見出し画像

個性と常識の間で~個性を生かす人々の中での生きやすさ~

「世の掟」という言葉を使い、常識の世界で生きざるをえないことをいったのはヘーゲルです。またハイデッガーにおいても「世間話」という言葉を使って、その本質的要素はなく曖昧な独断の中で生活せざるをえないことをいいました。

その一方で普遍主義は、ややともすれば、私たちに与えてきた常識的世界という、現実の規範を第一義的に認めることにもなると同時に、私たちは社会的規則がなければ生きていくことは難しいことも事実です。

私たちの常識の世界と個性の衝突の中で、どのような生き方がある程度であれ、より生きやすい生き方なのかを記事にしたいと思います。


1.何が問題か?

役割や立場からの解放を顧慮することが最も社会学の問題であるといったのは、ラルフ・ダーレンドルフです。しかしその一方で私たちはその二つがあることで、限定つきであれ存在意義になると思われるのは、既に専門家が述べていると思います。

私たちがそのことを観念的であれ捉え始めると、役割や立場が社会的な要請であり、極限の自由は孤立した生き方をせざるをえないことを考えざるをえません。

社会的であるとは同時に人間同士の関係を考えなければならず、私たちが自由といえるのは、「法=規則」の縛りを超えることはできません。人は社会的動物であると同時に、政治的動物でもあることは、アーレントが書いています。

つまり自由とは政治的関係の中での人間関係での優越性を示し、また政治的関係の乗り越えをすることはできないとも考えられます。

私たちの問題は、政治的・法的規則の中での個性の発揮にあると思われますが、これは「世の掟」の中での発揮にあるともいえるのです。

2.個性は自由といいきれない

個性的に自由であるためには、人々との関係を無視することはできませんし、その中での活動であるからこそ意義があるように思えます。

人々が完全に自由であれば無政府状態としての自由、つまりアノミーを避けることはできないと思います。したがって、個性の発揮には「世の掟」も必要といえます。

「世の掟」は人々が結束し、しばしば連帯もする中で社会的な意味をもち、その意味は時空間を共有する価値観や、歴史的に積み上げられた観念の総体が人々の活動の方向性をある程度定めるものとして必須であり、人々がある力の方向性を持たずして、目標を持った活動を行うことはできないでしょう。

ヘーゲルが「世の掟」の分析の中で、社会と個人の衝突や摩擦を問題にする場合、その不自由さもありますが、個性的人間が規範的に考えられた常識を打ち破るには、その承認をめぐって威信における闘争が避けられないことにあります。

つまり、私たちは行為や発話の威信に対する説得力を必要とするということです。

3.「経験の政治学」を考える

メルヴィン・ポルナーという人は、発話や行為における威信の強さに対して、経験したことを他者に伝えるには、その事実的命題の真偽ではなくして、その経験の伝える力、つまり相手に納得をさせるコミュニケーションの強さを必要とする、と考えました。

例えば、心の迷いはあるか、ないかということになると、本人にとっては重大な経験を示すことがありえても他者にとっては、全く効力のない現象として捉えられてしまうことはあります。「~さんは好きかもしれない」という発話行為の条件には、その発話の経験を充足させる条件が必要になります。

つまり「経験の政治学」は相互行為の充足条件を相手に納得しうるように説明することで、初めて現象を経験したものとみなされると解釈しています。

元々は世界と個人の事実性認容が異なる場合、世界的考えからの逸脱として個人的経験の認容は、得難いということから出発していると思います。

4.個性と「世の掟」の衝突を融和するには

「世の掟」にしても「世間話」にしても、乗り越えの難しさは、どちらも私たちにとって必要なコミュニケーションの道具であり、同時に内実を持たないものとしてある、といったのはハイデッガーです。

個性の問題と照らしますと、常識や日常会話の中に自分の経験を容認させる力が必要です。

このためには努力の形として世間の考えを反映させることが逆に大事に思えます。社会的な生き物としての私たちは、反骨心だけでは認められません。しかし個性の反映には、多くの人の考えは多くの人の代表的意見でもあり、その道筋を辿っての個性の発揮を重ねる必要がありそうです。

個性と衝突する常識や日常会話は、なぜそのような現象が起きているかという捉え方には、それは多くの人の関心事でもあり、全ての社会に浸透している問題意識としての考えでもあるのですから、それを踏まえて個人的思想を深めることで他者の思いがわかるように思えます。

                                                                 ぐら








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?