見出し画像

今年ベスト本。さよなら2023年。

クリスマスもあっという間に過ぎ去り、今年も残り数時間。
1月にうつ病の診断を受け休職となったので、今年は心身ともにしっかり休んだ年になった。

コーヒーをゆっくり楽しむ時間が増えた。
読書を十分なほどに楽しめた。
運動習慣が身についた。
毎日好きな装いを楽しめた。

こうやって考えると、色々あったけれど充実した一年だったなあ。

中でも運動習慣については、自分でもとても驚いている。
こんなに楽しく続けられると思っていなかった。
YouTubeにほぼ毎日お世話になっている。インストラクターの先生に励まされ、音楽に合わせてせっせと動いている。汗をかき、今に集中する。終わると、心地よい疲労感と健康的な思考が充満している。憂鬱がどん底ではなくなっている。
ヨガやお散歩も合わせて、運動。
自分のために来年も続けたい。

さて。まとめ。

今年のマイベスト本。

たくさん本は読んだけれど、今年出版された本に限定して四冊に絞りました。
順位はつけられなかった!その日の気分でくるくる変わってしまい決められず。
でも、どれも衝撃を受け、夢中になって読んだ本たち。


どれも時間を忘れて集中して読んだ!

「黄色い家」川上未映子

主人公の花の視点で語られる「貧乏」「機能不全家族」「犯罪」などが足掻いても逃れられない沼のよう。自分と照らし合わせながら読んだ。花が犯罪に走る時も、どうかなんとか逃げてほしいと祈りながら読んでいた。花が必死で走り続けるその先に何があるのか、知りたくて気になって夢中で読んだ。
現在→過去→現在と進む展開のため、最初に大人の花から始まる。どうやって、そこまで辿り着いたのか、果たして今の環境を花はどう捉えているのか、幸せと呼べるのか。読了後も余韻が半端なくてぐるぐると思考が止まらなかった。
作品の中に出てくる、カラオケのシーンが好き。Xのあの曲が確かに私の耳にも届いた。

この「黄色い家」きっかけで、久しぶりに川上未映子作品を読み返したり、初めてのものも読んでみたりした。今のところ「ヘヴン」が一番好きだが、この「黄色い家」もとても面白かった。

「無敵の犬の夜」小泉綾子

12月に購入し一気に読んだ作品。北九州の田舎町で生活する中学生の界。あることがきっかけで学校に行かなくなる。地元の不良グループとつるむようになり、橘さんと出会い、橘さんを慕うようになる界。橘さんがもめてしまったという東京のラッパーをボコボコにすべく、なぜか界が一人で東京へ乗り込んで行く。
界のシンプルで分かりやすい語り口調が新鮮で、すぐに世界観に引き込まれた。最初は輩感ある言動に顰めっ面気分だったが、どんどん面白くなり終盤はめちゃめちゃ応援していた。ぶちかましたれ!!!ってなって興奮して読んだ。
思わぬ展開が終盤に待っていて、ラストは呆然とした。え?なんで?あんた同地ちゃったのよ???って取り残された感じ。
自分中に蠢く得体の知れないエネルギーに界自身が飲まれたかのよう。
泥臭く不器用でシンプル。なんだか憎めない主人公から目が離せない。

小泉綾子さんは初読みでした。面白かった。他の作品も読んでみたい。

「ハンチバック」市川沙央

これは衝撃作品。びっくりした。これを世に出しちゃうのか、と思った。作者自身の叫びが文字となって綴られているようだった。
難病を患っている主人公の井沢釈華。両親が用意した高級なグループホームに入所している。人工呼吸器を装着し、身動きが自由にできない体についての描写は、作者自身の言葉であり、読んでいて患者さんたちに思いを馳せた。その主人公の願い。無謀で現実的ではない、真っ当ではない願い。しかし、それは数ある中の衝撃の一つでしかなく、この物語の中にはたくさんの衝撃がある。
読む人によっては、ひたすらしんどい話が続くように感じると思うが、これが日常の人もいるのが現実。主人公の言葉には卑屈だけじゃない、覚悟を感じる。私はそれが、自分を受け入れ生きる者の強さに感じた。「覚悟」「受容」は「諦め」でもあるかも知れないが、彼女の言葉には強さがあった。
次回作もぜひ読んでみたい。楽しみ。

「街とその不確かな壁」村上春樹

分厚いこの本。買った時にはこれいつ読み終えるのだろうか、と思ったけれど、読み始めたら読み終えるのが勿体無くて少しずつ読みすすめた。
ゆっくりと流れる焚き火にあたるような、寒さと暖かさの狭間のような作品。
図書館の静けさ、ひらけているのにひっそりと佇む孤立した場所のような雰囲気が好きで、ずっとこの場所でおだやかに暮らす主人公をみていたくなった。
これを書いていたらまた読みたくなってきたなあ。

おともだちからもらったカヌレ。

年末年始はゆっくりしようと思っていたけれど、ありがたいことにいろいろ声をかけてもらって、みんなに会ってご飯を食べてバタバタとすぎていきそうだ。

わたしは確実に今日を生きていて、がんの痛みもなく、笑ったりたまに鬱々としたりわたしらしく過ごしている。
人生は何が起こるかわからない。良いことも悪いことも。
まだまだこの先何が起こるかわからないけれど、なるべく悪いことは大したことない!って思えて進めるといいな。

ここで、やり取りをさせてもらったみなさん。そして、いつも楽しく記事をみさせてもらっているみなさん。どうか、来年もnoteを続けてください。楽しみにしています。

では!良いお年を。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?