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ゲーム音楽DJがミックスを作るときに考えていることと、好きな曲の好きなところをただ語る

こんにちは。ゲーム音楽DJのすいそです。

2023年5月6日の土曜日に「SHOXXXX SubStream3」というオンライン音楽イベントに参加しました。そこで流したミックスについて語っていきます。

ミックス動画はYouTubeにアップしているので、よかったら聴きながら読んでもらえるとうれしいです。

https://youtu.be/-hWchf7uXI8

まず、いきなり暴露しますが今回厳密にはDJをやってません。AdobeのAuditionというソフトに波形を並べて色々こねこねして作ったミックスです。普段はミックス持ち込み系イベントだとしてもrekordboxでラフを組んだり軽いエディットを作ったりもするんですが、今回はAuditionだけで完結させてます。

1曲ずつ語る前に、今回のミックスを作る際のプロセスについて。これはいつもやっていることですが、まずは普段から音楽プレイヤー兼データベースとして使っているMusicBeeで候補曲を1つのプレイリストに突っ込んでいくところから始めました(MusicBeeは独自タグを付けられたりプラグインが豊富だったりとカスタマイズの幅が広く、動作も軽いので管理ソフトとしても非常にオススメ)。

この時点で300曲くらいになります。ただここでは特に制約的なことは考えず、思いつくもの目に留まったもの何でも選んでいました。理由も色々、「単に自分のお気に入り」「最近買ったから流したい」「ふと聴き直したらめっちゃ良かった」「常連のあの人が好きそう」など。

途中で「これは絶対使いたい」という曲が見つかったので(後述)、今度はそれを軸に、近いBPMやジャンルの曲を探しつつも絞り込んでいくフェーズに移ります。これが何気に一番時間のかかる、そして楽しい作業だったりします。

そうしてある程度まとまりを帯びてきた候補曲を、全体の流れやBPMも気にしながら優先度(流したい度/テーマに合ってる度)順になんとなく並べ替えていきます。ここまでがMusicBeeでの下準備。オフラインイベントであればこの先はレコボでキュー打ちながら組んでいったり、あとは現場で……となったりもするんですが、今回はあまり流れを固めずにいきなり1曲目からAuditionにドロップしていきました。

01. JACK DA FUNK / HIDEKI NAGANUMA / Bomb Rush Cyberfunk

今回イベントの一番手ということもあって、落ち着いた選曲でいこうと思っていたんですが、候補曲全体があまりにもおとなしすぎたのでいったん派手なのを最初の方にもってくることにしました。『Bomb Rush Cyberfunk』はリリースを今年8月に控えたごりごりの『ジェットセットラジオ』フォロワーゲーです。ちょうどこのミックス制作中にニュースにもなったりしていてタイムリーさを感じました。SHOXXXXというイベントは『beatmania IIDX』の「LUV CAN SAVE U」がなぜかアンセム化していて、長沼さんの曲をかけるとこのイベントらしさが出るんですよね。そして、ゲーム名にも曲名にも「FUNK」と入っていたのがよかったです。前述の"軸"となった曲もファンク系だったので、すっとテーマが定まりました。曲はいかにも長沼さんらしいカットアップファンクで、オケヒにシンセにヴォコーダーと、好きな音だらけです。

02. Constant Moderato / Mitsukiyo / ブルーアーカイブ

東京ゲーム音楽ショー2023で刊行された「ゲーム音楽レヴュウ Vol.5」の井上尚昭さんの評に"Kawaii Future Bass絵巻"とあって、このフレーズがめちゃくちゃ好きになってなんとゲームを始めました。そのインストール中にずっと画面を見ながら聴いてた曲です。タイトル画面の透明感のある雰囲気すごくいいですよね。普段Steamでインディーゲーばっかりやってるんですが、ちゃんと流行りものにも手を出そうと思ったのでした。曲のパワーが強いので予兆と勢いを大事にしつつ、キメの部分が噛み合うように「JACK DA FUNK」は中盤でアウトロに繋いで途中をループ、この曲はイントロを2回ループさせて繋いでいます。

03. GO!GO!STYLE / Barry "Epoch" Topping / Paradise Killer

稀代のヴェイパーウェイヴゲー『Paradise Killer』から。休日の真昼間に流すことをイメージしながら選びました。明るいシンセウェイヴですがエキゾチックな怪しさもあるのが好きです。少し違いますがソーラーパンク的なイメージ。リズムがしっかりしているので、ビートレスなイントロで始まる次の曲とは相性のいい繋ぎになりました。

