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地域みらい留学365-島根県立三刀屋高校を選択した理由-

 はじめまして。大阪の追手門学院高校から島根県三刀屋高校に地域みらい留学365に参加中の高校2年生の中村紗花です。


 桜が有名な島根県雲南市と聞いて満開に咲きほこる桜がみれると思い、高ぶる気持ちで4月の留学を迎えました。しかし、桜は既に葉桜になっておりこの2021年から始まった地域みらい留学365に参加する1年間が一瞬に過ぎ去ってしまうことを悟っているようにも感じました。そもそも、地域みらい留学365とは高校2年生の1年間、今まで過ごしてきた枠を飛び越え「地域」に留学する、2021年春から始まった、地域・教育プラットフォームと内閣府が企画した高校魅力化事業のことです。

 私が留学を決意したきっかけは、「高校受験の失敗」です。本来、私は公立高校の進学を希望していました。はじめて本気で頑張ったことが失敗に終わった経験をしました。合格発表のとき自分の受験番号がないことを知ったとき、本当に心にぽっかりと穴が開いたような、自分だけが穴に突き落とされているような感覚に襲われました。今でも忘れない感覚です。数日は事実を受け入れることができず、受け入れることができたのは通っていた塾へのあいさつのときです。中学1年生の時からお世話になっていた恩師の先生から「力不足で申し訳ない。」と言われました。その言葉でやっと現実を受け入れました。自分の力不足で落ちた受験なのに先生にその発言をさせてしまったことに私は申し訳なさとともに大学受験でのリベンジを決意しました。
 4月、私は追手門学院高校に入学しました。入学といってもコロナウイルスの流行による緊急事態宣言で入学式もなく、オンライン授業が始まったため高校生になった感覚はありませんでした。むしろ、受験に失敗したことが切り替えれず、引きずっていました。6月頃まで続いたオンライン授業の間、社会では失業者の増加や給付金の話がニュースではもちきりでした。失業者の代わりにAI搭載の機械が進出していくことに便利さや技術発展の凄さを感じさせられつつもどこか違和感がありました。AIとは違ってミスしてしまう人。なんて無力なんだと思いつつも、AIにはない、「人にしかできないこと」は何だろうと思うようになりました。
 感染対策もしつつ、学校が再開して1カ月が経った7月頃。地域みらい留学365の広告が学校で配布されました。この制度で違う環境に行って「自分を変えたい」と思い、興味を持ちました。
 10月頃に全国に15校あった募集校のうち、留学先を決めました。「人にしかできないこと」を追求したいと思っていた私は、農業や水産など専門ではなくノージャンルで高校生活を過ごせる留学先を希望しました。たくさん調べた中で、雲南市のホームページを閲覧したとき、「日本一チャレンジに優しいまち、雲南市」というワードに私は惹かれました。したいことがあっても声や文字、言葉であげるまでで止まり、結局埋もれていくと思っていました。取り上げてもらえるのはほんの一握りの人のみであること、それが普通であると思って生きてきました。だから、このワードを見たとき、「ここなら”したい”を”カタチ”にできる」と思い雲南市を選びました。
 11月までは志望理由書を書くのに何度も先生から指摘を受け、苦労しました。ですが、その度に自分と向き合う時間となったため今では良い期間だったと思います。11月頭にに三刀屋高校に面接に行き、中旬のちょうど私の誕生日の日に合格の通知をいただきました。
 留学が近づくとともに期待と仲が深まり始めた友達との別れを惜しむ複雑な気持ちになりました。応援してくれる友達や先生、両親、本当に恵まれた環境だと思いました。高校受験に失敗したから追手門学院高校と出会い、「地域みらい留学365」に出会いました。はじめは悔やんだ暗い過去かと思っていましたが、今は私に与えられた運命であったのかもしれないと思っています。




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