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ケースから一掴みの5曲~甲斐バンド編。

 今日は甲斐バンドの中でもシティポップ風味の曲を5曲選びたいと思っています。
初期のローリング・ストーンズ・フォロワー的な曲を選ぶということも考えましたが、オフコースに続いてなら、やはりシティポップ風味の曲でしょうね。

 それではもう少しお付き合いください。

・甲斐バンド「ナイト・ウェイブ」
from CD『Kai Band Story Ⅱ』(TOCT-26381/EMIミュージック・ジャパン)

 この曲、オリジナル・アルバムだと『虜-TORIKO-』に収録されています。
編曲は椎名和夫さんで、レコーディング参加しているメンバーは、ベースが伊藤広規さん、キーボードに難波弘之さんと中西康晴さん、パーカッションに浜口茂外也さん、コーラスには山川恵津子さんと鳴海寛さん、つまり東北新幹線(グループ名)ですね。
山下達郎さんのレコーディングやツアーに参加していた(いる)のは椎名さん、伊藤さん、難波さんに山川さんと鳴海さんですね。
甲斐バンドのレコーディングには山下達郎さん周辺の方々が参加するようになったのは、このアルバム辺りからだったはずです。
これは甲斐よしひろさんが元々音作りにこだわるというのと、アルバムのミックスを(ローリング・ストーンズやロキシー・ミュージックなどの仕事で知られる)ボブ・クリアマウンテンにミックスを依頼して、実現したのがこのアルバムからだったというのが大きいのでしょうね。

・甲斐バンド「BLUE LETTER」
from CD『POISON 80's』(CA32-1332/東芝EMI)

 この曲もアルバム『虜-TORIKO-』収録曲です。
水道橋博士はツイキャスで甲斐バンド好きを公言してますが、その中でもフェイバリットな曲だそうです。
ちなみに編曲は後藤次利さんで、ムーンライダーズからギターに白井良明さん(先日博士と会ったばかり!)、キーボードに岡田徹さんが参加しています。もちろん後藤さんがベースを弾いてますね。
そして、アコースティック・ギターに吉川忠英さんが参加しています(ドラムスはメンバーの松藤さん)。

 ちなみにシングル・ヴァージョンは日本でミックスしたものが使われています(村田研治さんミックス)。

あ、『虜-TORIKO-』のジャケットは余貴美子さんなんですよ。そのことはCDよりもアナログ盤の方がハッキリわかりますね(当たり前か)。

・甲斐バンド「フェアリー(完全犯罪)」
from album『ラヴ・マイナス・ゼロ』(CA32-1282/東芝EMI)

 この曲だけアルバム『ラヴ・マイナス・ゼロ』収録曲の中でエンジニアが違うのでした。
(ポール・マッカートニーやスティングとの仕事で知られる)ニール・ドーフスマンが担当しています。ちなみにこの曲、アルバム・ヴァージョンもニール・ドーフスマンがミックスしているのでした。

 編曲はチト河内さん。ベースはツアーにも参加した岡沢茂さん、キーボードは富樫春生さん。(甲斐バンドにしては)ちょっと異色の顔ぶれかと。
印象的なコーラスは伊集加代子さん(!)。さすがに伊集さんはツアーには帯同せずにテープ使用でしたね。

・甲斐バンド「ラヴ・マイナス・ゼロ」
from CD『POISON 80's』(CA32-1332/東芝EMI)

 個人的には甲斐バンドのベスト・トラックだと思います。
編曲は椎名和夫さん。演奏はドラムス青山純さん、ベース伊藤広規さん、キーボード難波弘之さんと竹田元さん、ギターは椎名さん、サックスにジェイク・H・コンセプション、コーラスにはSHOGUN~AB'Sの芳野藤丸さんとスペクトラム~AB'Sの渡辺直樹さんという顔ぶれです。
基本的には山下達郎さんのツアー・メンバーに甲斐バンドのサポートを長くしていた竹田さんとスタジオで売れっ子のジェイクさんが加わって、コーラスにはAB'Sの二人が参加している形ですね。

 山下達郎さんと甲斐さんは同時期にNHK FM「サウンド・ストリート」のパーソナリティをやっていたりと共通点がまだまだあるのですが、それはまた別の機会にでも。

・甲斐バンド「メガロポリス・ノクターン」
from CD『-(マイナス)甲斐バンド・シングル・コレクション VOL.2』(TOCT-5921/東芝EMI)

 甲斐バンドには松藤英男さんという優れたソングライターがいるのですが、なかなか前面に出ることがなかったんですよね。
あ、シングル「ビューティフル・エネルギー」で甲斐さんと共作(作曲)して、一緒に歌っていたのが、松藤さんです。

 甲斐バンドが活動の区切りとして発売したアルバム『リピート&フェイド』は当時のメンバー、甲斐さん、松藤さん、田中一郎さんと大森信和さんがそれぞれのプロジェクトをプロデュースした作品でした。
この「メガロポリス・ノクターン」は松藤さんのプロジェクトで、共同プロデュースと編曲はギタリストの大村憲司さん(!)。
作曲は松藤さん、作詞は松山猛さん(フォーク・クルセイダースやサディスティツク・ミカ・バンドに歌詞をよく書いていたことで知られていますね)という異色の組み合わせですね。

 アルバム・ヴァージョンは松藤さんヴォーカルですが、シングル・ヴァージョンは甲斐さんがヴォーカルです。
これはこの前のシングル「レイニー・ドライブ」(作詞は松尾清憲さん!)と同様でした。
この『リピート&フェイド』は色々なバリエーションで発売されていて、コレクター泣かせの作品なんですよね。

 この5曲に限らずボブ・クリアマウンテンがエンジニアを担当したアルバム(ニューヨーク三部作とも呼ばれています)の充実と洗練具合はかなりのもので、この時期の甲斐バンドを聴くと、デビュー当時はローリング・ストーンズ・フォロワーだったというパブリック・イメージ(我ながら乱暴な書き方だと思います)が払拭されるはずですね。

 甲斐バンドについては水道橋博士が思い入れがあるバンドということや、かつて仲がよかった友達が大好きなバンドなので、なかなか書きにくいものがありましたが。。
それなりには頑張りました。
甲斐バンドには謎が結構ありまして、トップ・エンジニアだったボブ・クリアマウンテンがなぜ引き受けたのか?
や、色々な会場でのライヴを実現された要因などかなり興味深い点が多いのです。

 来年はTHE BIG GIGから40年ということで面白い話を聞けるかもしれませんね。と期待して、一区切りとさせていただきます。
こうした区切りがあると取り上げられるチャンスが増えますから、どんどん見つけていきましょうね。
昨日がオフコース、今日が甲斐バンドですから、明日も東芝からデビューしたバンドにしたいと考えています。まだどうなるかわかりませんが。。お楽しみに。

 ではまたー。


 


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