04. Slurpie Worms (feat. Chalk Dinosaur) / John Richard O'Halloran, Sean Sparacino / Space Slurpies

どこで見つけていつ買ったかもあまり覚えていないんですが、MusicBeeでしっかりタグ付けしてBPMも計ってあったんでいつかDJで使おうとしていたんだと思います。ヴォコーダー最高ですね。この曲はシンセファンク系ですが、ジャージークラブっぽいチルめな曲とかもあるのでオススメのサントラです。VGMDJ界隈で流行ったら起源主張したいのでどうか流行ってください

05. a n n i v e r s a r y / DAOKO / ドラガリアロスト

イノタク枠。このゲーム最初期だけしかプレイしてなかったので1周年のタイミングでは離れてたんですが、曲のリリースはニュースで知ってMV見に行った記憶があります。DAOKOさんの良い意味で力んでない歌い方が好きです。サビのバグパイプっぽい音色もおめでたい感じがあってよいですよね。前の曲の歌終わりからこの曲の歌い出しでざっくり切り替えてますが、イントロの"えびばーでぃー"的なボイスが印象的だったのでここだけ聞こえるようにEQいじりました。次の曲への繋ぎ部分でもけっこう思い切りEQかけてます。ちょうどピアノのコードが暴れ出すところだったので音がぶつかり過ぎないように苦労しました。こういう繋ぎって現場の勢いがあるとあまり気にならないと思うのですが、ミックス作りだと難しいですね。

06. Speed of Light / 塞壬唱片-MSR, DJ Okawari & 二宮愛 / アークナイツ

『ブルアカ』始めたきっかけでタガが外れて『アークナイツ』も始めてしまいました。このゲーム、ニワカが混乱するレベルでYouTubeに映像や音楽コンテンツが大量にあがってて、開発運営の気合と愛のデカさを感じます。ゲーム中のBGMはかなり落ち着いたダークアンビエント系が多いのですが、定期的にリリースされているMVがマジで超ポップス。何せニワカなので文脈がいまいちわからないのですが、『アークナイツ』、神ゲーでした。耳馴染みのいいEDMやヒップホップから、流行りのトラップ系、オールドスクールなディスコ系まであって、本当に何なんすかこのコンテンツは。ということでこの曲はアシッドジャズです。Just The Two Of Us進行とかVirtual Insanity歌謡とかが好きな人にはたまらんアレンジですね。

07. Every Day is Night / Garoad / VA-11 HALL-A

推しゲームの推し曲です。過去「Welcome to VA-11 HALL-A」「Good for Health, Bad for Education」「Safe Haven」は流したことあったんですが意外とこれは使ってませんでした。一気に夜っぽい雰囲気になってしまうので選曲に少しだけ躊躇いましたが、曲調的に今回のトーンには馴染んだかと思います。これもシンセウェイヴといっていいでしょうか。ジャンル名としては音楽的要素に基づいていると思うのですが、ゲーム文脈の中だと夜やネオンなどサイバーパンク的なビジュアルと結びついているのが面白いですよね。

08. Sweet Sensation / FLO RIDA / JUST DANCE

強引に重ねて繋いでます。最初にかかる音ゲー曲が『JUST DANCE』でしかも版権曲だったことに後になってから気がついたのですが、誰も突っ込まなかったあたりこのイベントの懐の深さを感じます。超ファンキーでかっこいいですよねこの曲。余談ですがフロー・ライダーの曲は邦題のダサさが突き抜けているので(「今夜はロウ☆ロウ☆ロウ」「い・け・な・いスウィート・スポット」「俺たちワイルド・ワンズ」など)気になった人はぜひググって味わってみてください。

09. cosmic agenda ~一舞edition~ / 和泉一舞 (日向美ビタースイーツ♪) / GuitarFreaksXG2 & DrumManiaXG2

「Sweet Sensation」のブレイクを若干ツギハギして繋いでます。ひなビタの面々にパパ(TOMOSUKE)の曲を歌わせるシリーズ、狂おしいほど好きなんですよね。端的に言うと性癖なんですけど、中でも咲子の「空言の海」とイブの「cosmic agenda」は天才の采配だと思います。ベーシストだからアシッドジャズなのはわかるんですが、それにしてもあのいぶぶが「cosmic agenda」て、ちょっと、もう。パパ本当にありがとう。

