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残った三分の二はさかむけが気になる感情

指のささくれを剥きたくてしょうがないんだ!!

指のささくれ。足に出来たかさぶた。
気づかなければよかったのに。
一度気になりだすと、もう止まらない。
かさぶたを剥いて血が出た経験、全人類共通のあるあるに違いない。

ただし、不安や緊張を感じた時に無意識で剥いてしまう人がいる。
「やっちゃ駄目だ」と分かっていながらも、気が付いたらむしって血が出てしまうような場合、「皮膚むしり症」という病名がつくことがある。似たような病気に、「抜毛症」がある。これは名前の通り、毛を抜くことがやめられない病気だ。

皮膚むしり症

人口の1~2%程度に見られる病気であり、そのうちの75%が女性であると報告されている。(MSDマニュアル家庭版「皮膚むしり症」)

特徴としては、上にも書いたが、不安や退屈、緊張などの情緒の変化に先行あるいは随伴することであり、心理・行動面への介入が必要な病気ということだ。

Q1. 皮膚むしり症を治療するには、何かを受診する必要があるか?血が出ているなら皮膚科?それとも精神科?

A1. 皮膚の状態がひどければ皮膚科での治療が必要になる。ただ、「むしってしまう」という根本が解決していなければ、治ってもまたむしって悪化することが予想される。そのため、意識してもやめられなければ、精神科で相談することが望ましい。

Q2. そもそも、皮膚をむしることは病気なの?誰でもやることじゃないの?

A2. 「痒くて掻いていたら、かさぶたをはがしてしまった」というような場合は、病気とは言われないだろう。ただ、「何度も同じ場所を血が出るほど剥いてしまう」「長時間剥いている」「やめようと思っているのにやめられない」などの症状があれば、それは病気の可能性がある。長時間、ということに関しては、佐田久真貴氏の『皮膚むしりを主訴とする女子高校生に対する心理教育とセルフモニタリング』(認知行動療法研究44巻3号、159-169)によると、患者の18%は1日8時間以上という報告もある。

Q3. もし精神科を受診したら、どんな治療になるの?というか、通院しないと治らないの?

A3. まず、皮膚にとってより望ましい行動(スキンケアなど)を増やすよう、日課表などを用いて生活をモニタリングすることが提案させるだろう。また、皮膚をむしってしまうのは、痒みやムズムズ感などの皮膚異常感覚が原因となっていることもあるので、それらを軽減させるような抗精神病薬・抗うつ薬・抗てんかん薬などが処方される。実際、上記の佐田久真貴氏による論文では、心理教育やセルフモニタリングを導入することで改善した症例が報告されていた。

通院しなくとも、改善させることはできるだろう。
ただし、なかなかやめられない時には、やめられないことがストレスになり症状が悪化することもある。
自宅で治療するなら、おっくうなときでも日々の入浴やスキンケア行動をすること、皮膚に触らないでいられるよう日課を記録すること、皮膚以外のものに触ること(ハビッ ト・リバーサル法)などが効果的だ。

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