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繁盛店の定義を知っていますか?


始めまして、宇宙一外食産業が好きな須田です。


この宇宙一外食が好きなという“称号”は、かつてある企業のトップを務められた方が、私をクライアントにご紹介した際に仰って頂いた言葉です。

“光栄な称号”を頂いた気持ちで、それ以来使わせて頂いております。

さて、外食業のサポートをかれこれ35年以上させて頂いておりますが、繁盛ということを頻繁に耳にしますが、さて、繁盛の定義はどのようなことでしょうか?

繁盛店を作るとか、あの店は繁盛しているとか、繁盛という名称を冠した勉強会なども見受けます。

でも、繁盛とは具体的にどういった状況でしょうか。

実は明確な定義はありません。


過去の事例ですが、月商900万程度売れている業態をリニューアルしたことがあります。

そのお店は上場している企業のあるブランドでした。

M&Aにより取得した業態で、本社としては業績向上を願っているブランドでした。

コンセプトを再構築して、メニューを新たに開発しスタッフを再教育して、改装もしました。


結果、月商は1,350万円になりました、150%のアップです。


普通に考えれば、繁盛店になったと認識できる成績だと思います。

しかし、月商900万円だった当時、既に月額50万~70万ほどの赤字があったので、その状態が2年あまり継続していました

その結果、なんと累損が1,500万円もありました。
私も、そのことはリニューアル後に初めて知りました。

累損があることは確認していましたが、クライアント先からは額までは教えていただけませんでした。
後から聞いたお話しですが、社長はリニューアルに際に、現場にはそのことを告げないと決めていたそうです。


勿論、私にも教えて頂けませんでしたが、理由は繁盛店を作ろうと一致団結しているときに、マイナスの情報は与えたくなかったということでした。
リニューアルオープン後に、月商1,350万になったのでクライアントに連絡をし、損益状況を確認しました。


当然損益は認識していましたので、大きな利益が出ましたねとお伝えしたところ、「店舗ベースでは利益確保が出来ました。ありがとうございます。ただ累損解消を計上するとこれでもまだギリギリの状態です」と、仰っていました。

社長は、短期間での累損解消を命題に、本社を説得してリニューアルに向かったようです。

結果的に1年余りで累損は解消でき、それ以降は繁盛店として盛業しております。

さて、月商150%になり損益を大幅にクリアしても厳しかった理由の一つに、売歩賃料が関係していました。

売歩賃料とは、最低売上保証額を決めてそれ以上売れた場合に、最低保証額以上に売れた額に対して、ある一定の歩率で賃料を上乗せするシステムです。

売れば売るほど賃料も向上する仕組みを売歩賃料方式といいます。

この物件は都心の一等地にあり、賃料設定が売上対比13%~15%になるような物件でした。

売上向上に連動していて家賃の額も上がってきます、率は少しずつ下がりますが額が重くのしかかってきます。

もうご理解いただけた方もいらっしゃると思いますが、現場スタッフが頑張って売上が上がれば上がるほど、実は不動産オーナーが一番儲かる仕組みとなっていました。

このような事例は多々あります。


適正な賃料比率は、月商の10%以下です。

賃料の設定値は、売上対比10%を基準として設定します。

私は新規に不動産物件が出てきたら賃料を確認し、その賃料の10倍の月商を永続的に確保できるかを検証します。

賃料が月商の10%以内で納まるならその物件は積極的に交渉に入りますが、その可能性が無いのなら賃料交渉をして賃料を引き下げるか、その場で即断します、その物件は断ることを。

私が考える繁盛の定義とは、不動産を貸している大家さんよりも、店舗PL段階で利益が多いことを繁盛と定義しています。


頑張って利益が出たとしても、大家さんの方が儲かっているようでは、大家さんの利益のために商売をしているようなことで、ビジネスとしては逆転現象だと思います。

私は、常に家賃以上の利益確保を命題に事業計画を検証・構築します。
不動産はビジネスをする物理的なスペースです。
そのスペースに投資をして売上と利益を確保していきます。

ですから、活用しているスペース以上の利益確保が出来ている店舗を、繁盛店と定義しております。

勿論、月商数千万行けば大きな利益も確保出来繁盛店となります、特に地方では賃料が低いので利益確保は都心よりも容易な印象はあります。


因みに全国の平均賃料比率はおよそ6%です。


今運営しているお店を検証してみてください。

大家さんと御社とどちらが儲かっていますか?
大家さんのための商売になっていませんか?

大家さんも商売、我々も商売。

ならば、どちらもWIN-WINの関係が望ましいのは、誰でも理解出来ることです。

どちらか一方のみが利益供与を受けるようならば、その物件は即座に賃料交渉をすべきと思います。


交渉の余地が無いのならば、思い切って手放すことも考慮すべきです。

賃料交渉は大前提として、利益が出ていることが絶対条件です。

そもそも売上が厳しいので、賃料を下げてくださいと交渉する方もいらっしゃいますが、本来やってはいけないことです。

出店の段階で賃料は勿論認識して出店していますので、業績不振を理由に大家さんのビジネスにマイナスの影響を及ぼすことは、本来ビジネスマンとしてはやってはいけないことです。

もし賃料交渉をする場合は、率直な数字を大家さんに伝えて、具体的な業績改善の施策を提示して適正家賃になるように、期間限定で売上の10%にして頂けるように協力を仰ぎます。

その額があまりにも現状とかけ離れているようであれば、勿論交渉は厳しくなります。

私も過去にクライアントを助けるために、何度もこのような交渉をした経験があります。
幾つかの場面を想定し、複数の案を提示して賃料交渉を勝ち取ってきました。

物件を手放すことに、経営者は非常に大きなマイナスの心理を持ちます。
そのことは十分に理解できます。
敗北者のような心理になってしまします。

でも、累積損失を長年出していることこそが悪です。

一刻も早く損切りをして、意識を切り替えて会社全体の業績改善に取り組むべきです。


今業績不振に苦しんでいるのならば、即刻、撤退すると大家さんに申し込んでください。


そこから道は開けます。


どんな手段でも、経営者は守るべきものを守る為には強い決心と誠意ある行動で、問題解決をする必要があります。


行動を起こすと現実は変化します。


今よりも多くの利益を確保することは、成長と安定の為に必要なことです。

スタッフとその家族の生活の安定との成長のために、地域のお客様の幸福と口福のために、大きな利益を確保することは経営者の命題です。


シッカリと繁盛に向き合ってください。

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