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#56:とあるプロマネの呟き〜ステコミ

ステアリングコミッテイ、通称ステコミ。分かりやすく言うと、偉い人会議だ。あらゆるプロジェクトの大事なことはここで報告相談する。

いわゆるPMBOKでも会議名としては出てくるものの、具体的なやり方は属人性が高い。だがひとつ言えることは、ステコミの運営状況を見ればプロジェクトの成功確率がほぼ分かる。

あまりステコミが好き、という人は聞かないが長年プロジェクトをやるとステコミは避けて通れない。でもワタシ自身、なぜだかステコミに思い入れがあるようでかなりの長文となった。お暇な時にどうぞ。

ステコミとは

プロジェクト内だけでは意思決定できない、責任を取りきれない案件は、偉い人たちに意思決定を担ってもらう。そのための枠組みとして、ステコミの場を設ける。

意思決定を促すには、必要な情報提供がいる。細かすぎず、粗すぎない適度な粒度の情報。計画と進捗、課題リスク。そして今日は報告なのか相談か、承認依頼か。決定して欲しいこと、議論したいことは何か。

慣れないうちは、気をつけるべきことが多いので少し難しいコミュニケーションとなる。

良いステコミにするには

まず徹底的に、ステコミメンバーの目線を意識すること。これは偉い人に忖度するとか、媚びるとかではない。理由は2つある。

ひとつはステコミに限らず、会議はコミュニケーション、つまり双方向だということ。それでなくても偉い人たちの目線はどこを向いてるか意識しないと把握しにくい。たまにプロジェクト側から報告したいこと、つまり言いたいことの羅列だけの議事となり紛糾することがある。これでは適切な情報提供にならず、ステコミメンバーから良いフィードバックをもらえない。

もうひとつは、ステコミが意思決定する場であるということ。決断は誰にとってもストレスレベルの高いアクションだ。ましてや、プロジェクトの大事な判断を仰ぐ場合は、より慎重になる。必要かつ充分な情報がない中での決断は、よりストレスの高い行為となる。良い決断をしてもらうためにも、目線合わせが重要になる。

ステコミって、必要?

良いステコミをするには充分な準備を要する。そのため、人によっては、プロジェクトの本来業務の枠外、もしくは必要悪だと思っている。しかしながら、それは大きな誤解だと思う。

どんなプロジェクトでも組織の正式な決定に従って遂行され、次の工程に進むのも、中断するのも組織決定に基づく。多くのプロジェクトではその組織決定の役割をステコミに委ねる。

そのため、正しく情報が吸い上がらず、適切な判断できない場合、いくら足元のタスクが順調でも中断に至ることすらある。本末転倒だが、正しく伝わらないとはそういうことだ。そして何よりも正しく伝えるというのは、そうたやすいことではない。この意思決定の構造と伝達の重要性はしっかりと意識した方が良い。

ステコミ準備

少し話が逸れたが、如何にステコミの準備が大切かと言う話。以前の会社ではステコミ本番までに、毎回最低でも4回プレの会議があった。自チーム、部、本部と、ビジネス部門を含めたプロジェクト内でそれぞれ事前説明。そのため、本番で話すまでにリハーサルを4回行うに等しく、各回の指摘事項を資料に反映する。

最初、4回はかなり多いと思っていた。しかし事前説明の過程でステコミが必要とする情報に絞り込まれるし、粒度やピントも適合する。おまけに、本番まで何度もプレゼンを繰り返すことで口も滑らかになる。

また本番で資料内容は全て頭の中にあるため、発表に脳のCPUは使わず、その場のあらゆる質疑に意識を集中できるようになる。そのため、有意義な議論やより的を得た説明ができる。確かに、4回は多いがそれなりに意味はあった。

最後に

ステコミへの想いを熱く語りすぎて、自分でも少し蒸せてきた。呟きの範疇はすっかり越えたが、最後にひとつだけ。

ステアリングとは、舵のことである。たまに想像してみるのが、プロジェクトとは同じ船に全員で乗っているようなものである。その場合、ステコミは、まさに船長(たち)である。

船長が正しく舵を切れるように、乗組員である我々は海の状況を正しく伝える必要がある。さもなければ、最悪、船ごと難破してしまう。

あくまで正しく伝えることが大事だと、時折、自戒する。その場をいくら取り繕っても、後で難破したら意味がない。むしろ間違った判断を促した罪は重い。もちろんステコミへの忖度やゴマすりをしてみても、海(プロジェクト)には特段影響がなく、無意味なことが分かる。

そのため、ステコミでは勇気を持って、何でも正しく伝えたい。たとえ、それがどんなに良くない報告だとしても。

長文をお読みいただきありがとうございます😭

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