【小説】虫の呪い
「いひひ…たーのしい…」
自分は昔から虫を殺すのが好きだった。普通に学校とかに行っていたらみんなにはケンカで勝てないけど虫にだけは勝てる。
しかも反抗されることもなく圧倒的な力の差を持って殺すことができる。それがものすごく楽しかった。
「あっ、もうこんな時間か。日が暮れてきたし帰りが遅くなるとお母さんに怒られるからそろそろ帰ろう」
今日もたくさんの虫を一匹一匹潰してこだわって殺して帰った。自分の手は虫の体液まみれとなっていた。
だがそんなことも気にせず当たり前に手を洗わないで家に帰宅した。今にして思えば、それがまずかったのかもしれない。
「お母さん今日の晩御飯はなに?」
「今日の晩御飯はピザよ。手を洗ってきなさい」
「はーい」
でも自分は、手なんて洗わずにめんどくさがってそのままゲームをしていた。
「いやーここのボス、なかなか倒せないんだよなー」
「晩御飯の準備が出来たわよー。早く来なさーい」
「はーい」
自分はそのまま虫の体液まみれの手でピザを食べることとなった。
「うん、このピザ美味しいよ!」
「あらそう、よかったわね」
「うん、おいしいおいしい」
最初はピザを美味しく食べていたのだが数分経ってからだった。
「あれ、ピザが美味しくない…。変な味がする…。臭い!」
「ちょっとそんなわけないでしょうか食べてみるわ」
「どうだった?」
「何よ、普通のピザの味じゃないのよ。アンタ、嫌いなピーマンが入ってるからって食わず嫌いは良くないわよ」
「うーん」
明らかにピーマンの味とは全くものだ。なんていうかとにかく臭い。
「もういいよ、ごちそうさまでした…」
「ちょっとあんたピザ残すの!? もったいないわね…」
お腹は空いてるけど味覚がどうにもおかしくなってしまったようだ。自分は部屋にお菓子を隠しているのでそれを食べてみることにした。
「うっ、まずい…」
やっぱり味が変だ。
もしかして手洗いをサボったからだろうか? そんなこと思い、自分の手を見てみる。
「えっ、なにこれ…」
自分の指の先が緑色になっていた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
明らかに人間とは思えないようなおかしい色をしていた。自分は怖くなって急いで手を洗うことにした。
「なんでよ、どうして…!」
手を洗ってもらってもその緑色はなかなか消えてくれなかった。むしろ洗えば洗うほどにどんどん指が緑色に侵食されていった。
「なんだよ、おい!」
すると蛇口から今まで殺してきた大量の虫が一斉に出てきた!
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
虫が死にながらも襲いかかってきて体内に入ってきた。一体自分の体はどうなってしまうのか…!? 呪われるのかな?
「ごめんなさいごめんなさい…。もうしませんもうしません…」
どうやらもう遅すぎたようだ。謝っても無駄らしい。虫は勢いを増して自分を取り囲んだ。
「うわっ…もうダメだ…」
意識が遠のいていった。それからかなりの時間が経過していた。
「んんっ…ここはどこだろう?」
自分が目を覚ますと周りが草木の高いジャングルのようなところに囲まれていた。
「ギャハハハ! ギャハハハ!」
すると、遠くから子供の笑い声みたいなのが聞こえてくる。そして自分の近くでその笑いを止まった。
「えっ…?」
自分はそれを見上げると虫の顔をした人間がこちらを覗き込んでいた。
「見ーつけた」
「うっ、うわぁぁぁぁぁ!!!!」
その後に行われたことは容易に想像がつくであろう。自分が虫にしてきたようなことが自分に返ってきた。
手足を1本ずつもがれてなるべく苦しむようにちょっとずつ潰された。
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