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作者の雑記〜スキな3曲を熱く語る

noteさんが「スキな3曲を熱く語る」というものをやっているらしいので元バンドマンといつまでも言っている痛々しい中年が立ち上がった。
というか立ち上がってみた。
私のインスタグラムをご覧いただいている方はご存知かと思いますが基本的に言葉使いが汚いです。
ご理解ご了承のほど宜しくお願いします。

私がそもそもなぜ音楽、ドラムを始めたかというと「兄」の存在がある。
だいぶ歳が離れている兄はボン・ジョヴィやスキッド・ロウに入れ込み、髪型は全盛期のセバスチャン・バックを真似ていたくらいだ。
私の音楽への入口であった兄はギターを嗜んでいたわけだがなぜ、私がドラムを始めたかというと…
私の世代では多いのではなかろうか。
19XX年紅白歌合戦に初出場した「X」現「X JAPAN」が演奏した「紅」がきっかけだ。
小学生だったがこの時の衝撃は今も覚えている。
Tube、槇原敬之、チャゲアス等が作り出すメロウなラブソングやキャッチーなポップスが世の大半を占めていたあの時代、「紅」ですよ?

どんなときもぉ〜どんなときもぉ〜僕が僕らしくあるぅ為にひぃ〜♪
とかの時代にですよ?

紅に染まったこの俺を慰める奴はもういないんですよ?

おかしくないですか?

もうこの時からしばらくX至上主義です。
最強のドラマーはYOSHIKIと洗脳完了です(笑)

が、しかし、「紅」は今まで生きてきて好きな3曲の一つではありません。
私の人生を変えた、又は方向を示してくれた曲ではありますがこれはあくまでも入口。
ここからです。

「俺もYOSHIKIになりてぇ!」と鏡の前に立ち2.5秒で諦めた小学生の私ですが、見た目は無理なんでせめてドラムくらいは…と兄のバンドのドラマーからもらったスティックで粘土板をバチバチと叩く練習に明け暮れた。

私が音楽を始めるきっかけはこんな感じです。

話を変えます。

Xは速い曲が多いですよね。
私が中学校に上がる頃には音楽にひたすらスピードを求める様になります。
しかもそれはテンポ、ドラムだけではなく、ギターにも求め始めます。
そうすると自然と行き着くのは洋楽になっていくんですね。

スピード…スピード…スピード…速い曲でなければ芸術じゃない…俺にスピードの快感を与えてくれ!!誰か!誰か!

メタリカ?違う…アンスラックス?違う…そんなんじゃない!

中学校2年生の多感な時期に出会った…出会ってしまった…それが…

SLAYERが1994年に発表した驚異のアルバム「Divine Intervention」だ。
その収録曲の一つが私のX至上主義を崩壊させる事になる。
その収録曲とは

「Dittohead」だ。


この曲を聴いた時全てが壊れた。

「なん…だ…と…?」

↑リアルでこのセリフを吐いた(笑)

おいおい、手痙攣してませんかって心配になる程のギターのリフレインから数秒で全パートが疾走し始める。
そしてすぐに始まるボーカル兼ベーシストのトム・アラヤの咆哮。
わずか数秒でスピードに飢えた若き狼をエクスタシーへと導いていく。
あぁ…癒されていく…このスピード…このドラム…この咆哮…芸術だ…これこそ芸術だ…。
個人的にメロスピ系によくある、「にょわわわぁん」みたいな効果音が10秒以上流れて、やっと曲が始まったと思ったら1分近くギターのアルペジオかキーボードのストリングスが鳴り続けるってあの構成嫌いなんですよね(笑)
早く聴かせろって思うわけです。
こちらはバンドサウンドを聴きたい訳で訳のわからん効果音やしょうもないストリングスなんざ興味無いんですわ。
そしてSlayerといえばドラマーですよね。
ポール・ボスタフさんの「いやいやあんた1小節に何個おたまじゃくし入れてんねん」的な超絶フィルインは圧巻です。
今でこそSlayerの初代ドラマー、デイヴ・ロンバードやこのポール・ボスタフ級のハイスピードドラマーは当たり前に存在しますが当時はかなりの衝撃だったんじゃないでしょうか。
曲の中盤でテンポダウンします。
ギターソロへのカウントダウンです。
いっやーたまらない!
中盤からギターソロで展開されるサタニズム全開の旋律は鳥肌が立ちます。
壮絶なギターソロが終わったら再びトム・アラヤの絶叫が始まります。
そしてラストです!
Living with aggression and it's
Everlasting reign!!!
の絶叫とアタオカな超絶ドラムフィルインの中プツッと曲が終わります。

