菅原和博

こんなスタンプを作る人です。<br> https://store.lin…

菅原和博

こんなスタンプを作る人です。<br> https://store.line.me/stickershop/product/11831926 <br> ここでは、主に自作した詩を披露してます。

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記事一覧

悪魔からの手紙

悪魔から 手紙が来た 悪魔にしては 長い 長い 手紙だった 要約したら 3行ぐらいで済むような内容で ただ 「今度 野球を観に行こう」 という誘いだった 僕は …

菅原和博
9か月前
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遠くへ行く方法

遠くへ行く方法は 色々ある 飛行機に乗れば タバコは吸えないが 手っ取り早い 船に乗れば 時間はかかるが ロマンがある 歩いて行けば 海を越えるのは難しいが 安上…

菅原和博
1年前
15

大事なものを手放したら あたらしい 大事なものができた あたらしい 大事なものを手放したら また あたらしい 大事なものができた また あたらしい 大事なものを手…

菅原和博
1年前
13

今日はこれを食べて 明日はこれを食べる 夕べは確かあれを食べて ビールまで飲んだ 食べて      食べて 食べて      食べて 食べて 食べて 食べて     …

菅原和博
2年前
7

火曜日は持つ

月曜日は持たない 火曜日は持つ 水曜日も持つ 木曜日は持たない 金曜日も持たない 土曜日は持つ 日曜日は持つ時は持つ 火曜日は持ちやすいのを持つ 水曜日は持ちづらいの…

菅原和博
2年前
4

2550年の卵かけご飯

炊き立てのご飯を茶碗によそって 卵を割り ご飯の中へドロップ あまりしょっぱくならないように 醤油は少しずつ入れる ドロっとした白身をすするのが気持ち悪いので よく…

菅原和博
2年前
8

ジーンズを破る

テーブルに置かれた ブルージーンズ 裾の所は 少しほつれている 無造作に置かれたジーンズは 野垂れ死んだ犬のよう 両手でジーンズをすくい上げ 右足の裾を右手に 左足…

菅原和博
2年前
6

金くれよ

金くれよ 金くれよ その金くれよ それでいいから 金くれよ 金くれよ 早く ほら早く 金くれよ 早くくれよ これからバイトなんだよ 早く金くれよ 金くれよ ほら 金くれよ…

菅原和博
2年前
2

お前と俺

俺にはお前が見える 完全にお前が見えている 少しも透けていない 完全な濃度でお前が見えている お前がどんなに身を隠そうと お前がどんなに遠くへ行こうと 俺にはお前が…

菅原和博
2年前
3

とても脳だよ それ、とても脳だよ って うるさいから 脳蓋を買った 脳蓋はどこにでも売っていた インターネットでも売っていた 値段が高すぎても安すぎても不安になる私は…

菅原和博
2年前
3

無の世界

何も感じない 何も考えない そこは、無 無の世界 無、無、無、無の世界 無、無、無、無の世界 何にもない、無の世界 本当はある、無の世界 おにぎり ヨーヨー クレオパ…

菅原和博
2年前
1

青菜

青菜を食べている スーパーで買って 家に着いて 袋から出して 一旦風呂へ 湯から上がった私は 今度は青菜を熱い湯へ 根は少し硬いから 先に少し湯へ漬ける 隣のテレビで…

菅原和博
2年前
2

上にあって

大きな丸いのが、上にあって コーヒーを飲んでいても、上にあって 見栄をはっていても、上にあって 誰が勝っても、上にあって 君と一緒に、上にある 好奇心は、良いこと…

菅原和博
2年前
4

昨日のこと

昨日詩のはなしをしたから 今日詩を書いている 昨日詩のはなしをしたから いつもと違う詩を書いている 少し書いては 少し直して 少し書いては 少し直す 君もこうして、今…

菅原和博
2年前
5

web版「花椿」に掲載されました

資生堂の企業文化誌『花椿』のweb版に、私の詩「目薬」が「11月の詩」として掲載されました。 短い詩なので、よかったら読んでみてください。 選評は穂村弘さんです。 htt…

