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読書日記~三遊亭円丈「師匠、御乱心!」編

 落語について興味を持ったのは高校生の頃でしたし、(主にMBS)ラジオを通じてですから、所謂上方落語だったんですよね。
そのちょっと後にビートたけしさんのテレビ番組に立川談志さんが頻繁に出るようになってから、チェックするようになった、と。

 あれは三遊協会が挫折した少し後になりますね。それまでは私にとって関東の落語は「笑点」だけでした。
確かその時期に私の祖父が応援していた政治家が立川流の顧問になったこともあって、立川談志さんに注目するようになったわけです。
ある日、談志さんがその政治家の選挙応援に来て、母が談志さんに「息子が談志さんのこと大好きなんですよ」と話して、名刺をいただいたのでした(ちなみに私はまだ学校にいる時間だったはず)。

 この本の主役、三遊亭円丈さんを知ったのは「花王名人劇場」だったと記憶しています。
この番組のプロデューサー澤田隆治さんのことを知ったのもこの時期で、確か澤田さんが雑誌「スコラ」に連載していたんですねー。

 音楽や雑誌、ラジオに夢中な時期だったのはこれまで結構書いてますが、落語までは手が出なかったというところでした。
特に新作落語については下手をすれば「花王名人劇場」まで存在すら知らなかった私です。

・三遊亭円丈「師匠、御乱心」(小学館文庫)

 この本のオリジナル「御乱心」が発売されたのは1986年(昭和61年)でして、リアルタイムでは私買ってないですね。
深夜に落語番組をやるようになったのは、そのちょっと後でしたから、私が落語関連の本を読み始めたのは昭和から平成になったばかりだったんですよ。
立川流の芸能人コースにビートたけしさんや高田文夫さん、山本晋也監督に赤塚不二夫さんが入ったことがありましたし、高田文夫さんが立ち上げた番組が多かったのかな?

 そんなこともあって、落語といえば立川流という時期が長く続きましたね。

 高田文夫さん編集「江戸前で笑いたい」が出た頃(1995年か96年?)、ようやく「御乱心」を手に入れたんですよ。相変わらず前置きが長くてすみません。

・三遊亭円丈「御乱心 落語協会分裂と、円生とその弟子たち」(主婦の友社)

 もうこの頃には円丈さんが新作落語をやっていることや、「グリコ少年」や「悲しみは埼玉に向けて」程度の新作は知ってましたね。
勿論、CMやレコードは知ってたけど、正直苦手な部類の落語家さんでした(すみません)。
なので、期待せずに買った「御乱心」の面白さには驚愕しましたね。
本を読み終えて「落語とは業の肯定である」という談志さんの言葉がまず浮かんだ私です。

 そして、この本が文庫になる前に吉川潮さんの「待ってました!」という色々な落語家さんが師匠について語る本にも円丈さんが登場していて、落語以上に興味深く読んだ記憶があります。
それは文芸PR誌の「波」に連載されていて、文芸PR誌を熱心に読むきっかけの一つでしたね。

 文庫で読み返すと、円丈さんの迫力がとにかくすごいんですよ。
師匠や先輩に対する怨念に近い部分も読み応えになっています。
登場人物の中には全く肯定的な部分が書かれていない人もいるわけですから、読む終えて破ってしまったのも理解できます。
とにかく内容が濃いから、破ってしまった本を読み直したというのも頷けます。

 文庫化において三遊亭円楽さん、三遊亭弧遊三さんとの鼎談や、年表とリアルタイムで体験していなくてもかなり伝わりやすくなっていますね。

 円丈さんや川柳川柳さんも近年亡くなりましたから、当事者はほぼ故人となってしまったわけです。。時の流れには勝てないということですが、この本は必ず残る本だと思います。

 明日もかつて読んだ本を読み返して、日記として取り上げたいと考えています。お楽しみに。

 ではまたー。

 

 

 

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