これで私の中でXへの入れ込みは終了。
これで私も覚醒したんです。

「やはりスピードだ。俺もハイスピードドラマーを目指さなければ。」

美しさ、美旋律などヘヴィメタルでは所詮は不純物に過ぎないとこの時プツンと所謂「キレた」わけです(笑)。

そこから数年、私は自身で作曲した曲は構成も旋律もデタラメ、Slayerの丸パクリみたいになっていきます。

そこから時は流れ、高校生になってもひたすらスピード一辺倒でした。
その間色々なものを聴いてきました。

Slayerの過去の作品も聴きましたし、邦楽も聴いてましたよ?一応流行りにも乗っかっておかないと。

そして私はあの衝撃を再び味わう事になります。
高校在学中、友人がとあるCDを貸してくれたんです。

「スピード、暴力性、そして美しさを兼ね備えたバンドだよ。良かったら聴いてみな。」

と、渡されたのがこれ↓

inflamesの2ndアルバム、The jester raceだ。
戯れに適当にかけた本作の3曲目、
「Grave land」で私は今まで思っていた、「美しさや、美旋律などヘヴィメタルにおいて不純物に過ぎない」という思想が音を立てて崩れていくのを感じた。


異常である。
ザリザリとしたデスメタル特有のギターサウンド(この時初めてデスメタルというジャンルを知った)とパキパキと乾いたドラムサウンドと淡々とギターを支えるベース、そして血涙が流れてきそうな、胸を掻きむしりたくなるような、例えがいくらでも出てきそうな美旋律。
その上に乗るボーカリスト、アンダース・フリーデンの地響きの如きデスヴォイス。

狂いそうになる程の美旋律から始まり、終始血涙必至だ。
しかし、最もその真髄を味わえるのは中間部分だ。

Burn the visionaire
Kill the ideologies
Mankind must die

の語りからのアンダース・フリーデンの「イヤアアアアァァオオァッ!!」から始まる超美旋律の超疾走!
そしてアンダース・フリーデンの怒涛の絶叫が続く。

The doves and the angels return to their graves
With flames on their pestilent wings
While mushroom-clouds haunt their virginwhite skies
To rape their utopian dreams

鳩と天使は墓に戻る
 彼らの疫病の翼に炎を灯し
 キノコ雲が彼らの穢れなきの白い空に出没している間
 彼らの理想郷を陵辱する

たまらん歌詞だ。
中二病(あたしゃ高校生でしたけど)

メロスピも聴いた、ネオクラシカルも聴いた、様々な組み合わせをして生まれたきた新ジャンルはあるがまさか…デスメタルと超絶美旋律を組み合わせるとは…。
ここでミーハーな私はコロッと変わる。

「メロディックデスメタル、叙情デスメタルこそ芸術だ。」

今考えたら本当に私はクソミーハーですね(笑)

しかしこの時、この出会いがあったからこそ今の私がいる。
今でもメロディックデスメタルを聴いているし、inflamesを愛し、その基礎を作り上げた、今は脱退してしまった元メインソングライターであるイェスパー・ストロムブラードを愛し、尊敬している。
いやぁでもこの頃のinflamesは絶品でしたね…。

ここから小さな歩みではあるがヘヴィメタル全般に理解を示すように私は変化していくのだ。

時は経過し、私も結婚を機に音楽から身を引いた。
スパッと止めれちゃったって事はそこまで入れ込んでなかったんだろう(笑)
年齢を重ねていくと聴く音楽も落ち着いてくる?
馬鹿言ってんじゃねぇや。
どんどん激しい方向へ行ってしまうもんです。
しかしここでまた一つの出会いが。
息子が幼稚園に上がる一年前にピアノを習い始めたんですね。
当然発表会とかあるわけで…
息子以外のも聴くわけで…
高学年の子とか高校生くらいの子は誰もが知っているクラシックとか弾く子もいてですね…

グワァー!!
クラシックってクソ退屈だなぁ!!
おいおい!眠くなるどころか段々腹が立ってくるじゃねぇかよ!!
おんなじ退屈なフレーズ何回も何回も…いい加減にしてくれよ!
あぁ!ピアノの音なんか聴きたくねぇ!
歪んだギターの音が欲しい!!
ブラストビートが聴きたい!!