10. SYSTEM / RAM / beatmania 5th MIX

この曲ウルトラファンキーだと思いませんか。ジャンル"ELECTRONICA"は嘘でしょう。"FUNKY ACID BREAKBEATS"とかにしてください。SHOXXXXは「SHOX」を冠している通り、RAMさんファンイベント的なところからスタートしたクラブイベントでして、RAMさんの曲がよく流れます。自分も大ファンです。「SYSTEM」と同時期だと「RECALL」とか「2tone」とかも大好きです。さてここでようやくBEMANIの流れができてきたので、以降音ゲー曲は意識的に増やしました。ただし音ゲーDJをするつもりはあまりなくて、こういう何でもありミックスの中で急に馴染みある曲がかかった時の面白さ新鮮さってあるじゃないですか、そういうのが好きなんだと思います

11. Floor 5-2 Gonna Bust a Blood Vessel / Craig Barnes / Streets of Rogue

「SYSTEM」があっさり終わるので、最後の1音にディレイかけてなんとなく余韻をつけて繋いでます。『Streets of Rogue』はSteamで配信されている犯りたい放題系のローグライクアクションですが、この曲のうさんくささ、きなくささ、たまんないですよね。中盤ブラスの音が入ってきてからの乾いたトイピアノみたいな音が足される展開とか最高です。

12. A Time for Everything / Iris / Rotaeno

BPMは前後に合わせて若干上げましたがここはシンプルに繋いでます。スマホ回す系音ゲー『Rotaeno』からIrisさんのシンセファンク。プレイして真っ先に好きになった曲でした。この音源はSilentroomさんが主宰するUnisphereから出ている「ぼくらの音楽」というフリ―DLコンピに収録されています。ゲーム版とけっこうアレンジが違っているので、いつかゲーム版の音源もリリースしてほしいですね。アシッドジャズとかによく入っているストリングス(系シンセ)のオブリガートが大好物すぎて、この曲も聴いているだけでヨダレダラダラです。

13. PUT YOUR FAITH IN ME (DA's Twinkly Disco Remix) / UZI-LAY / DanceDanceRevolution X3 VS 2ndMIX

誰ですかこの曲のリミックスをDirty Androidsさんに発注した人は。頼むから幸せになってください。80s/90sサウンドを地でいく楽曲を現代で作り続けている方なので、もう相性がよすぎて曲名表記だけで飯が食えます。ベース聴いてるだけでぶっ飛べます。原曲から艶っぽさが増していて、Daft Punkのフィルターハウスのような音使いもいい味出してますよね。

14. Love∞Destiny (M@STER VERSION) / 佐久間まゆ、北条加蓮、小日向美穂、多田李衣菜、緒方智絵里 / THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS

アイマス界屈指のR&Bです。アイカツの「サマー☆マジック」、アイマスの「Love∞Destiny」です。イントロを使いたかったので「GAME VERSION」ではなく「M@STER VERSION」を持ってきていますが、最後のワンフレーズは活かしたかったので、サビ終わりからアウトロに繋いで疑似ショートサイズにエディットしています。配信系イベントだと1曲を長く流すより手数増やしたい派なので、こういう地味な小技を使いがち。

15. プレパララ / 水夏える / ドーナドーナ いっしょにわるいことをしよう

最近この手のカットアップ+シンセ系のラウンジサウンド、ゲームで流行ってる気がします。BGMとしてバチっとトーン決めつつも気にさせ過ぎないループミュージックとして使いやすいんでしょうか。エロゲなので色々とどうかしてるんですが、アートワークと音楽の尖り方もすごいですよね。自分みたいにそこまで18禁ゲームに明るくなくてもこの作品は知ってるという方多いのではないでしょうか。『Muse Dash』とコラボもしましたし。

16. tape/stop/night / Sugar&Co. / Muse Dash

というわけで何気に『Muse Dash』繋ぎです。素直に重ねてきれいに繋がるとテンションあがりますね。今回候補曲に『Muse Dash』曲が多すぎてかなり悩みました。BPM帯やジャンル的に、「DROPS (feat. Such) / Zekk & poplavor」や「裸のSummer / オリーブがある」を繋いでいた可能性も全然あったと思います。結果的にここでこの繋ぎが生まれたことで、終盤のフューチャーファンク/シティポップの流れへの伏線に。

