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なぜ議論がうまくいかないのか - Credo & Valueの観点とともに

「今度、議論(ディスカッション)させてください」
「もっと皆でちゃんと議論してからもってきてー」

職場でよくこんな言葉をよく聞きますよね。ただ、うまくいかないことも度々あります。

議論という言葉はあまりにも頻出するので、それば何なのかが深く考えられないまま使われているかもと。


そこで、「議論」をある目的(結論)のために「論証を基礎単位として話し合うこと」(福澤一吉著「議論のルール」より)と定義してみましょう。

言葉を使い相手がいるという意味では日常会話と共通ですが、目的ありきかつ論証が必須という意味では性質が異なります。

上記を少し意識するだけでも議論の質が高まり、議論に必要な時間も少なくて済むように思います。

さらに一歩深掘りして仕事で議論がうまく進まない要因を振り返ってみたのですが、自分の中では以下の5点に整理されました。

1⃣ 前提認識がずれている


議論の前に、言葉の定義や解釈、過去の経緯などを共通認識とする必要がありますよね。

例えば、CPAの金額の妥当性を議論する時ですが、前提として弊社のCPAには以下の4種類があります。

  • CV(コンバージョン)のCPA

  • 有効リードCPA

  • 商談化CPA

  • 受注CPA

さらに上記それぞれがチャネル(自社運用獲得広告、外部委託広告、外部イベント)別に分かれ、どの期間でみるかで金額は大きく変わるという実態があります。

CVのCPAや有効リードCPAは翌月早々には金額が固まりますが、それ以外は商談化、受注までのそれぞれのリードタイムを考慮して金額を算出する必要があるからです。

この前提を共有しないまま、「CPA」の金額の話をしても噛み合わなくなるというわけです。

議論を始める前に参加者の頭の中を想像するステップを意識的に組み込むとよいのでしょうね。

2⃣ 主張が具体的にまとまっていない


相手に意見を求めるような相談に近い議論の場合、まずは自分の主張を整理して具体的にまとめておく必要がありますよね。

そうしないと、相手は意見する対象が不明確なため、判断しようがないからです。

一方、相談する側は自分の主張に自信がないからこそ相談しているが故に、具体的にまとめることを避けようとしてしまいがちです。

その結果、相談した時間からは何も生まれず、再度調整となってしまうというわけです。

3⃣ 根拠としてファクトが断片的か信頼性が低い


昨今のビジネスは変化が激しく常に仕事のスピードが求められます。

その代償として、主張の根拠となるファクト(データ)が非常に断片的だったり、サンプル数件=母数全体からみる信頼性が低いのに、声が大きい又はポジションが上の人が主張すると、急ぐためにそれがそのまま結論として通ってしまうことがあります。

ある担当者が顧客から聞いてきた競合他社の評判情報などが一例かもしれません。

その情報自体は間違っていなかったとしても、顧客1社から見た競合1社に対する見方なので、市場全体の構図と乖離していることがままあります。

ただしそれに異を唱える場合はきちんと根拠をもって主張することが求められると同時に、上の立場の人は勧奨組織のメンバーがいつでも意見を言える環境(自分への否定意見も含め)をつくっていく必要があるのでしょうね。

4⃣ 主張と根拠の間に飛躍がある(論拠が不十分)


多くの議論で相手が納得できていないのはこのケースが多いように思います。

さすがにビジネスの現場で全く根拠(理由)なしに、何かの主張することはまれですが、根拠と主張の間に影響している要因や解釈(論拠)が説明されなかったりすることが多々あります。

例えば、次のような説明です。

「次の認知広告は決裁者層がターゲットなので、他のSaaS企業も取り組んでいるタクシー広告に出稿します」

聞いている方としては次のような疑問をもちます。

  • 他の媒体(YouTube、地上波、Web経済メディアなど)とどこまで費用対効果を比較検証したのだろう

  • タクシーって決裁者層以外も多く利用しているけど

  • 他のSaaSが多数出稿している中で当社も出稿したら埋もれてしまうのでは

複数の裏付け根拠となるデータとともに、主張を導く根拠の妥当性(論拠)やリスクにも言及すると、相手の納得感が高まるはずです。

5⃣ 主張の論理がすり替わっている


昨今「論破王」なる言葉もメディアで度々聞くところでありますが、仕事の議論に感情的な勝敗を持ち込んでしまうと、組織全体の生産性を下げることになるので気をつけたいですね。

議論はディベートではないですから。

揚げ足を取ったり(お前だって論法)、相手の言葉を自分の都合のいいように切り出して捻じ曲げたり(ストローマン)、質問に直接回答せずにあやふやな回答で逃げたり(ご飯論法)といった論理のすり替えは、多くの時間を無駄にしてしまいます。

Twitterでの炎上などでもたびたびこういったケースがありますが、決して気持ちのいいものではないですよね。


弊社は、従業員が同じ目線で仕事に取り組めるよう(カルチャーの形成)、Credo & Valueを言語化し、評価制度にも組み込んでいます。

今回取り上げた「議論」の質を高めていくことは6つあるCredo & Valueの中でも特に以下の2つに結びつくものだと思っています。

Credo②:仲間に愛はあるか?
互いの理想を尊重し、互いに実現するために本音でぶつかり合う。そんな仲間との Respect & Strict な関係を、プロとして楽しんでいこう。
Value③:視座は上がらないか?
1つ上2つ上の立場を想定した仕事は、期待を生み出す。相手の期待値を超えるほどの視座の高い仕事を、プロとして追求していこう。

iCARE Credo & Valueより


愛があるからこそ、根拠や論拠が甘い主張には指摘し合い、 Respect & Strict な関係を楽しむ。

しっかりとした主張・根拠・論拠に基づく議論をすることで、皆の視座が高まる。

このようなスタンスで今後も仕事の質を高め、働くひとの健康を創り上げたいと思うしだいです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。少しでも気づきがあったら「スキ」や「フォロー」をください!僕もそら丸(うちの猫)も跳んで喜びます!

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