アメリカ文学との出会い - 北米への憧れ
大学1年の夏休みに、米国の作家モナ・シンプソンの 「ここではないどこかへ」(原題 “Anywhere but here” 柴田元幸訳)という本に出会った。自由奔放な母親アデルが、娘のアンを女優にして新しい生活を手にするために、夫を捨て、中部の田舎町からカリフォルニアに車で向かう道中を描いた物語だ。
無断で持ち出した夫のクレジットカードを頼りに、なんとか旅を続けるふたり。まだ13歳のアンにとっては母親についていくしか選択肢がなく、そこには親子の葛藤があり、カリフォルニアに近