菅原和博
2年前
6

八十夢

いくつもの眠れぬ夜を越えて迎えた夢。 切り裂くような静寂で、目覚めた夢。 暗すぎる夜に僕は、 いつの間にか、真っ赤な嘘で対抗していた。 結果は見え見えだったが、 「…

菅原和博
2年前
12
悪魔からの手紙

悪魔からの手紙

悪魔から 手紙が来た

悪魔にしては 長い 長い 手紙だった

要約したら 3行ぐらいで済むような内容で

ただ 「今度 野球を観に行こう」 という誘いだった

僕は 「面倒だから行かない」 と書いて返信した

すると悪魔から 「言い訳ぐらいしろよ」 と怒られた

遠くへ行く方法

遠くへ行く方法は 色々ある

飛行機に乗れば タバコは吸えないが 手っ取り早い
船に乗れば 時間はかかるが ロマンがある
歩いて行けば 海を越えるのは難しいが 安上がりだ 

色々な行き方がある

どうしようかと 迷っていたら
風が吹いて 腹が減った

何かないかと 台所へいくと

あぁ 今日は燃えるゴミの日なんだな

飛行機に決めた

大事なものを手放したら
あたらしい 大事なものができた

あたらしい 大事なものを手放したら
また あたらしい 大事なものができた

また あたらしい 大事なものを手放したら
また また あたらしい 大事なものができた

あっ

何かに似てる

でもそれが 何に似ているかまでは
上手な例えが思いつかなかった

「あぁ  なるほどねぇ」

わかったような わかっていないような
いい加減な返事を想像し

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今日はこれを食べて 明日はこれを食べる
夕べは確かあれを食べて ビールまで飲んだ

食べて 
    食べて
食べて 
    食べて
食べて
食べて
食べて

    窓から 新緑に萌える木々を眺めていた

僕らはかたまりだから
不可逆的に 君に
こんな言葉を送った

" "

