞う記憶と一緒に。 ※  この春、私は社会人になった。地元の大学を出て、就職を機に東京で一人暮らしをすることになった。地元の会社なのに、東京での仕事の方が忙しいらしい。本社での研修もあるので、定期的に実家には帰れる。何回も伝

ほんとうの友達ってなんだろう?

友達ってなんだろう? カンタンにSNSで人とつながれるこの時代。Facebookなんて「友達リクエスト」というのがきて、「承認 or 削除」で、どちらかをポチッとクリックで決まってしまう。 でも本来、友達って、二択で決められるようなものじゃないよな。 ほんとうの友達と書くと「じゃあ、うその友達って、なんだ?」という話になる。きょうは、僕の中で「このふたりは、ほんとうだなあ」ってしみじみ思った話、させてもらっていいですか? そんなに長くはなりません。どうか、最後までスクロ

僕らは何を失って、何を失わずにいられるか。

近頃、ひとつのモノが世の中を賑わせている。 もはや、世の中がそのモノ一色と言っても過言ではないだろう。 そして思う。 きっと、今回の事で、多くの事が変わるんだろう。 良くも悪くも。 確かに、いつの時もそうやって、僕ら人類は過去のやり方を変えて、今まで生き残って来た。 その時に応じて。 もし、それを人類としての進化というのなら、進化論のその先に、僕らは何を子孫に残したいか?を考えるべきだと思う。 今回の事で、僕らの「今まで」の多くは失われるかもしれない。 また

「未来のチケット」発行とゲストハウスを取り巻く状況

COVID-19、いわゆる新型コロナウイルスの影響でいま宿泊業界、飲食業界は困窮しています。追って説明をしますが、僕たちも大きな損失を被っています。 同時に、この状況を少しでも好転させる、または収束後の未来につながるアクションが少しずつ出ていますね。未来に使える宿泊券や飲食チケットのサービスも生まれ始めました。 僕は東京と京都で4軒のゲストハウス・ホステル(現在は全店営業自粛中)を運営するBakpackers' Japanという会社を経営しているのですが、僕たちも宿泊券と

黒いおでんと、不安を飲み込んだ夜のこと【#記憶に残る呑み屋 01 高円寺「空き屋」】

2015年の4月。就職と同時に上京することになり、22年間住んだ地元の京都を離れ、人生で数回しか訪れたことのない東京という街が私の拠点になった。 はじめての街、はじめての一人暮らし、はじめての会社勤め。不安と緊張と期待と高揚感が複雑に入り混じり、慣れない生活をとにかく1日1日「こなす」ことで精一杯な毎日が続いた。休日になっても、自分の中では疲れを取ることが優先され、なかなか東京の街を探検する気にはなれなかった。 そんなある日、同じく就職を機に上京した大学時代の先輩から、こ

ぼくが失いたくないもの。

まるで、きょうの東京の空のような。 なんて凡庸な書き出しでお茶を濁すくらい、気の滅入る月曜日だ。土曜日と日曜日、ぼくは note を書かない。書くのは就業日だけ。そういうルールでこの5年以上、更新を続けてきた。昨日も、そして一昨日も、ネットにはほとんど触らず、犬ばかりに触れ、こころはずっと平穏だった。 けれどもこうして月曜日がやってきたわけで、これから5日間、またぼくは毎日なにかを書く。気が重いなあ、と素直に思う。執筆中の本に書きたいことはわんさかあふれてくるのだけど、こ

父が男として息子に伝えたい事。

さっき、三歳の息子を寝かしつけながら、息子にいつも通り「すきよ」って言ったら、息子も「すきよ」って返してくれた。 そういうシステム。そういう教育。 もはや、そこに意味なんてなくていいくらいだ。 息子的には、もはや、そういうルーティンなんだろう。 父ちゃんがこう言ったら、僕はこう返したら、父ちゃんご機嫌。 今、例えようとして、こういうのなんとかの犬って言うよなって思って「パブロフの犬」と「フランダースの犬」が瞬時に出てきて、こりゃ、パブロフだろうなと思って、調べたよ