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シーシャとワインの共通点とは

 ワインとシーシャ(水タバコ)は、食事やタバコと似て非なるもの。キーワードは「ストーリー」。はたまた自分が食に求めるのもストーリー。一口が一口で終わらず、一皿が一皿に終わらない、一の中に無限を感じるような味こそ「おいしい」と感じる。ただ複雑にするのではなく、調和を前提に五感の層を重ねていくような、とても繊細な作業が食にはある。下の記事では寿司を一口、一食、一年に分解し、それぞれのストーリーが多層的に重なって生み出す魅力を書いた。

 東池袋「Shisha Tella」オーナーの寺口さんも同じことを語っていた。“シーシャはストーリー”だと。自分が食に対して思っていることと同じだったので、思わず集中して聞いてしまう。シーシャは1台注文すると1~3時間持続する嗜好品だからこそ、この短くない数時間の中にストーリーを持たせ、全体としてお客さんに満足してもらう必要がある。

 味の立ち上がり、最初に感じる味から後に残る味までの構成、時間経過で変わる五味のバランス、炭のマネジメントによる煙量のコントロールまで、シーシャはシーシャ自体だけでなく「くつろぎの時間」を提供するためのストーリーがある。安心感には刺激よりも調和を、単調よりも心地よい流れを。何かとアングラな印象を持たれてしまうジャンルだが、掘っていけば深い世界がある。

 寺口さんの話を聞きながら、歌舞伎町の「おぅばん」のオーナーがしてくれた話を思い出した。ワインはボトルで頼んで、開封と同時に始める変化を楽しみながら、同席した人と感想を語り合う楽しみ方を教えてもらった(と言いつつワインは未だに分からないのが恥ずかしいところ)。ちなみにShisha Tellaにはワインも置いていて、「シーシャもワインも香りを扱う点では同じ」と言っていた。おぅばんと共同で店を開いてほしいくらい。

 ただ、2人の言いたいことは分かった気がする。シーシャとワインそれ自体を突き詰めるのはもちろんのこと、それを中心にして進む時間と空間のマネジメントを考慮した上でのストーリー構成がある。他の飲食店が時間と空間のマネジメントを怠っているわけでは全くないが、シーシャ1台、ワイン1本と長く向き合うからこそ、そこには独自の哲学を生む余地があるのだろう。


Shisha Tella(東池袋)

 かなりオススメできるお店だったので紹介します!池袋から徒歩6分は微妙な立地かと思いきや、駅からの絶妙な距離感が客のスクリーニングになって店の雰囲気をクリーンに保っていました。店内は明るいトーンで統一されていてまるでテラスハウスのよう。ゲームやトランプも置いてあるので、仲間とゆったり楽しみたい時に最高なお店でした。

🐤Twitter🐤 → https://twitter.com/Shisha_Tella?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

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