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「ここ数日が山場」と言われて。

再入院で発覚した小腸炎。
絶食と点滴で一時的に体調は改善。
しかし、原因は不明のまま。

入院10日後くらいには
嘔気や嘔吐、食思不振が
再び現れました。

面会時にだるそうに、
でもなんとか壁をつたってトイレに行く母。

いつも面会に行くと
ベッドに腰掛けて雑談するのが日課。
なのにその日はずっと
横になっていました。

「なんだかお腹膨れてるんだよね」

そんなことを言われて
そっと見させてもらうと…

明らかにお腹が張っていました。
その日は夕方にかけて発熱。
休日だったので、
当直の先生がレントゲンや採血の検査を
追加してくれました。

何だか原因は判然としないまま
帰るバスの時刻が来てしまい
良くなることを願って、
病院をあとにしました。

その数日後、朝から連絡がない。

いつもは暇を持て余している母は
すぐ返信が来ていたのでおかしい。
そう思っていました。

その日の夜、仕事終わりに
スマホを確認すると
病院から3回の不在着信。

何かあったんだ。
良くない知らせだと
すぐにピンときて折り返しました。

病院から夜に電話が来るなんて
いい知らせなわけないのです。

それは看護師である私は
1番わかっていたこと。

医師から告げられたこと。

数日間、嘔気・嘔吐、下痢が止まらず、
今日ついに自分では動くことが
できなくなったこと。

全身状態を良くするため
毎日血液製剤を使用しているが
思うように改善していないこと。

上下内視鏡検査、生検や造影CT検査、
細菌やウイルスの検査、
膠原病関連の採血検査等、

あらゆる検査を行っても、
未だに原因が特定できないこと。

原因がわからないことには、
有効な治療が行えない。

「ここ数日が山場かもしれません」

そんな話でした。

あの時の胸のバクバク感、
どうなっているの?
何が起こっている?という混乱。

あの夜感じた感情は
今でも忘れられない。

ここ数日が山って
こんなに簡単に来るものなのか。

全然そんなつもりではなかったのに。
こういう時って夜でも病院に駆けつける?

いや今から病院に向かうにも
時間が遅くてバスもない。

いや、今夜がその山だったら?
明日とか言っている余裕ない。

大混乱も大混乱。

夜中胸がドキドキして眠れない。
また電話が来たらどうしよう。

今は何もできないのだから
眠るしかない。
そんなことの繰り返し。

次の日の勤務は夜勤でした。

当時の私は、自分の家のことで
仕事に迷惑がかかってしまう
という思いが強く、

とりあえず出勤していました。

主任には何かあったときに
はお願いしますという言い方
しかできませんでした。

その時までにも
1回目の入院や外来の付き添いで
お休みをいただいていたから。

本当は休んでいいよ、
家族を優先してって
言ってほしかったんだと思う。

でも、社会人4年目の私は
素直に休みたいと
今すぐに母の元にいきたいです
と言えなくて、

そんな想いを知らない主任からは
誰か他の家族行ける人いるでしょ?
夜勤は流石にお願いねって。

夜勤の業務を始めようとした。

そんな時
師長さんが声をかけてくれた。

「家族を優先しなさい。
 仕事なんてどうにでもなるから」

誰かに言ってほしかった言葉。
師長さんが全て察してくれた。

職場であんなに泣いたの初めてだった。

ああ、今でもこうやって書いてると
鼻の奥、目の奥が熱くなる。

あの時のことは今でも思い出せるし、
きっとこの先も思い出す。

大変なことなのに、
渦中にいすぎてわからなかった。

どうにか仕事と家族のことを
両立しなきゃと思っていた。

でもそんなことないって
自分じゃない誰かに
言ってもらう必要があったのだと思う。

その日すぐに帰省準備をして、
母のもとに向かいました。

今回はここまで。
今でも鮮明に思い出せることって
人生でいくつかあったりしますよね。

いいことも悪いことも。

次回は状態が悪化した母との対面。
その後の進展について書いていきます。

本日もありがとうございました。

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