ウィンク(外国のお人No.6)

『どうしたの?目が痒いの?花粉?』常連客のお姉様に声をかけられて、ハッとする。
言えるわけないじゃん。ウィンクの自主練してました!なんて。

『そうなんですよ〜、花粉かも。な〜んか目が痒くって』
『あたしもクシャミ連発よぉ、早めに耳鼻科行かなくちゃ』
『そうですよね〜』

常連の外国人客。スラリとした白人男性。年齢不詳。
芸人の、ひょっこりはんを彷彿とさせる容姿、イケメンではなくて(私基準)ひょっこりはんぽくても、このお客さんの去り際は、オーランド・ブルームだ!ではないけど、似ても似つかないけど、それくらい、去り際がカッコいい。

買いに来た瞬間から、去り際が楽しみすぎて、ソワソワしてしまう。(笑)
支払いが終わったオーランドが、リュックにお財布をしまっている。
『ありがとうございました〜、当たりますように〜』

くるぞ!やるぞ!やって〜!ワクワク。
見た目はひょっこりだが、意外や意外な低音ボイスで、
『thank you!hava good day!』パチッ!(ウィンク)
ヒャーーーッ!カッコいーーい!
なんでー?ねぇなんで?なんで外国人て、自然に、スマートに、さり気な〜くウィンクができるのかしら?なんて素敵なのよー!う〜っとり〜♡

いつもビシッとスーツを着ている黒人男性客もそう。イケメンではない。(私基準)
去り際に、ほんの少し、アゴを上にクッとあげてのニコッ!そして、パチッ!(ウィンク)ギャーーーッ!カッコいい!
もう、映画だよ!
不思議なことに、イケメンじゃなくても様になる外国人のウィンク。

ウィンク文化って、おっしゃれ〜。

エキゾチック美人が『thank you〜』パチッ!(ウィンク)
ワーーオッ!セクシーー!色っぽ〜い!
彼女が放つ色気含みウィンクに、瞬間悩殺されてはにかむ私。(笑)

ウィンク。日本人がやると、なんか違うんだな〜。
もしも、日本人のお客さんが、帰り際にパチッ!(ウィンク)してきたと想像してみる。
されたことはないけれど、なに?なによそれ?なんでよ?って思ってしまいそう。
違うのよぉ、な〜んか違うのよぉ。似合わない(私感)

♫ウィンクで男を落とす〜♫みたいな曲があったなぁ…なんだったっけ?思い出せない(笑)

バッグからコンパクトを取り出す。
下を向いて、ウィンクをしてみる。
へっ?!左目はパチッ!ってできるのに、右目でウィンクができない!なんで?
しかも、できるほうの左目ウィンクも、口角まで上がってしまい、ちっともナチュラルじゃない。
思いも寄らず右目ウィンクができない自分を発見した。
何度やってみても、右目でウィンクしようとすると、両目が閉じてしまう。
自身の新たな発見に感慨を抱く。うーん。
私って、右目でウィンクができないんだ…知らなかった。

外から見ると、小さな賑やかしい箱の中で、店員が俯いたまま、ひたすらパチパチと目を瞬かせている図。

パチッ、パチッ。仕事も忘れ、我をも忘れ、ウィンク練習に夢中で励んでいたところに、冒頭の、『花粉?目痒いの?』と、聞かれ、ハッとなり、コンパクトを落としそうになった。

(あなた、仕事中ですけど。)

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