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涙ぐみやすさの評価尺度ができました

▼ 文献情報 と 抄録和訳

新たに開発された脳卒中後の情動性評価尺度(TEARS-Q)の心理学的評価

Broomfield, Niall M., et al. "Psychometric evaluation of a newly developed measure of emotionalism after stroke (TEARS-Q)." Clinical Rehabilitation 35.6 (2021): 894-903.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的] 脳卒中後の涙ぐましい情動性の新しい尺度を心理測定的に評価すること。TEARS-Q(Testing Emotionalism After Recent Stroke - Questionnaire)

[方法] スコットランドの9つの病院にある脳卒中急性期病棟で、脳卒中後の情動性に関する縦断的コホート研究を実施した。対象2015年10月1日から2018年9月30日の間に募集された、脳卒中発症後2週間以内の臨床診断された脳卒中サバイバー計224名。対策を講じた。指標は、脳卒中後の涙ぐましい情動性の診断基準に基づいて構築された自己報告式の質問票TEARS-Qとした。(i)涙ぐみの増加、(ii)泣くのは前触れもなく突然やってくる、(iii)泣くのは通常の社会的コントロール下ではない、(iv)泣くエピソードは少なくとも週1回発生する。参照基準は、同じ評価時点で実施された診断的な半構造化脳卒中後の情動性インタビューにおける情動性の有無とした。また、対象者は、脳卒中、気分、認知、機能のアウトカム評価を行った。

[結果] 97名の被験者は女性で、平均年齢は65.1歳であった。205名の被験者が持続性虚血性脳卒中を発症した。61名は軽度の脳梗塞と分類された。TEARS-Qは内部的に一貫していた(Cronbach's alpha 0.87)。TEARS-Qスコアは2つのグループを容易に区別し、平均差は-7.18、95%CI(-8.07~-6.29)であった。TEARS-Qのカットオフスコアを2とすると、61人の脳卒中患者のうち涙もろい情動性を持つ人は53人、156人の脳卒中患者のうち涙もろい情動性を持たない人は140人と正しく識別された。1つの因子が項目応答分散の57%を占め、8つのTEARS-Q項目すべてが基礎的な情動主義を容認できる程度に弁別した。

[結論] TEARS-Qは脳卒中後の涙ぐましい情動性を正確に診断することができる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

まず、「何に役立つんだ!?」と思った。考察の中で著者は、①泣くことを評価できなければ、抗うつ薬の処方が適切になりにくいだろう。②泣きにも種類(うつを示す、うつを示さない)がある、それを示す一歩になると述べていた。個人的には、「感動の泣きがある」と思う。しょっちゅう感動の涙を流す人がいる、そして、その人の方がよくなりやすい気がする。質問項目や状況とセットになった尺度が開発されれば、涙ぐみの意味づけも可能な尺度となる。そうなったときに、各種予後との関連性が示されるかもしれない。