田舎に生まれ育って、都会で暮らして、田舎に帰ってきた
「都会にはなんでもあるけどなんにもないし、田舎にはなんにもないけどなんでもある」って、誰かが言ってました。いや、多分誰も言ってないです。
長々しいタイトルにしてますが、要はUターンです。
元々、実家が小さいながらも会社をさせてもらっていて、僕で三代目になるのですが、家業を継ぐために帰ってきました。
今、地方移住や田舎暮らしがこのご時世もあってあらためてフォーカスされたりしてるんですが、田舎で生まれ育ち、ひとたび都会へでて、齢30を超えて満を持して田舎に帰ってきて暮らしてみて、あらためて思うことなど自己紹介的に書き記してみようかと思うております。
都会暮らし
高校までは地元の学校に行ってました。大学進学で京都に行って、なんとかまともに卒業してそのあとちゃんと就職せずに半年フリーター、もういいやと思って実家に帰って半年ニート。で、一旦広島市内に就職しました。
一旦といったのもあれですが、3ヶ月足らずで辞めました。広告系の営業の会社で、松崎しげるさんもびっくりの鬼ブラックだったし、それはまぁまだなんとかなっていたと思うけど私生活でも色々あってもういいや、ってなっちゃって辞めちゃいました。当時の会社には申し訳ないことをしてしまったと今でも思ってます。
会社辞めたわ、って親父に電話したら珍しく激怒して、もう二度と帰ってくるな!って叱られたことをよく覚えてます。その週のうちに平気な顔して帰りましたけど。
とりあえず繋がんとなと思いながら、家の近くの本屋さんでバイトを始めて、そこからなんやかんやで正社員にもしてもらい、結果、10年お世話になりました。
学生時代含め都会生活では、ちょっと飲んで帰ろとか、ライブ見に行ことか、服買おとか、仕事の合間にココイチ食いてえとか、思いついたことがすぐ目の前にあるからそういう意味で便利だったと思います。選択肢がたくさんありました。
こちらが望む望まない別でとにかく無意識的に入ってくる情報が多かったです。それはたくさんの人から入ってくるものや、至る所にある広告など様々です。これが自分にとって刺激になっているものもあれば、鬱陶しいと思っていたものもありました。
田舎暮らし
ということで、3年前生まれ育った故郷に帰ってきました。家業を継ぐために舞い戻りましたので、必然的に仕事は家業です。
家業は砕石業です。山から石を採掘し、砕いて砕いて選別して製品化します。運搬業もあわせてしているので、ダンプトラックで運送もします。
砕石っていうのはですね、道路やビルなどのコンクリートの原料になったり、災害があったときの建材になったり、身近なとこではお庭に敷いたりとかね、します。割と生活の近くにいますよ。石くんは。
都会から田舎に帰ってきたのですが、元々生まれ育った土地ですので大した気構えなんかはなかったです。
ただ、前職書店員さんとしてレジに立ったり本を並べてた人がですね、急にでっかい重機に乗ったりするんですからこれはもう未知なる世界です。仕事上の戸惑いは山ほどありました。さすがにもう慣れましたけど。
まずね、みんな説明がふわっとしとんよ。前職ではある程度の立場でやらせていただいてましたが、作業は効率化合理化が求められるのでマニュアル化されていて、自分もマニュアルを作る側でもありました。僕自身マニュアルは嫌いだったですけど。
ただこちらではそんなマニュアルなんかあるわけもなし。マの字も見当たらんかった。
「ここまで下がったら危ないけえの、気を付けえよ」
いや、危な。それ以上下がったら崖の下じゃわ。気を付けてどうにかなるんか。気を付け方を教えてくれ。
「まずの、原石をここに入れるじゃろ。ほいであっこのコンベア通ってホッパー通って、ふるい分け通って製品できるけ」
製品が出来上がる工程を理解するのに半年かかりました。ホッパーてどれや。
「煙がでたらすぐ降りいよ。爆発するで」
どんな世界の話よ。
これまだ控えめに書いてますが、みんなえげつない方言と専門用語みたいのでしゃべってくるからそもそも何言うとるか分からんのよね。まずこれが面食らったことです。
具体的に都会との生活の違いを書いてみます。
やっぱり賃金は違います。僕の場合2割から3割減りました。都会と比べて平均賃金は下がるし、仮にいたとしてお金持ちさんの上限も大きく下がると思います。
