彼とわたしのー13ー

そうして始まった新たな生活パターンは、サラリーマン家庭に育った私には異質なもので、
四六時中パートナーが同じ時間帯の中にいると云った閉塞感に暫く馴染む事は出来ませんでした。

それでも兎に角始めたからには、何とか生活出来る様にならなければならない。
彼は言い出した責任感もあってか、「売れる作品」を研究し始め、手探りで造りながら、
私も一緒に店を探し回り、話をつけては店に卸す。と云ったサイクルを作り、また新たに店を探すと云った、次々とやって来る課題をこなして行くことに、やっとの日々が続いていったのでした。

それに加えて住宅街で窯を備えて焼き物を作ると云った、火元の安全性を危険視する視線を感じては、徐々に息苦しさを感じ始めていたのでした。

そんなこんなで引っ越す事に追い込まれ、結局窯を引っ提げて移動すること3回と云う羽目に陥ってしまいました。
と同時に、毎月家賃を払って借り物の家に住むと云う、当り前な顔をした窮屈さに納得出来なくなっていたのです。

何か良い抜け道は無いものかと探した挙句、格安で土地を手に入れ家を建ててはどうか、
小さな必要最小限の広さと用途を満たした家を建てる事は出来ないものかと思い始め、早速彼と私は手弁当を持って探し始めたのでした。

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