っていうのが本音(笑)
クラシック…なんだそれ。

そんな事が続いた私ですが、私が率いていたバンドのギタリスト(だいぶ歳上)と飲みに行ったんです。
そこで上記太字の事を愚痴ったんです。
そしたら後日古いCDを貸してくれました。

ブ、ブラック・サバス…?
あぁ…随分古い作品ですね…と。
有名なバンドだから名前は聞いた事あったんですけど…正直興味が無い。
まぁ善意で貸してくれたものですからね。
聴いてみましたよ。
退屈な曲が続く…
うわぁ…やっぱクラシックってヘヴィメタルも一緒なんですねぇ…
なんて思っていた6曲目!

Die young…

な、何だコレ…

無茶苦茶カッコいいじゃねぇか!!

聴いた瞬間走る鳥肌。
なんと言っても名ベーシスト、ギーザー・バトラーのうねり上げる超絶ベースが凄い!
やっぱ名手は凄い。
楽器を演った事が無い人が聴いても「あ、あれ?なんか違くね?」と違和感を感じてしまうレベルだ。
この違和感ってピアノでもそうなんですよね。
発表会とかでイライラしながらも何となく聴いていると時々いるんですよね。
ピアノなんかまるで興味無し、知識無しの私でさえも「おろ?こいつ…もしかしてかなりの腕…?」と感じさせる奴が。
後で話を聞いたらそういう奴ってやっぱり中々の経歴を持ってたりするんですよね。
楽器の腕の凄さってネームバリューじゃなくて素人が分かるレベルってところで判断できるんじゃないでしょうか。

話を戻します。
この曲の魅力はベースだけではないんですね。
このDie youngはミドルテンポのハードロックと言えるくらい私から言わせたらかなりライトな曲だ。
しかし全パートデスメタル狂の私が絶句する程のテクニックを存分に味わえるんです。

まぁ↓このラインナップを見れば納得よね。

ロニー・ジェイムス・ディオ – vocals
トニー・アイオミ – guitar
ギーザー・バトラー – bass
ジェフ・ニコルズ – keyboards
ビル・ワード– drums

凄いメンバーです。
ロック、ヘヴィメタルをあまり知らない方でも聞いた事ある名前がありませんか?
そう、ロニー・ジェイムス・ディオが歌っているんです。
彼の独特の歌声がこの曲にしっくりきますね。

そして冒頭の歌詞がまた良き…

Gather the wind
風の吹く方角に向かえ

Though the wind won't help you fly at all
風は飛ぶ手助けをしちゃくれないけど

Your back's to the wall
壁に背を向けろ

Chain the sun and it tears away
何も考えるな 太陽を追え

シビレます…。
立ち向かえ、何も助けてはくれなくても、守られているものから走り去り、自分でその方向を決めてそれをひたすら追うんだ…そう私には感じ取れます。

最後はロニー・ジェイムス・ディオの「Die young!Die young!」の連呼で曲は終わります。本当にカッコいいです。

そんなロニー・ジェイムス・ディオは2010年に67歳の若さでこの世を去った…Die youngだぜ…ロニー…。

そしてCDのブックレットを見て私は驚愕の事実を知る…。

1980年発表…

Oh…俺が1歳の時の作品かYo…(笑)

まさにクラシック。
凄いぜクラシック。

私はこの時から色々なジャンルを聴くようになった。
大人しめのロックとかも楽しむようになったのもこの出会いからです。
音楽を楽しむ幅を広くしてくれた曲です。
この出会いが無ければ狭い間口でしか音楽を楽しめないままだったかもしれません。

以上が私のスキな3曲です。

このネット社会は音楽を楽しむにはモッテコイですよね。
たまにプラプラとYoutubeなんかを視聴していると今まで聴いたことも無い旋律に出会う事がある。
知らない国の名もなきバンドが、この日本の小さな集落に住むアル中に感動を与えてくれる事もある。

旋律との出会いは恋に落ちるその瞬間と同じ感動と快感を与えてくれる

私はそう考えている。
人と人の出会いは奇跡とも言われるがそれは旋律も同じ。

私は今日もこのクソ田舎から美旋律との出会いを求めて



スマホをいじる(笑)

最後までお読みいただきありがとうございました。

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