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4 特別支援学級在籍の子どもの進路

先日、特別支援学級在籍の子どもの進路に関する研修会に参加しました。

私自身、特別支援学級の子どもたちの進路についてとても関心があります。自立と社会参加を実現させていくために、我々教職員には子ども、保護者の皆様へ一体何ができるのか、日々意識しながら指導にあたっています。

結論から言えば、
①学びの場は成長に応じて変更できること
②小学校と中学校では指導体制が違うこと
③知的特別支援学校高等部を第一志望なら療育手帳取得を!
④一般の高校へ進学を希望なら、調査書に記載する評定を!
⑤高校入試で合理的配慮を受けるためにも、普段の学校での合理的配慮がなされている必要があること

以上になります。①から順番にお話ししていきます。


①学びの場は成長に応じて変更できること

 小学校や中学校では、「学級の障害種別を変えたい」「特別支援学校に転学したい」「通常の学級に在籍を変えたい」など、保護者の皆さんがわが子の発達段階や実態に応じて希望が出てくると思います。
その場合、学びの場の変更が可能です。例えば、
「情緒特別支援学級に在籍しているけど、ちょっと学習が難しそうだ。ゆっくりわが子のペースで学習させたいな。」という場合は、知的特別支援学級への学びの場の変更ができます。
「知的特別支援学級に在籍しているけど、なかなか学校生活が安定しないな。もっと安心できる環境で、個に応じた配慮をしてもらえるような学びの場に変更できないかな」という場合は、特別支援学校への学びの場の変更ができます。
このように、子どもの実態に応じて学びの場を変更することができますので、気になる場合はぜひ学校へご相談ください。なお、希望が全て通るわけではありません。発達検査の結果や学校での様子、専門家集団による審議等を総合的に判断して、最終的には教育委員会が決定します。また、地方自治体に応じて学びの場の変更に関する具体的な手続きがありますので、早めの相談をしてください。

②小学校と中学校では指導体制が違うこと

小学校では、担任が全教科を指導可能であり、通常学級や特別支援学級など多様な学びの場で柔軟に指導することができます。
一方で、中学校では、当該学年の指導は教科担任をすることが基本となります。理由は、免許法上、教科担任が指導を行うことになっているからです。小学校と中学校の指導体制の違いについて、小学校教員も把握していないことが多いです。保護者の皆様も、ぜひこのことを念頭に置いてください。

③知的障害特別支援学校高等部を第一志望なら療育手帳取得を!

知的障害特別支援学校高等部へ進学を第一希望にするなら、療育手帳は必要となりますので、早めの所得がマストです。ちなみに、特別支援学校高等部へは制度上療育手帳がなくても入ることは可能です。ただし、出口で苦労します。手帳を持っていれば、福祉的就労や就労移行支援、一般就労障害者雇用枠など雇用枠が広がります。
ちなみに、私は小学校段階から、特別支援学級在籍している子の保護者の皆様にはできる限り療育手帳の取得をお願いしています。放課後デイサービスをはじめとした様々な福祉施設の利用の補助、公共利用料金の割引などを受けることができます。
これは子どもが受けるべき権利です。より子どもが安心して毎日の生活を送るためにも療育手帳の取得は早めがよいです。

④一般の高校へ進学を希望なら、調査書に記載する評定を!

一般の高校へ進学する場合、評定を中学校に出してもらう必要があります。

「評定」は、学習指導要領に示す各教科・科目の目標に基づき、学校が地域や生徒の実態に即して定めた当該教科・科目の目標や内容に照らし、その実現状況を総括的に評価するもの(目標に準拠した評価)である。
                        参考資料:文部科学省

中学校は、教科担任制なので、教科担任の先生からの授業が基本となります。特別支援学級の担任は、自身が持つ免許の授業はできるでしょうが、その他の当該学年の授業は基本的にできません。基本的な知識、技能の習得のための指導や復習はできるとは思いますが、評定を出そうと思うなら、交流学級へ行き、指導を受けるか、特別支援学級に来てもらって授業をしてもらうなどが必要となってくるでしょう。一般の高校へ進学を考えている場合は評定が出せるように学校との共通理解をし、計画的に進めていくことが必要です。
(後になって言ってしまうと、「今更言われても💦」となるかもしれません。学校も、進路について中学校進学時点で保護者との共通理解を図る必要がありますね)
評定のデメリットとしては、低い評定が多くついてしまうと、自己肯定感の低下を招く懸念が予想されます。多面的に考えていく必要がありそうです。

⑤高校入試で合理的配慮を受けるためにも、普段の学校での合理的配慮がなされている必要があること

平成28年4月、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害者差別の解消を推進することを目的とした「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行されます。
学校においては、障害のある児童生徒等の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮を提供しなければならないとされています。
個別の教育支援計画にも合理的配慮の有無や具体的内容について記載をしています。(各学校で様式が違いますので一概には言えません)
高校入試でも、合理的配慮を受けることができます。ただし、普段の学校でどのような合理的配慮がなされているかが重要となってきます。普段なされれていないのに、高校入試だけしてくれと言われても、断られることがあるようです。なので、小学校段階から、どのようにテストを受ければ子どもが安心して自分の力を最大限発揮できるのかを見極め、学校、保護者、必要に応じて医療や福祉と共通理解を測ったうえで合理的配慮を提供し、支援計画に記載しておくことが大切です。記載されていえば、それが効力となり、高校入試でも提供される可能性が高くなります。将来の自立や社会参加のためにも、合理的配慮の提供や支援計画への記載は重要となってくるでしょう。

以上、特別支援学級在籍の子どもの進路について研修会で学んだ事をもとに、自分の経験を踏まえてまとめました。ぜひ、ご一読いただき、今後の子どもの自立と社会参加の一助となれば幸いです。
なお、私の在籍する学校や地方公共団体をもとにした内容となりますので、皆様の学校や地方公共団体では違う部分が出てくるかもしれません。参考として捉え、読まれてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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