すけころ太郎

つれづれなるままに。文章にできるよろこび。 大したことは書かない。楽しいとうれしい。

すけころ太郎

つれづれなるままに。文章にできるよろこび。 大したことは書かない。楽しいとうれしい。

最近の記事

読書感想文 東野圭吾 殺人の門

 人を不幸にする嫌な人の長い話、612ページ。  あいつが主人公をはめた手段は、不幸の手紙、賭博、ネズミ講、詐欺、美人局、株の不正取引。主人公は小学生の頃からことごとくあいつの口車に乗せられて痛い目を見続けているのだが、読んでいるこちらとしては、「あーどうして騙させるかなー」「こんなの上手くいく訳ないのにー」「いい加減気付いてくれよー」と都度やきもきさせられる。なのに主人公は騙され続けるから、読者は胸糞から600ページ近くも抜け出せないことになる。  こんなにやきもきしてイ

    • 読書感想文 朝井まかて 最悪の将軍

       この作家さん、好き。  生類憐みの令が悪政であることは私でも知っている。犬公方と言われた徳川綱吉の勅であることも知っている。その綱吉が、妻であり御台所たる信子が、かように考えていたとは。フィクションなのかノンフィクションなのか、どちらとも解釈し得る展開と人に対する洞察力は興味深いものがある。  加えて、私がこの作家さんを好む理由は何と言っても切れ味の良い文章。サバサバと短いのに、情報と心情が必要なだけ盛り込まれていて感情移入出来てしまう。無駄がないだけではない、私の無駄に

      • 読書感想文 宮部みゆき 長い長い殺人

         わくわくするミステリーだった、最後の手前までは。  連続と思われる殺人が何件か起こり、いかにも怪しい容疑者がいて、それぞれのエピソードとその関係者達が読み進めるにつれて繋がっていく。伏線が回収されていく様な爽快感もあり、真犯人は結局誰だろうというドキドキ感もたまらなかった。  そして、犯人はそれまで登場して来なかった人物。影はあったかもしれないけど…この展開が私は苦手なんだと思う。話として筋は通っているし、人の心情を上手く利用して匠でもある。文章も構成もすごく良い。でも…

        • 読書感想文 ロス・トーマス 愚者の街

           これが海外の発想か  帯にはミステリーと書いてあったのだが…クセあり過ぎの過去を持つ人たちが腹黒い人たちと騙し合いをしてとある街の裏金を横取り、街を破壊するまでの心理戦に、クセあり主人公の回顧録を挟んだお話し。慣れ親しんだミステリーではなかった。上下巻。  街を破壊するとはなんぞ?と思ったがこれが難しい。平和な日本の庶民にはなかなか考えの及ばない発想だった。梅毒が蔓延する街の汚職、裏金、ギャング、賭博、違法薬物、そして騙し合いの心理戦。政治家のスピーチひとつのために莫大

        読書感想文 東野圭吾 殺人の門

          読書感想文 夏目漱石 坊っちゃん

           明治のスクールハラスメント  夏目漱石作品を読んで3冊目、やっと主人公が働いた。文章も軽快で全体的に皮肉っぽく、小説としては短い。私には面白くて読んでいて笑いそうになった。漱石はやけになって書いたんだろうか。実体験に基づくとされているから、この状況で嫌になるのはごもっとも。ハラスメントが昔も今も変わらず存在するのはつまり、人間とは結局は他人を蔑むという貧しい行動でしか己を満足させられない愚かしさを根っこに持ってるってことだろうな、と思いため息をつく。  多分、夏目漱石は労

          読書感想文 夏目漱石 坊っちゃん

          青木まりこ現象

           私にも起こることがあるんです、青木まりこ現象が。  青木まりこ現象とは、本屋さんに行くとおトイレに行きたくなる現象のこと。原因不明、必ずしも皆に起こるわけでもない。おそらく、私の様に毎回起こるとも限らない。青木まりこさんという方がこのエピソードを雑誌か何かに投稿し、意外と多くの共感を得たことでこの様に呼ばれるようになったらしい。  私だけかと思ってたけど、他人に言うようなことでもないと思ってたけど、同じ思いの同志がいると知った時の安堵感たるや嬉しく心強いものがある。まし

          青木まりこ現象

          読書感想文 森博嗣 すべてがFになる

          SFではあってもミステリーではない。  ザ・理系。比較することの良し悪しを問わずに言えば、理系出身の東野圭吾作品には人情とか心情という人間臭い要素が多く、温かい血が通ってる感じがする。一方本作は、数学工学物理学の要素がほとんどで、アルミやコンクリートの人工物的なヒンヤリした感じがした。場面設定自体がハイテク仮想空間で正にSFといった印象を受けた。  最も納得がいかないのはトリックの点。刃物で刺された人が耐えて平静を装っていた、という本書における事実。無理があり過ぎる、人体は

