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今日はあたしのうれしい日

ミッフィーちゃんでおなじみの「うさこちゃん」こと「ナインチェ・プラウス」のお誕生日。
32年前にあたしがお母さんになった日でもあるの。
最近こちらでも時々書くんだけど、誕生日って母親のものよね。
3人の子どもの生まれた瞬間はどれも思い出深いけど、第1子出産は一人の人間として、産む性である女として、やはり初めての衝撃的感動的経験だったし、「記念日」ということではこの日こそが「母になった日」だわね。

夏至生まれのおにいちゃん。
あの日も湿気の多い曇り空の日だったわ。
夜中に生まれた息子はきれいにお風呂に入って、新生児室に連れていかれ、あたしは若く、分娩所要時間も短く、経過も順調な元気いっぱいの初産婦だったので新生児室から一番遠い病棟端っこの二人部屋に連れていかれたわね。
「お疲れ様でした、ゆっくり寝てくださいね。授乳時間になったら呼びに来ますけど、最初の時だけちょっとレクチャーありますからね。」
看護師さんはそう言ってたけど、あたしは一睡もしなかった。
身体は疲れていたけどそれ以上に興奮してたんだと思う。
あれからもう30回以上も夏至を通り過ぎてきたのね。

まあ、すっかりベテランのお母さん。
母になる前よりも母になってからの方が人生長いの。
でも、もう、お母さんの仕事もあまりないものね。
寂しいものよね。
でも、あの頃に戻りたいとは思わないの。
だって、すごく大変だったし、もう二度と嫌だわ。
もちろん、完ぺきだったわけじゃないし、やり直したいと思うことも山のようにあるんだけど. . .たぶん、戻っても同じことしかできないと思うんだ、あたしは。
あの頃必死に考えて、頑張って、一生懸命やったことだから、あれがあたしの精いっぱいだったと思う、あたしの子育て。

自分の時間がすべて子供のものになってしまったあの頃は、(ああ、もう、こうやっておばあちゃんになっていくんだろうなあ. . .)って思ったこともあった。
でも、その後自分の好きなことややりたいことを見つけて、20代や30代よりも楽しい40代を過ごすことができて、人生はやり直せる、夢は待っていてくれる、青春は取り戻せるって思ったの。
だからたまたま50前後でいろいろ失って、いまはやりたいこともないけれど、じゃあ40代に戻りたいかと言えばやっぱり戻りたくない。
若さや健康や、かわいいまだまだ幼いこどもたちと犬と、一緒に夢を追いかけた仲間たちをそりゃあ取り戻したいかもしれないし、なにより病気になる前の相方を取り戻して彼が病気にならないようにできるというのなら、何が何でも戻りたいかもしれないけど. . .やっぱりそれは望めないものね。
こどもたちが育たなければそれこそ大変だし、あの仲間や選手の手を離さなければ新しい仲間やチームに出会えなかったし、何より結局相方を救えなくてまたあの地獄のような苦しみを味わうのは絶対に嫌だし。

あの頃には戻れない。
あの頃のこどもたちには二度と会えない。
引退してしまった選手や消えてしまったチームはもう戻ってこない。
死んでしまった人たちや犬には二度と会えない。
でもみんなあたしの心の中にあるから。


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