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あなたにもできるわかりやすい論文の構成の仕方:論文は同心円構造になっている

論文は前から順番に読むように書かれています。リニア(線状)です。まっすぐに並んでいるように見えますし、実際、普通は、前から順にまっすぐに読んでいきます。

しかし、そこには、構造があります。構造とは、要素と要素が関係によって結びついたものです。それぞれの要素には「役割」があって、しかるべき関係で結びついています。

分野によって違っていたり、省略される部分があることもあるので、結果的には様々な構造になりますが、まず大切なのは、原則を踏まえることです。原則的な型があります。

原則は規則とは違い、例外を認めます。理由があれば例外的に従わなくてもよいです。規則は例外が許されません。

論文の基本構造は、
1)序論 Introduction
2)文献レビュー Literature Review
3)方法 Method
4)結果 Result
5)考察 Discussion
6)結論 Conclusion
です。

それぞれの部分(要素)が、論文構成上の役割(他との関係)で結びついて並んでいます。

この状態だと、1から順に6までまっすぐにリニアに並んでいるように見えます。実際そう並んでいます。

しかし、さらに深く見てみると、それぞれの要素間に対応関係とまとまりがあります。

A)方法と結果
B)文献レビューと考察
C)序論と結論

一番中心で中核になるのが、A)の方法と結果の部分です。この研究はどんな方法で行われ、その結果はどうだったのか、を述べる部分です。これが「核」、同心円の中心になります。この部分こそが「本研究」になります。


そして、その核を包むようにして、その外側に、B)の文献レビューと考察が配置されます。土星の周りのリングのように。この分野のどういう研究の流れを踏まえて「本研究」があるか、そして「本研究」で分かったこと(結果)を踏まえると、研究の流れがどうなると考えられるかを考察します。

一番外側に、C)序論と結論が配置され、論文全体を包み込み、まとめます。序論で、何について、どのような順で(構成)、何を明らかにしようとしているのかを述べます。そして、最後には、何について、どのようにして、何が分かったのかをまとめます。(あくまでもまとめです。)

なので、考察の部分で、どれだけ意味のある議論ができるかは、それに対応した先行研究のレビューでどれだけこれまでの研究を吟味できたかによります。

論文は、中心から書くことをお勧めします。自分が実際に行ったこと、何をどうしたか、そしてその結果はどうだったかを、淡々と、記者の感情を交えない新聞記事のように、事実を書いてください。

そしてこの研究へ至る先行研究の流れをまとめ、それを踏まえてこの研究結果から何をどう考えられるかを考察します。そして、そこまでの話の要点を結論でまとめます。最後に、序論で、この論文が何のために何についてどのように展開されているかを説明します。こうすれば、序論を書く段階で、論文の全体像が見えていますから、話がぶれることはありません。

論文は、自分が行ったことを中心に同心円の構造になっています。それを踏まえて論文を書きましょう。

以上、杉浦正利

参考



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