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ストレッチの種類と特徴

「さあ、運動前にしっかりストレッチをしよう!」そう思って、長くじんわり筋肉を伸ばしていませんか? ストレッチには幾つかの種類があり、時と場合によってはその効果が半減、または逆効果になってしまうことがあります。今回はストレッチの種類と特徴、それぞれの効果的なタイミングについてみていきましょう。

「ゴムバンドを何秒か引き伸ばすと、バンドが温かくなる。これと同じ理由で、ストレッチは筋肉や腱のウォームアップになる。ゴムバンドを強く引っ張りすぎると、バンドは伸びきって弱くなる。悪くすれば、切れてしまう。筋肉にも同じことが起こる可能性がある。」

出典:ドラヴィエの図解と実践『ストレッチングアナトミィ』

様々なストレッチ法がありますが、効果が立証されていて、かつ取り入れやすいのは以下の3つです。

1. 静的ストレッチ
2. 動的ストレッチ
3. PNFストレッチ

静的ストレッチ

静的ストレッチは、最も普及しているストレッチ法。反動をつけずにゆっくりと筋肉を伸ばして、軽く引っ張られるような感覚を味わうストレッチです。心地良く筋肉が伸びたポジションで、15~20秒ほど姿勢を維持した後、力を抜きます。

大切なのはストレッチ中は決して息を止めないということ。呼吸を止めると筋肉は硬くなり、息を吐くと筋肉は少し緩みます。息を吸っているとき、筋肉は最も緩くなります。自然でゆったりとした呼吸をすることで、筋肉に酸素が送り続けられ、筋肉はより緩みやすくなります。また、伸ばす範囲も大切です。痛みを感じると、筋肉は自らを守るために緊張し硬くなってしまいます。そのため、痛みを伴わない範囲でのストレッチが最も効果的と言われています。

  • メリット:コントロールしながらゆっくりと行うので、ケガをしにくい。

  • デメリット:運動直前に行い過ぎるとパフォーマンスが低下しやすい。

  • タイミング:運動直後。使った筋肉がまだ温かく、回復も必要なため、このタイミングでの静的ストレッチはとても効果的。しかし競技によっては、柔軟性がありすぎることで長期的にはパフォーマンスが低下してしまったり、また、ある時点を超えると筋肉の回復を助けるどころかヘトヘトに疲れさせてしまうことも。1つの筋群につき、15~20秒を2-4セットを目安に行うとよい。

ケガを防ぎ、かつパフォーマンスも妨げない柔軟性が理想ですが、それはどのくらいの柔軟性なのでしょう? ひとつの指針としては、自分の競技で要求される可動域より少し広い柔軟性を持つ筋肉が、筋緊張と柔軟性の適度なバランスと言われています。

動的ストレッチ

動的ストレッチは、姿勢を維持するのではなく、動くことで行うストレッチ法です。例えば、ウォーキングランジは動的ストレッチのひとつです。特定の競技の動作を低いレベルで繰り返し行い、その後徐々にスピードを上げ、強度を加えていきます。競技で使う筋肉や関節の可動域を最大限に広げてくれるため、運動前のウォームアップに最適なストレッチ法でもあります。

このストレッチ法のポイントは、一定の速さで腕や脚を振り動かすこと。はずみや反動をつけないで、コントロールしながら行います。

  • メリット:運動直前に行っても、筋肉が断裂しない限りパフォーマンスが低下しにくい。

  • デメリット:ケガをしやすい。

  • タイミング:運動前。ウォームアップに取り入れることで、可動性を促進し、その競技に向けた特定の筋肉や関節を温めるのに役立つ。1つの筋群につき、1-3セットを目安に行うとよい。

もし、柔軟性が高いことが重要な競技の場合(体操など)、静的ストレッチの後に動的ストレッチを行うことで、筋肉を目覚めさせ、パフォーマンスに悪影響を与えないようにすることができます。静的ストレッチを45秒未満にとどめ、その後動的ストレッチを数セット行うのがおすすめです。

PNFストレッチ

PNFストレッチ

PNFストレッチとは、Proprioceptive Neuromuscular Facilitation(固有受容性神経筋促通法)の略で、可動域と柔軟性を高めるために活用されるストレッチ法です。ケガや手術後のリハビリにもよく使用されるもので、1960年代にアメリカで流行し、以来、理学療法士やその他のスポーツ障害の専門家の間で人気が高まっています。

PNFストレッチには、完全に受動的な方法(セラピストが選手の腕や脚を動かしストレッチする方法)と、選手が意識的に筋肉を収縮させるなどして、治療に参加する能動的な方法があります。

メリット:パフォーマンス向上や可動域の迅速な拡大に役立つことが証明されている。柔軟性を高めるだけでなく、筋力も向上させることができる。
デメリット:パートナーが必要。パートナーがきちんとコミュニケーションをとり、適切に対応しなければならないという点で、よりケガのリスクが高い。
タイミング:研究によると、運動前にPNFストレッチを行うことで、ジョギングなどの運動におけるパフォーマンスが向上することが分かっている。しかし、重量挙げやスプリントなどの高強度の運動の前にPNFストレッチを行うと、パフォーマンスを低下させる可能性がある。

PNFストレッチは、押す側(セラピスト又はパートナー)も、筋肉を収縮して抵抗する側(選手)も、最大限の力や強度を加える必要はありません。押す力と抵抗する力が常に均等で、どちらも15~20%くらいの緩やかな力が目安です。また、首や肩など、筋群が小さければ小さいほど、ストレッチに必要な力も小さくなります。

それぞれの特徴とベストタイミングをヒントに、ぜひ皆さんの運動生活に最適なストレッチ法を取り入れてみてください。そしてすべてのストレッチに共通して、呼吸を止めないこと、身体の声にしっかり耳を傾けることも、どうぞお忘れなく。

文・廣浦百合子
コンテンツクリエイター/認定整体師
Sunbears マーケティングチーム

【参考文献】
ドラヴィエの図解と実践『ストレッチングアナトミィ』
Acute effects of muscle stretching on physical performance, range of motion, and injury incidence in healthy active individuals: a systematic review
What Is PNF Stretching?

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