17. Will be / 寺小尾響紀 (喜多村英梨) / L@ve once -mermaid's tears-

掘り出し物枠。いつかDJで使えるかもと思ってPSP時代の美少女ゲームのキャラソンDigっておいてよかったです。いかにもなギャルゲーのキャラソンですけどBメロで鳴ってるクラビの音とかサビ前のスクラッチとか、ニヤニヤできる音が多くて、今回繰り返し聴いていているうちに寺小尾響紀さんのことが好きになりました。最後はセルフロールとでもいいますか、波形切り貼りして無理やり繋ぎ目作ってます。これ地味に手間な上に完成させて実際に聴いてみるまで脳内の想像が正しいかどうか確証もてないのが本当に割に合わないと思います。

18. To All Tha Dreamers / SOUL'd OUT / jubeat plus

SOUL'd OUT好きでしょ。俺も。前の曲になぜかいい感じのスクラッチ音が入ってたので、なんか繋げたくなっちゃったんですよね。『jubeat plus』とかいう、ゲーム音楽DJの引き出しにあってはならないところから持ってきてるんですが、これも完全にイベントの懐の深さに甘えてます。それにしてもカッコよすぎんかこの曲。Aメロ中盤のウィスパーで付点8分を刻みながらDiggyを呼んでるリズムとか、Bメロ中盤のベースと掛け合いながら降りていくフレーズとか、ブレイクのオラつき地帯の裏で鬼気迫るDJ Massさんのスクラッチとか、そのあとの大サビへ向かってく流れのアレンジとか、もう好きな部分多すぎてベレベレイーベンしそうです。

19. Summer Night / Crystal Cola / A Summer's End - Hong Kong 1986

80年代の香港を舞台にしたADVのサントラです。ヴェイパーウェイヴにはモールソフトというサブジャンルがあるんですが、日本でいうところのジャスコフュージョンと立ち位置は似ているものの、イメージする憧憬の違いからかリゾート感が強烈なんですよね。これも休日の真昼間に聴きたい、と思って選曲しました。

20. Plastic Love / Night Tempo / 太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル

『太鼓の達人』に「プラスティック・ラブ」と「真夜中のドア~Stay with me」が入った時、太鼓チームを心の中で胴上げしながら「シティポップのアンセムが音ゲーDJで流せる!」と大歓喜していた自分としては、この機会を待ち望んでいたわけですよ。神に感謝です。Night Tempoのフューチャーファンクリミックスなのは前後との取り合わせももちろんあるんですが、音ゲー版権曲の音ゲー文脈と関係ないリミックスを音ゲー曲として流していくことに対して、完全に開き直った結果です(前回も「ENDLESS SUMMER NUDE (Tomita Lab. Remix)」や「JIVE INTO THE NIGHT -野蛮な夜に- [HOUSE MIX]」を流した前科あり)。

21. glamorous fingers (scratching) / Hiro / CRACKIN' DJ

当初このままシティポップの流れで〆るつもりだったんですが、どうにもしっくりくる繋ぎが見つからず追加した曲です。本来ハイパー艶々チューンであるこの曲が、パフェのウエハースのようなサクサク感を演出してくれたのは繋ぎのマジックですかね。ベースがドエロいんで火に油なような気もしますが、前後を映えさせつつもハッとする流れを作れたんじゃないかなとは思います。

22. NEON 1989 (ESTi Remix) / YUKIKA / DJMAX RESPECT V

ESTi先生への無限の感謝が湧き出てくる神神ゴッドゴッド曲。「プラスティック・ラブ」とベースのフレーズが一致しているのは確信犯でしょう。原曲のしっとりしたノリも好きですが、若干BPMがあがってグルーヴのニュアンスも変化したこっちもうまみたっぷりで大好物です。セルフリミックスというのはつまり素材のおいしい部分を誰よりも理解している人による調理ですからね。この曲はタイトルがネオンなのも好きです。シンセウェイヴが持つ追憶のまなざしの先にあるネオンはこのシティポップ的情景のネオンなんだろうなという自分なりの答えを込めて、今回流したかった曲のひとつでした。

23. Go Easy!! / good-cool feat. さな / pop'n music 10

出音の主張が強いせいか最初試した繋ぎがイマイチだったんですが、イントロをループさせつつフェードインにしたら存外いい感じになったので満足してます。終盤の盛り上がる流れを作りたくてトレンディポップを持ってきたのは大正解でした。カッティングギターとチャカポコバッキング、オシャ和音一発鳴らし系シンセ、ブラス、クラビネット、ドエロいベース、役満です

