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読書記録『花神』を読み終えて


司馬遼太郎さんの作品『花神』を読み終えた。その感想を記録に残しておきたいと思う。
本を読み進めていくうちに大村益次郎という人物に魅了され、読み終えた今は益二郎ロスを感じている次第だ。45歳という若さでこの世を去った大村益次郎は、その人生は本人も予想しない風に吹かれ、求められた場所で自分の才能をただひたすら生かし切るというタンポポの種のような物だったと思う。

今の時代、自分の個性や才能、自分のやりたいことというものにこだわる風潮があるように感じる。結局自分とは何なのかわからずに悩み続ける人もいるのだが。
大村益次郎という人はそういった自分自身の声に耳を傾けるのではなく、自分を求めている場所で自分らしく仕事をした人物のように映った。そして超現実主義・合理主義的人物であるがゆえに他人の心を時には傷つけることもあるが、本人にはその気がない点、私は惹かれるものがあった。本の中で、機械のような人物と称されていたが、自分の仕事・責任にまっすぐ向き合った人物であり、彼の仕事ぶりは尊敬に値する。自分が求められている仕事の本質をしっかりと自覚し、着実に歩んでいこうとする姿勢は見習いたい。
名声や他人からの評価に目がくらみ、本来の自分の能力が出せない人はこの世界にたくさんいると思う。
仏教界では、私たちが生きている世界を空ととらえている。何かに執着することに意味はなく、自分の使命を誠実に全うする生き方に惚れ惚れした作品だった。

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