          読書感想文 森博嗣 すべてがFになる

          読書感想文 ジャイルズ・ミルトン スパイス戦争

           古きを温ねた。  この本を読んだのはスパイスカレーにハマっているから。スパイスカレーは自分で作っても意外と難しくなく美味しく出来たのだが、お店の味も食べてみようと行ったお店のカウンターの壁側に立てかけてあったのがこの本。カレーがめちゃめちゃ好みで美味しかったので、このお店にある本なら読んでみたいと思って即、アマゾンで注文した。  1500年代後半から1600年代の大航海時代にヨーロッパからスパイスを求めて航路を見い出し、利益を上げるべくした東インド会社を背景とする西洋人

          読書感想文 ジャイルズ・ミルトン スパイス戦争

          読書感想文 東野圭吾 ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

          安心安全、間違いのない東野圭吾ミステリー。最後に登場したクズが全部持っていった。  私が東野圭吾作品に出会ったのは、つい4,5年前のこと。えー、読んだことなかったの、と言われるくらいに遅いデビューだった。最初に読んだ「容疑者Xの献身」の内容が刺さりまくって、作者の理系出身という解説に深く頷いたものだった。それから、もちろん数える程の冊数しか読めてはおりません。しかし、頭の切れるストーリー展開による面白さと必要性をもって繰り返される説明による分かりやすさをもってして、私の中で

          読書感想文 東野圭吾 ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

          読書感想文 夏目漱石 それから

          長い身の上話と、それから大人の不倫の話。  身の上話を書くのにこれほど哲学っぽくも倫理学っぽくも文章を綴ることができるのが、プロ作家のプロたる所以であろうか。本編と関係なさそうな話の盛り込み方だって、よくもこうやって物語をまとめることが出来るものだと感嘆してしまう。  興味深いと感じたのは、妊娠した女子がもっと相手と二人の時間を過ごしたかったとか、アイドルが偶像と表記されスターがスターであるのは限られた状況での一時に限られるであるとか、現代にも通づる価値観が明治の時代にも

          読書感想文 夏目漱石 それから

          読書感想文 青山美智子 お探し物は図書室まで

          このお話を楽しめている私は大丈夫、本物の絶望には至っていない。  現状に満足していない人たちが図書室での出会いによって、不満の原因を他責にしていたことだったり、己が抱く真の希望だったり、実は今幸せだったりすることに気づいて人生が豊かに成っていく物語。躓いている人たちがちょっとのきっかけで変わることができる、という希望を与えてくれるフィクション作品だった。  読み進めるうちにふと本を閉じて斜め上を見上げて、息を大きく吐いた瞬間があった。読むの止めよっかなと一度思った。そんな一

          読書感想文 青山美智子 お探し物は図書室まで

          読書感想文 夏目漱石 こころ

          結局、恋愛小説だった。 明治時代の、今からしたらぶっ飛んだ知識人の。  夏目漱石は、中学生の頃に挫折した記憶があった。吾輩は猫である、を読もうとして、全然分からなくて読み進められなくて諦めた。今思えば、中学生にはちょっとおしゃれに言えば背伸びだったし、結局は無謀で身の程知らずだったんだと思う。大人になってふと読んだ夏目漱石は、とんでもない恋愛小説だった。人生観が…生死感が…とかいう感想もなくはないけど、語り過ぎない方が良い気がする。兎にも角にも、今回ちゃんと本として楽しめた

          読書感想文 夏目漱石 こころ

          だから何だって話だけど

           カフェオレが好きになって、コンビニの陳列棚に並んでる甘いやつを買っていた。甘いことへの罪悪感はあったけど、甘くなければ美味しくないと決めつけていた。  ある時、コンビニのマシンで作るホットのカフェオレを飲んでみた。結果、美味しかった。お砂糖は入ってないはずなんだけど、ふわふわでほんのり甘みがあって美味しかった。ミルクと泡の空気がほんのりおいしい甘みをだしてくれたんだろうな。マリアージュって飲み物を美味しくしてくれるんだな。  で、カフェオレに甘みを足さなくても良いと思ったら

          だから何だって話だけど

          特殊詐欺の昼食

          タルタルを語るあなたはマヨネーズ 気持ち的には逮捕したい

          特殊詐欺の昼食

          7月俳句

          酷暑にも 秋来ると告ぐ とんぼ飛ぶ 酷暑に飽きが来たら良いんですけどもねぇ。

          ノー残業

          定時なら コンビニ店員 違う顔