24. Mass Destruction -ATLUS kitajoh version- / 喜多條敦志 / ペルソナ3

「明日あたりキレるかな」からの即落ち「Mass Destruction(大量虐殺)」でした。嘘です完全に偶然の産物です。この曲も色々なバージョンありますが、多分これが一番ファンキーだと思います。「Burn My Dread」のヴァースから入るのもニッコリポイント高いですね。この曲がRPGの通常戦闘BGMであるという残酷な事実がイベント中のチャット欄でどなたかから告げられていたのですが、それを聞いて狼狽える音ゲーマーを眺めながら自分はひたすらキャッキャしていました。

25. 違う、そうじゃない / 鈴木雅之 / CHUNITHM NEW

今回の軸になった曲です。要は「この曲を絶対に流したい」からこのミックスは始まっていたのでした。エイプリルフールネタとは言えこれが収録された時、チュウニズムチームを心の中でコブラツイストしながら「インターネットミームキッズが震え上がるファンクアンセムが音ゲーDJで流せる!」と大歓喜していた自分としては、この機会を待ち望んでいたわけですよ。がびがびのjpgに感謝です。「Go Easy!!」がトレンディポップである所以の一つがこの曲だと思っています。もうね音使いが一緒なんですよ。そのくらいド直球ド王道で、トレンディというワードで切り取れるような時代を象徴する音楽です。

26. 美の謀略 〜蛮神ラクシュミ討滅戦〜 / 石川大樹 / FINAL FANTASY XIV

ピークを「違う、そうじゃない」に持ってきたので、後は少ししっとりさせて〆るつもりで最後の2曲は決め打ちしていたのですが、どうにも繋ぎに悩んで追加した曲です。終盤にしてこの曲を探し当てるのに超絶苦労しました。ただ、ミックス前半で流したカットアップ系のリプライズにもなって、結果的に全体のバランスが整った気がします。

27. Dont Stop Popping - Credits / Skule Toyama / PopSlinger

実質的な今回のミックスのエンディングテーマです。ヴェイパーウェイヴとゲームが互いに参照し合う傍らで、ポップカルチャーサンプリングとしてのフューチャーファンクが産声を上げ、シティポップリバイバル、ローファイヒップホップ、カワイイフューチャーベースの潮流を産みながら、サンプリングから解放されていった現代フューチャーファンクが、ついにはっきりとゲームへと到達した瞬間だと思いました。余談で予言しますが、ニンテンドー64のサウンドフォントでオルタナやプログレの名盤をカヴァーする謎のムーブメントが近年海外で巻き起こっていて、恐らくもう少しすると明確な名前がついて、そのジャンル(単なる64ライクな音楽ではなく、64サウンドフォントで奏でられたオルタナティブ/プログレッシブロック)でサウンドトラックを構成したゲームが登場すると思います。観測していないだけで既にあるかも。

28. ORDYNE ROUND1 : Orland Remix / Orland / オーダイン

この曲のカオスな立ち位置については以前語ったので省きますが、自分の人生のエンドロールに流したいくらい好きな曲です。今回のミックスのテーマというか、ゲームと音楽とゲーム音楽オタクのクソデカ感情を勝手に込めています。原曲は細江さん(sampling masters MEGA)というと意味が伝わるでしょうか。YMOフリークであり、ゲームミュージックとクラブミュージックを繋いだ張本人であり、絶大な影響を与えながら80年代から現代もゲーム音楽を作り続けているヒーローです。そして今回何度かクラビネットの音色について言及していますが、この曲の最後の方に裏でビゴビゴ鳴っている音がクラビです。ちょっとロービットな感じがゲーム音楽と相性いいなとこの曲で気付いて以来格別好きになりました。とにかく自分の好きが詰まりまくった曲です。

ここまで聴いていただいた方、読んでいただいた方、ありがとうございました。

すっかり現場DJをやらなくなってしまったのですが、こういった配信主体のミックス持ち込み系イベントは機会があれば積極的に参加したいなと思っています。もしお誘いがありましたらTwitterにDMなどぜひください。

Mixcloudの仕様変更で趣味ミックスを作るモチベも下がっていたのですが、うまく選曲すればYouTubeにアップしても制限がかからないということがわかったので(この点ゲーム音楽は比較的自由度の高いジャンルなので助かってます)、時々やっていこうと思います。それではまた。

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