桐野夏生著「グロテスク」を読んで思うこと
冒頭から悪意に満ち満ちた作品で、毒気が凄い。
幼少期や思春期に、容姿が可愛いのが一番的な価値観を植え付けられて、他人の目線を気にして生きていくことになり、そこから抜け出せないと、女は本当に堕ちるとこまで堕ちて、底意地が悪くなるなと、思った次第。
本当に、見事に底意地の悪い女しか出てこない。
この後味の悪さ、久しぶりに味わったわ。
しかし、この「グロテスク」に出てくる佐藤和恵に、木嶋佳苗と同じにおいがするのは、何故なの?と思った時、考えたら2人共父親の支配下にいた女達いうか。
長女で、教養ある厳格な父親に溺愛され、優等生として育てられ、どちらも母親を格下に見ていて、そして父を亡くしている。
(この本のベースになった東電OL殺人事件の被害者の方も、厳格な父親に愛され、優等生教育を受けて育ったらしい)
父親の期待に応えようと、努力に努力を重ねるあたりに、父親の優等生教育の賜物さを感じる。
人は、努力次第でなんとでもなる!
この事を植え付けられて、必死に父親の期待に応えようと、頑張りに頑張りを重ねるあたり、父親の、男の教育だよなと。
勉強は頑張って努力すれば、努力の結果が見えるけど、容姿はどんなに頑張っても、生まれ持ったものなので、努力しても成果が見えるとは限らない訳で…
そこは、父親には判らんだろなと、私は思うんですよね。
男性は、可愛いが一番!可愛いは正義!の世界で生きてないから。
でも、努力だけでは、どうにもならない世界も、世の中にはあるわけで。
家では父親や母親や、家族に可愛い!可愛い!と言われ、私は可愛い!と思っていても、家の外に出たら、一言も可愛いとは言ってもらえない世界。
特に、まだまだ精神的に未熟な少女時代って、見た目が可愛い子が勝ち的な価値観があるのは、事実な訳ですからね…
だから、必死に外見を可愛くしようと、努力するわけで。
でも、必死に頑張るも、嘲笑われたり…
こういうとこ、本当に女は底意地悪いと思ったり。
美に関して必死に頑張る女を、何をそんなに頑張ってるのよと、嘲笑う女いますからね。
毎朝キチンとメイクしてえらーい♪
毎回スキンケアしてえらーい♪
ちゃんとエクササイズしてえらーい♪
毎晩ボディケアしてえらーい♪
褒めてるようでいて、何1人だけ頑張ってんのよ、何1人だけ抜け駆けしようとしてんのよ、ってな。
顔ではニコニコ笑ってるけど、心の中では呪詛だらけ。
自分より格下と判断した女には、容赦なく叩き付ける、悪意。
「ブスのくせに、何必死に頑張ってんの?」
これ、大抵の女は心の中に住まわせている。
女は、皆が考える程、ピュアな生き物じゃないから。
それを炙り出し、物語にし、こんなに毒々しいのに文章に気品さえ感じる桐野夏生は、凄い作家だなと思いました。
しかし、スクールカーストって、共学だけのものと思っていたら、女子高にもあったのね。
千葉の田舎の公立女子高には、そんなものなかったので。
スクールカーストを気にせず、のびのびとヘラヘラと高校生活送れて、良かったなと思いました。
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