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「お楽しみはこれなのかよ!」芸人の名セリフ

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芸人のパフォーマンス(漫才、コント、ピン芸などなど)における名台詞を取り上げる。
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記事一覧

よゐこ「新米美容部員」

かつて、テレビバラエティにおける“シュール”という表現は、あまり良い意味を持たなかった。バラエティ番組でシュールという言葉を耳にするとき、大抵の場合、それは特定のお笑い芸人がスベッたとき。それも、イジることで笑いに変えようというのではなく、例えば「○○はシュールだから」と言い訳のようにして使われていた。面白くないのはシュールだから、僕たちのような庶民には理解できない笑いだから……と、いうように。

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田上よしえ「前説のおね~さん」

誰が言ったか知らないが、「女の下ネタは笑えない」という定説がある。なるほど。思い返してみると、確かに女性がシモの話題を振っている姿を見ると、なんだか居たたまれない気持ちになってしまうことが多かったような気もする。この風潮に対抗しようと試みたのか、一時期、女性ピン芸人の友近が「濡れる」という表現を多用していた。男の勃起が笑えるネタとして許されるならば、女が濡れるのもアリなんじゃないか、ということなの

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バカルディ「美容室」

ウッチャンナンチャンの冠番組で、バカルディと名乗っていた二人組が“さまぁ~ず”に改名したのが2000年。当時、ウッチャンは企画で改名させてしまったことを後悔していたというが、当の二人はコレをきっかけに大ブレイク。2014年には全てのキー局でレギュラー番組を持つコンビにまで成長したのだから、何も後悔することはないだろう。少なくとも“手裏剣トリオ”や“丁半コロコロ”、“アイスクリーム”よりはずっとマシ

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おぎやはぎ「結婚詐欺師」(2002)

「お前がやりたいと思っていることは、俺、出来るだけやらしてやりてえから」

「○○になりたい」「○○をやってみたい」などという系統の漫才が披露されるたびに、不思議に思うことがある。いざネタが始まると、片方がボケ、片方がツッコミというように役割が分担されるのに、どうして最初の「○○になりたい」「○○をやってみたい」というやりとりだけは、何の問題も起きることなくスムーズに展開するのだろうか、と。

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ラーメンズ「アトム」(2003)

“芸術知能犯”との異名を持つコントユニット・ラーメンズが2003年に発表したコント『アトム』は、未来が輝かしいものになっていると信じていた男(片桐仁)がコールドスリープから目覚め、三十年後の世界(=現代)に生きている息子(小林賢太郎)の頬に触れるシーンから始まる。そう、男には息子がいる。男が眠っている間、その姿をじっと見守り続けてきた息子である。

男は彼から情報を得ようとする。かつて、自分が想像

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イッセー尾形「医者の新築」(1982)

「餅は餅屋」の言葉の通り、専門的なことは専門家に任せるべきである。中途半端に身に付けた生兵法は大怪我の基になりかねない。とはいえ、この広い世間においては、頼りにならない専門家というのも少なくない。事実、近年においては、胡散臭い医療法を喧伝する医者や、何処で得たのかも分からぬ怪しげな情報を広めるジャーナリストなどの横行が、随分と話題になった。こういった類いの人間ははっきり詐欺師と断ずるべきなのだろう

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シティボーイズ「灰色の男」(1993)

「サカキバラさんはね、まだ灰色なんですよ」

シティボーイズによる1993年の公演「愚者の代弁者、西へ」で演じられたコント『灰色の男』における、ツジ(きたろう)の台詞である。幼女誘拐殺人の容疑者として逮捕されたサカキバラ(斉木しげる)に団地から出て行ってもらうため、住民の代表として彼の家を訪れたニシオカ(大竹まこと)とツジ。しかし、サカキバラは買い物に出かけていて不在だったため、二人は彼の奥さんに

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