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よく動き、よく血ヲ脳ニ送レ:身体活動量が脳血流量を増やす

▼ 文献情報 と 抄録和訳

6歳から17歳の子供の頸動脈および椎骨動脈の血行動態と自由生活(中)の活動との関連性に及ぼす性別および成熟度の影響

Tallon CM, Smith KJ, Nowak-Flück D, et al. The influence of sex and maturation on carotid and vertebral artery hemodynamics and associations with free-living (in)activity in 6-17-year-olds. J Appl Physiol (1985). 2021;131(5):1575-1583.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ ハイライト
- 脳血流は加齢とともに変化することが知られているが,この加齢に伴う変化を評価することは複雑で,思春期の状態を考慮する必要がある。
- 本研究は、私たちの知る限り、健康な小児および青年を対象に、安静時の頸動脈血行動態に対する性別と成熟度の影響を調査し、その後、身体活動および座りがちな行動との関連を調べた初めての研究。
- 本研究では、身体活動、成熟度、性別とは無関係に、習慣的な座りがちな行動が青少年の頸動脈の血行動態に影響を与える可能性が示唆された。

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[目的・方法] 本研究では,6~17歳の子どもを対象に,安静時の頸動脈血行動態(総頸動脈:CCA,内頸動脈:ICA,椎骨動脈:VA),自由行動時の身体活動,および座位行動に及ぼす性別と成熟度の影響を検討した。さらに、身体活動、座りがちな行動と頸動脈の血行動態との関係を調べました。女子(n=42、平均年齢11.4±2.5歳)と男子(n=36、平均年齢11.0±2.6歳)の78人の児童・青年が、体格測定、頸部動脈の二重超音波検査、activPAL加速度計の装着を行い、7日間の身体活動(歩数/日で指標化)と座りがちな行動を評価した。

[結果] ICAとVAの直径は思春期前のグループと思春期後のグループでほぼ同じで、体積血流(Q)も同じでしたが、CCAの直径は思春期後のグループで有意に大きかった(P < 0.05)。男子は女子に比べてすべての頸動脈の直径が大きく、QCCA、QICA、全脳血流も高いことがわかった(P<0.05)。思春期のグループは、思春期前のグループに比べて、より座りがちで(100分/日以上;P < 0.05)、3,500歩/日の歩数が少なかった(P < 0.05)。頸動脈のせん断速度(SR)およびQは、身体活動や長時間の座位行動とは関係がなかったが、総座位時間と内頸動脈せん断速度(ICASR)との間には、歩数/日および成熟度を共分散させた後、有意な負の関係が見られた(P < 0.05)。

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✅ 図. 1日あたりの平均座位時間(SedTime)と安静時内頸動脈ずり速度(ICASR)の関係を、成熟度と1日あたりの平均歩数(StepCount)を共役にして調べた。グループI(n=23)は、SedTimeが最も少なかった。グループII(n=22)は、中程度のSedTimeを行った。グループIII(n=19)は最も高いSedTimeを行っていた。StepCountと成熟度を共分散させると、グループIはグループIIとグループIIIの両方と比較して、安静時のICASRのレベルが有意に高いことがわかった。閉じた円は、共変量で調整した平均値を示す。グループの定義は表1による。この関係の分析にはANCOVAを用いた。誤差バーは95%信頼区間の下限と上限を示す。*P < 0.05.

[結論] 今回の結果は、健康な男女の脳血管の血流に座位行動が与える影響について、新たな知見を与えるものです。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

今回の対象は子どもだが、大人、高齢者でも類似の効果が示されている、open acsessなので本文を参照いただきたい。
まず、前提として共有したいのは、脳血流量は、活発な脳活動を示すマーカであり、脳活動に栄養を与える兵糧であり、概して「多いと良い」ものである。
そして、個人的に思ったことは、『Dose-dependent Effect(用量反応効果)』の仕組みの1つがこれでは?、ということ。

✅ 身体活動量とDose-dependent Effect(用量反応効果)ex. 歩行練習
①歩行練習量が増大する
②身体活動量が増える(sedentary behaviorが減少)
③脳血流量が増える
④脳活動が活発化、脳への栄養供給↑
⑤回復力、治癒力↑

つまり、身体活動量を増やすことが、植物に水をやるような効果を持つかもしれないということ。
そうであれば、身体活動量は、回復の前提として保たれていなければならない。
超回復のためには、どうあっても兵糧が必要だ。

補給は、車でいえば、ガソリン部分に該当するであろう。
補給が途絶えれば、動けなくなる。
血なのだ。
絶対に無くてはならないもの、だがあったとしても部品そのものにはならない。
その部品を脈々と動かしてゆく、原動力、エネルギー、ガソリンが、補給なのだ。

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