見出し画像

決戦を前に:日本とアルゼンチンの戦い

 今週末はラグビーワールドカップのプール戦最終節だ。日本の対戦相手はアルゼンチン。これまでの勝ち点はお互い9ずつ。つまりどちらがトーナメントに上がれるかを決める決戦となる。
 今日から本番まで、スタッツを手がかりにラグビーの日本代表(ブレイブブロッサムズ)とアルゼンチン代表(ロスプーマス)の比較をいろいろしてみたい。今日はその前に、この両チームの歴史的な因縁をまとめてみる。

 まずは対戦成績。最初の対戦は1993年。これまで6試合戦って1勝5敗。1勝したのはホーム秩父宮なので、完全な劣勢だ。
 ワールドカップで当たったことも1度ある。1999年大会だ。日本の監督は平尾誠二だった。前評判も高く、平尾ジャパンが必勝を期したアルゼンチン戦だったが、12-33の21点差で敗れた。
 実はこの試合、カーディフに見に行っていた。平尾ジャパンは、当時の日本の切り札の大畑大介を生かすため、いくつかのサインプレーを用意していたが、アルゼンチンはおとりに全くひっかかることなく、大畑に狙いを定めてタックルが突き刺さっていた。ジャパンはほとんど見るところなくノートライの完敗。ものすごく悔しかった試合だった。

 この頃、国際的な評価で言えば、アルゼンチンと日本とはほぼ同格だった。差が出たのが2007年。フランス大会だ。
 この時、アルゼンチンはフランスと開幕戦を戦った。軌道の高いハイパントを武器に優位に試合を進め、優勝候補のフランスに対して17-12で勝った。そのままトーナメントに進み、3位決定戦にも勝利して3位になった。

 その実績を踏まえ、アルゼンチンは「ティア1」という強豪国として扱われることになった。それまでラグビーは、イギリス4協会(イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド)、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカを中心としていたが、これらの伝統国に並ぶ強豪国として、アルゼンチンが認められたということだ。
 なお、伝統国ではなくて「ティア1」として扱われるようになったもう1カ国がイタリア。イタリアはワールドカップで実績を残したことはない。北半球で行われていた「ファイブネーションズラグビー」(イギリス4協会とフランス)の参加国を偶数にするためにイタリアが加えられて「シックスネーションズ」となったのに伴って「ティア1」の扱いになったのものなので、アルゼンチンとは全く実績が違う。

 その頃の日本は低迷期。アルゼンチンとすっかり差が付けられてしまった。しかし、2015年の「ブライトンの奇跡」と2019年大会での決勝トーナメントの進出で「ティア1」として扱われることとなった。

 アルゼンチンは、元々の伝統国8協会が中心にあったラグビー界に風穴を開けて、「ティア1」というカテゴリーを作らせた功績がある国だ。
 ある意味で日本はそれに続いていることになる。
 
 そのアルゼンチンとのナントでの決戦。これまでのラグビー界でロスプーマスが成し遂げたことに敬意を込めながら、勇気を持って打ち破ろう。打ち破って、4年前の「忘れ物」を拾いに行こう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?