前に進むというのは苦痛である。

私は今、少しだけだけれども
居心地の良い体勢で落ち着いている
久々に。

しばらくは、こうしていたい。

しかし、もっともっと先に。
はやく、前に進まなければと
心が苛立っている。

この焦りは良くない。
かえって混乱するだけだ。

そうわかっていても
私には無いものが多すぎたし
いらないものが多すぎる。

心がいくら焦っても
体は何もしてくれない。

想像を膨らませてしまえば
なおさらだ。

誰が好き好んでこんなに寒い冬の朝に
外に出て真水を浴びるのか。

そこまでひどくはないにしても、
私にはなかなかこの薄くて丈夫な膜が
破れない。

いつの頃からか、まとわりつく薄い膜。

過去の自分は夢のようであるのは
いつものことである。

一番良いのはコーフンさせることだろう
自分を。

私は音楽を耳にするとコーフンするし
素晴らしい文章の一節を見つけたら
コーフンする。

もちろん美しい女性を見てもコーフンする。
外見の美しさとは関係のない美しい心と
素晴らしく熱い心を持った人物と
出会ったりなんかした日には
コーフンとはまた違う種類の感情を抱く。

それは絵画や壮大な風景を目にした時と
同じかもしれない。
音楽にもそれと同じ種類のものがある。
それは確かである。
もちろん私の中だけの確実性。

そしてそれに紛れて飛び込んでくる
厄介な奴らを無視できない。

いらないものと
必要のないもの。

直感的にそう感じた瞬間
無視しようか
それとも
どんなものでも受け入れるべきなのか
迷う。

よし、最初の5秒間だけ直視しよう。
その間に見極めよう。
いや、やめておこうか。
迷う。
迷っている。

素晴らしいと思ったものには
5秒以内に何とかするべきで
くだらなく如何しようも無いと
思ったものには
5秒以内に逃げ出すべきである。

見限らないと同情心が強い私は
疲れすぎてしまうから。

これで少しだけでも
前に進めるかもしれない。

後ろかもしれない。