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#153おばあちゃんからもらったおやつについて

 以前に「#138菓子の名は…」の回で「奉天」という菓子がかりんとうの一種であることを初めて知った、ということを記しました。奉天やかりんとうは筆者個人の思い出としては、子どものころに祖母を訪ねた時にもらったおやつ、という印象があります。これらと共に、もう一つ、祖母からもらった菓子に「ハクセンコウ」というものがあります。

 この「ハクセンコウ」、砂糖を固めたの菓子で、甘いけれども、食べると口の中の水分が取られてしまって非常にもごもごする食べ物として、子ども心にもあまり好きではありませんでした。長らくこの「ハクセンコウ」が、冠婚葬祭の引き出物としてや仏事で出てくるものではありましたが、何か、よく判っていませんでした。大人になって、仕事で史料を読んでいると、「白雪糕」という文字が出て来て、これは何だとなって辞書を引いたところ、「精白したうるち米ともち米を製粉したものに白砂糖を加えて蓮の実の粉末を混ぜて固めたもの、「はくせっこう」とも呼ぶ」という内容の説明がありました。この「白雪糕」についての辞書の解説を読んで、どうやら子供のころに祖母にもらった「ハクセンコウ」と同一のものだなと気づきました。「ハクセンコウ」は「白雪糕(はくせつこう)」が関西弁になまったものである、と。

 仕事をし出して、少し抹茶のお点前なども習う機会があり、それに伴って落雁なども口にする機会が出てきました。すると、落雁と白雪糕は何か違うところがあるのか、そもそも茶道で出される干菓子と落雁、白雪糕とはどのような関係なのかが気になってきました。

 まず著者が特に菓子について詳しくないため、常識的な範囲のことかも知れないのですが、おさらいをしておくと、干菓子というのは一般的に水分が一〇パーセント以下の和菓子の総称になるそうです。そのため著者がイメージしていた、砂糖を押し固めたものだけではなく、麩の焼きや有平糖、どら焼きなども含まれるようです。
 その中でも、落雁や白雪糕は打ち物という分類に入るもので、砂糖などを型に入れて押し固めたものになります。以前に街を歩いていた時に見た、和菓子屋の看板で打ち物の木型を用いていたものを見たことがあるので、参考までに下に写真を掲げます。

和菓子屋の看板。看板の縁に打ち物の木型を使っています。

 ここまでで、和菓子ー干菓子ー打ち物ー落雁、白雪糕という分類になることが判りましたが、具体的に落雁、白雪糕はどのようなものを指すのでしょうか。白雪糕は先に「精白したうるち米ともち米を製粉したものに白砂糖を加えて蓮の実の粉末を混ぜて固めたもの」と 記しましたが、落雁については、「米、豆、蕎麦、栗などのでんぷん質の粉を砂糖や水飴に混ぜて型で押し固めたもの」だそうです。そういえば、長野県小布施町では栗落雁が有名なのを思い出しました。金沢の長生殿も有名ですね。

 白雪糕との違いは、使うでんぷん質の粉が米であるかどうか、蓮の粉と水飴を使うかどうか、ということのようでした。
 因みに白雪糕について調べていると、虎屋のサイトで徳川吉宗と白雪糕についての興味深い逸話が掲載されていました。砂糖が貴重品の時代で、大切な家臣の見舞いの品に徳川吉宗が白雪糕を贈っていたという逸話が書かれていますので、ご興味のある方はご覧ください。

 また、下記の京都府のサイトでは、干菓子の分類が判りやすく記されていますが、落雁と白雪糕の違いが「みじん粉」を用いているかどうかとなっています。これについては、一般的なことなのか、京都府独自の規定なのかどうかが判断が付かないですが、今後気にして調べてみたいと思います。



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