ただ、生活に関してお金がかからないものも多くあります。食材は都会に比べると安いみたいです。僕はちゃんと調べたことないけど、奥さんが言ってた。そもそも野菜は家でも家族で食べるには十分なほど作っているし、加えて周りの人がくれたりします。
家賃は多分そこまで変わらないです。田舎だと安いだろうと思われがちですが、そもそも賃貸なんかの数が少ないからそんなに安くないんだと思います。そりゃ、東京とか大阪とかよりは安いですよ!大体5万程度でそこそこ普通のとこ借りれるくらいと思います。
田舎は娯楽という意味での選択肢は少ないです。都会だと考えられうるほぼすべての娯楽が車で数分のとこにあったと思います。
夜ふらっと飲みに行きたいと思っても開いてるお店は数件です。当然ですが車で行く距離です。他にも、彼女とデートだ!映画でも見よう!と思っても、映画館はありません。仕事終わりに服でも買うかと思っても、そんなお店ないしましてやイオンなんてありません。イオンに行くのは月に一回のおでかけです。最寄りのココイチやマクドナルドまでは車で1時間です。
でも段々、こちらでの生活が長くなってくると、それなりにふらっと飲みに行くし、イオンべつに行かんでもええわ、ってなってきます。僕別にイオン好きなわけじゃないけどね。
あと、働くようになってびっくりしたのが、農業や酪農を兼業としている方の多いこと!普通に働きながら半分くらいの人は田んぼもしよるから。仕事終わりに今から帰って田植えじゃ!とかみんな普通に言うから。
自然と暮らす
田舎の人は自分たちで遊びを見つけてきます。そんな風に見える。相手を自然に遊んでるし、遊んでもらっとる。遊んでいるようで生活にも直結することが多いです。
仕事終わりにキラキラした町通りを歩くことはなくても、自然の中にふらっと入っていって夜のおかずを釣ったり採ってきたりです。
それと、都会との大きな違いですが時間の進み方がゆっくりだと感じます。僕は都会で暮らしているときも満員電車に乗って人込みをかき分けて、みたいなことはしていないですが、それでもたくさんの人に囲まれて、見られて、いろんなことに追いかけられて、というサラリーマンとしての生活は確かに窮屈でした。
空気が美味しい、って僕鈍感なのか感じたことないんですけど、多分美味しいんだと思います。都会から来た人は言われていたし。
全然違うな、って思ってたのは星です。夜空に見える星は全く違います。ずーっと見てたら、10分もすれば流れ星が流れます。
四季を感じながら、抗わずに、自然に合わせながら生活している実感はあります。
のんびりしとるって言うと語弊がありますが、例えば仕事などで何かに追われている感覚の人はあんまりいなくて、それぞれ仕事以外の時間をどう過ごすかを考えてるような気がします。これ本質的には都会の人も田舎の人も一緒だと思うんですけどね。
地域と暮らす
僕は元々暮らしていた町に帰ってきているので、都会から移住される方はもっと多くのことを感じられると思います。例えば地域のコミュニティは少なからずあって、参加せざるを得ないところが多いと思います。同じようなことで、周りの目が強い言い方をすれば家の中まで入ってきます。
そもそもの人の人数が少ないから人間関係はおのずと濃くなります。そしてそれはいい意味でも悪い意味でもすごくオープンです。こちらが閉じていようがいまいが割とおかまいなしです。
この辺僕は元々こういうものだと思っていたので別になんともですが、都会で暮らしているときはこういった煩わしさを気にしなくていい気楽さはありましたね。
どっちもいいよ
一番上に書いたやつ。
「都会にはなんでもあるけどなんにもないし、田舎にはなんにもないけどなんでもある」
これ、他でない僕が大学の頃思ってたやつです笑
芯食ったいいこと言ってる風で全然意味わからん。
ただあれです、僕がしたいことは田舎に十分すぎるほどあって、都会ではありすぎて選べないんです。これは今までずっと変わらない気がします。
まとめ的に結論を書くべきなんですが、どっちがいいとかはないんですよね。
どっちもいいですよ。都会も田舎も。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?