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あなたにもできるわかりやすいスライドの作り方

プレゼンのスライドは飾りではありません。
プレゼンのスライドは原稿ではありません。

プレゼンの目的を考えてください。あなたのアイデアを聴衆にわかってもらうのが目的です。

アイデアは言葉ではありません。言葉はアイデアを伝えるための一つの手段です。方法です。メディアです。
文字でしかアイデアが伝えられないとしたら絵画や音楽は何なんでしょう。

論文は基本、文字で書きます。アイデアは文字だけでは伝えにくいのに文字で書きます。だからこそ、誤解がないように、表現を練りに練って、言葉を選んで、手を変え品を変え、言い換え、具体例をあげたりして、言葉を尽くして緻密に表現することが求められます。

プレゼンは、論文ではありません。口頭発表です。話をします。そこではもちろん言葉が使われます。スライドなしのプレゼンだとしたら、使えるのは基本、言葉だけになりますから、話は、論文の場合と同じことになります。逆に言えば、論文を読み上げるのと基本同じです。人前に立つとしたら、そこでは、話し方とかジェスチャーも使える道具になりますが、基本、中身は言葉で伝えることになります。

スライドがあることで状況は全く違ってきます。アイデアを言葉以外の方法で伝えることが出ます。言葉を使うとしても、その使い方が論文での言葉の使い方とは違います。

実は、伝える以前に、アイデアを整理するという重要なプロセスがあるのですが、それはまた別の話として、アイデア自体は整理し終わって、それを伝えるというところから説明します。

整理し終わったアイデアは、その全体がまとまっています。まとまっていなければ、一つの話として伝えられません。では、全体がまとまっているとはどういうことかというと、全体を構成する部分・要素がさまざまな関係によって結びついています。要素が関係によって結びついて全体が構成されています。

その個々の要素が一つのアイデアです。また、アイデアとアイデアが結びついて一つ上のレベルの大きなアイデアにもなります。重層的になっています。また、結びつく関係もさまざまです。ですから、要素が結びついて全体ができているといっても、どのレベルでどの観点から見るかで様子は変わってきます。例えば、一人の人間が何からできているか、どんな要素から成り立っているか、考えてみてください。

アイデアのカタマリや関係はさまざまでどうとらえるかで変わってくるとしたら、とりとめもなくて困ってしまうと思うかもしれませんが、大丈夫です。

とらえる観点を定めることで、どういう単位でどういう関係でとらえればよいかが決まります。観点が定まらないと、レベルが混在したり、関係が矛盾したりして訳が分からなくなります。観点を定めるというのは、言い換えれば、伝える目的をはっきりさせ、伝える相手に合わせる、ということです。

さて、どういうアイデアを伝えればよいかが定まったところで、そのアイデアを表現します。アイデアの表現方法は、言葉・文字に限りません。そのアイデアを伝えるのに最もふさわしい表現方法を選ぶ必要があります。絵で表現した方が良ければ絵で伝えます。言葉ではまどろっこしいことも図で書いたらすぐわかることがあります。郵便局への行き方を言葉で説明するのと、地図でココ!と印をつけるのと、どちらが伝わりやすいでしょうか。言葉で説明を聞いた人は、その言葉をそのまま間違えずに覚えていられるでしょうか。地図なら一目で、どっちへ行けばよいか一目瞭然。

わかりやすいスライドを作るコツは、言葉で道順を書くのではなくて、地図を見せることです。

もちろん図では書きにくいこともあるでしょう。抽象的な概念とか。それは言葉で表現するしかないです。その時にどう表現するかですが、概して、アイデアはフレーズに対応します。単語まで細かくしてしまうと、逆に、曖昧になってしまいます。文で書き表すと、文を構成するために使われる言葉が入り込んで、アイデア以外の部分がふえてわかりにくくなります。原則、アイデアは、フレーズで表現してください。そして、フレーズとフレーズの関係をわかりやすく矢印や線や番号を使って示してください。

データを使った研究内容を伝える場合、データは集約されると数字になります。ですから、集約された数字を伝えることが、研究内容のエッセンスを伝えることになります。事実としての情報量が大きいです。結果を抽象的な言葉を使って「まとめ」ても情報量は少なくなるし、説得力もありません。統計的に差があったのであればその差を示す数値を示せば一目瞭然です。複数の数字があったら表にしてまとめましょう。表はデータを整理した結果のまとめです。そこにその研究があきらかにした事実がまとまっています。

ただ、文字としての数字はデジタルで、アナログ的な意味を表現できません。33倍と99倍は、文字を見ただけでは99倍の大きさが伝わってきません。その数字が伝えようとしている「大きさ」をアナログ的にイメージする必要があります。イメージしないと伝わりにくいとしたらイメージとして表現したほうがよいでしょう。それがグラフです。郵便局の場所は地図で教えてあげましょう。

まとめます。
0)内容を整理しておくこと
1)アイデアはフレーズで表現すること
2)分析結果は表にまとめること
3)グラフでわかりやすく表現すること

スライドにしてはいけないもの
×)プレゼンのセリフとなる自分の文章

以上、杉浦正利

追加資料:実際のスライドの修正例です。以下の2枚のスライドを比べてみてください。どちらが見やすいですか。また、どちらが内容が記憶に残りますか。

(橋崎諒太郎君作)

参考


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