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読書感想文 夏目漱石 こころ

結局、恋愛小説だった。
明治時代の、今からしたらぶっ飛んだ知識人の。

 夏目漱石は、中学生の頃に挫折した記憶があった。吾輩は猫である、を読もうとして、全然分からなくて読み進められなくて諦めた。今思えば、中学生にはちょっとおしゃれに言えば背伸びだったし、結局は無謀で身の程知らずだったんだと思う。大人になってふと読んだ夏目漱石は、とんでもない恋愛小説だった。人生観が…生死感が…とかいう感想もなくはないけど、語り過ぎない方が良い気がする。兎にも角にも、今回ちゃんと本として楽しめたことで漱石で挫折した昔の私の仇がとれた様な、満足感を得ることができた。
 そしてすごいと思ったのは、昔に書かれたはずなのに文章が古臭くないこと。テンポ良く、くどそうでくどくなく、的確な表現でつらつらとしたためられている。このテンポの良さを感じたら、感想を長々と語り過ぎる気にはなれなかった。
 他の夏目漱石も読んでみようと思った。ちなみに文庫本にしてもやたらお安いのだが、それが良いのか悪いかは分からない。少なくとも私にとってはコスパ抜群である。

 この本を手元に残すかどうかは、改めて考えることにする。
 

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