離れ小島の端に立って 僕は君を見ている
ディテールはモザイクのように 恣意的にぼんやりしていて

君はそれを
越えて 

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火曜日は持つ

月曜日は持たない
火曜日は持つ
水曜日も持つ
木曜日は持たない
金曜日も持たない
土曜日は持つ
日曜日は持つ時は持つ

火曜日は持ちやすいのを持つ
水曜日は持ちづらいのを持つ
土曜日は持ってあげる
日曜日は袋を持参して持つ

本当は 毎日でも持ちたい
ずっと持って暮らしたい
そう思っていたら
毎日持つことになった

昨日の帰り道
全部落として

今日は木曜日

2550年の卵かけご飯

炊き立てのご飯を茶碗によそって
卵を割り
ご飯の中へドロップ

あまりしょっぱくならないように
醤油は少しずつ入れる

ドロっとした白身をすするのが気持ち悪いので
よくかき混ぜる

ご飯の白色と 卵の黄色が 均等に混ざったところで
口元を茶碗に近づけ 箸でかき込み 一気にすする

あー うまい

2250年も
多分こんな感じ

ジーンズを破る

テーブルに置かれた ブルージーンズ
裾の所は 少しほつれている
無造作に置かれたジーンズは
野垂れ死んだ犬のよう

両手でジーンズをすくい上げ
右足の裾を右手に 左足の裾を左手に持ち替える

そして

思いきり引っ張る
力の限り ジーンズを左右に 思い切り引っ張る
力任せに引っ張られたジーンズは
大海原へ向かうヨットの帆のように 張り詰めている

一瞬の均衡

やがて 「ビリビリビリ」と
きっかけ

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金くれよ

金くれよ

金くれよ
その金くれよ
それでいいから
金くれよ

金くれよ
早く ほら早く
金くれよ
早くくれよ
これからバイトなんだよ
早く金くれよ

金くれよ
ほら
金くれよ

金だろ?
それ 金だろ?
金だよな?
じゃあくれよ 金くれよ

絶対くれよ
金くれよ

来週も来るから その時には 間違いなくくれよ
また電話するから
来週 空けとけよ
火曜日はどうだ?
そうか
じゃあ 水曜は?
おぉ 

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お前と俺

俺にはお前が見える

完全にお前が見えている
少しも透けていない
完全な濃度でお前が見えている

お前がどんなに身を隠そうと
お前がどんなに遠くへ行こうと
俺にはお前が見えている
お前の耳の垢まで見えている

お前はどんどん小さくなっている
どんどん どんどん 小さくなっている
どんどん どんどん 小さくなりすぎて
やがてお前を見失うかもしれない
それは気をつける
それは俺が気をつける
だからどう

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とても脳だよ
それ、とても脳だよ
って
うるさいから
脳蓋を買った

脳蓋はどこにでも売っていた
インターネットでも売っていた
値段が高すぎても安すぎても不安になる私は
中くらいのを買った

ギュギュッと
ゴムとゴムが擦れあったような音と共に

脳蓋から汁が出る
脳蓋から汁が出る
土曜日の放課後の、水たまりのような
脳蓋から汁が出る

舐めてみると、鉄の味がした
君と一緒だったら、どんな味がしただ

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無の世界

何も感じない
何も考えない
そこは、無
無の世界

無、無、無、無の世界
無、無、無、無の世界

何にもない、無の世界
本当はある、無の世界

おにぎり
ヨーヨー
クレオパトラ

無の世界、無の世界
ここは楽しい、無の世界
何もないから、無の世界
楽しくもない、無の世界
少し匂うよ、無の世界

無、無、無、無の世界
無、無、無、無の世界

大好きだぜ、無の世界
調子に乗るなよ、無の世界

明日から

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青菜

青菜を食べている

スーパーで買って
家に着いて
袋から出して
一旦風呂へ

湯から上がった私は
今度は青菜を熱い湯へ
根は少し硬いから
先に少し湯へ漬ける

隣のテレビでは 誰かが困っている
私は今 青菜茹でている

茹でて少し鮮やかになった青菜を 冷水でひやす
軽く絞って、水気を切る
鰹節をかけて
醤油をかけて



青菜を食べている

上にあって

大きな丸いのが、上にあって

コーヒーを飲んでいても、上にあって
見栄をはっていても、上にあって
誰が勝っても、上にあって
君と一緒に、上にある

好奇心は、良いことばかりじゃないでしょう
気が散ってしょうがねぇ

今日は、朝早く起きて出かけたから
昼前だけど、少し眠い
そんな事実を織り交ぜたところで
うたいます

歌っている間も、上にあって
歌い終わっても、上にあって
拍手を浴びながら、上にあっ

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昨日のこと

昨日詩のはなしをしたから
今日詩を書いている
昨日詩のはなしをしたから
いつもと違う詩を書いている

少し書いては
少し直して
少し書いては
少し直す

君もこうして、今も詩を書いているのだろうか

明日の天気を憂うように
ただぼんやりと
そんなことを考えていた

web版「花椿」に掲載されました

web版「花椿」に掲載されました

資生堂の企業文化誌『花椿』のweb版に、私の詩「目薬」が「11月の詩」として掲載されました。
短い詩なので、よかったら読んでみてください。
選評は穂村弘さんです。

https://hanatsubaki.shiseido.com/jp/poem/14658/

八十夢

いくつもの眠れぬ夜を越えて迎えた夢。
切り裂くような静寂で、目覚めた夢。

暗すぎる夜に僕は、
いつの間にか、真っ赤な嘘で対抗していた。
結果は見え見えだったが、
「12月の逃避行よりはマシだろう」なんて甘い考えのキツネに
3,000円払ったところで目が覚めた。

徒労。
徒労に次ぐ徒労。

見返りなんて求めていなかった。
少なくとも、布団に入った時はそのつもりだった。

気がつくとすごい汗で、

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