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食を楽しむ心、分かち合う仲間、それから・・・鈴木 将が体験&発見した18日間 <前編>

こんにちは!The SUZUTIMES編集部のこれえだです。

この記事では、2017年にSUZU GROUPオーナーシェフ 鈴木 将が綴った『食文化留学』の体験記を再編集してお届けします。
鈴木自身にとっても、この時の経験や感覚が元になって今に至るという部分がたくさんあるそう。文章から少しでも感じていただけると嬉しいです。

2017年5月2日〜5月20日の18日間。イタリアとスペインを旅したオーナーシェフの鈴木 将。ラテンの風が駆け抜ける街で、料理を通じて食への情熱あふれる人々と出会い、飲食を共にしながら語り合い、感じたこととは? 

マヨネーズ発祥の地、メノルカ島で「つくね」を作る

今回の旅のきっかけは、キューピーとぐるなびのタッグで野菜摂取を推進する「MOTTO VEGEプロジェクト」。
農家を応援するシェフを応援しよう! というもので、プロジェクトには全国で約11,000店舗が登録されているのですが、2017年には、僕ともう1人、さいたま市にあるトラットリア アズーリの新妻直也シェフが「野菜留学」に招待されたんです。

旅は4つのシーズンに分けられます。まずはスペイン、メノルカ島でのマヨネーズの祭典「ガストロシッタ」。バルセロナから飛行機で1時間、地中海に浮かぶ“マヨネーズ発祥の地”です。
昨年に続き2回目となる祭典に日本人シェフとして招かれ、1500人分の「鶏つくねの味噌マヨネーズ添え」を作りました。

焼き鳥は、焼き鳥屋の息子だった僕の原点。鶏ひき肉と玉ねぎ、しいたけの代わりにマッシュルーム、そしてチリペッパーを入れて。味噌はいつも使っている長岡市の柳醸造の玄米味噌を持って行きました。

いかに日本からの持ち物を少なく、軽くして、日本の雰囲気を出せるかと考えて。習字の練習用の半紙を持って行って、現場で筆で書いた日本語のバナー、けっこうインパクトありましたよ。
それと、笹の葉を1000枚くらい持って行って。真空パックなのに重かった・・・(笑)。

日本だと、マヨネーズ=野菜サラダと思われがちですが、スペインでは魚料理や肉料理のソースにしたり、いろいろな使われ方をしています。

つくねは高評価。
みなさん、口々に「Muy rico(とってもおいしい)!」と言ってくれました。

「ガストロシッタ」は2日間のイベントで、想像よりも年配の方々が来場していましたが、「つくね」は評判がよかった! 自分で言うのもなんですけど(笑)。

12店舗がキューピーマヨネーズを使った料理を出品していて、12枚のチケットを与えられたお客さんが屋台村のような会場を巡って、すべての料理をゆっくり食べる。

いちばん美味しい!と思った料理に1票投じることができるというシステムでした。優勝したシェフは日本に来れるということになっていて、日本人の僕は除外だったのに僕にもたくさんの票が入っていたんですよ(笑)。現地メディアでも紹介され、市長にも好評でした。

一緒に参加していたシェフたちに、うちの「JHONNY ディップソース/えだまめマヨ」をプレゼントしました。海外では枝豆がとても喜ばれるんです。

ビルバオのスローフード学校で審査員になる

メノルカ島の次はバスク地方、フランスにも近いスペイン北部の街ビルバオへ。

もともとは工業メインの街でしたが、不景気や洪水もあって徐々に廃れ、工業は外へ、サービス産業を中に取り入れることで成功した都市です。

現地の料理学校

ここでは、スローフード哲学を伝えるアルチャンダ料理学校で料理コンテストの審査員を務めました。
産地に行って売り買いしたり、地域を見つめたり、料理の技術よりも概念や哲学をきちんと教える学校です。日本にはまだないですね。先生の意識も高いし、学生のレベルも高い。

コンテストのテーマは「スローフードとマヨネーズを掛け合わせたピンチョス」。

参加者は、学生に加え卒業生でもあるプロのシェフたち。この優勝者も日本に来れることになっていました。
審査員に日本人がいるということもあってか、寿司とか、和風のアレンジを施した料理が多く出品されていました。
よく寿司を出したなぁと思ったけど、美味しかったんですよ、これが。

見た目も味もハイレベル!恐るべし!

この学校には学生が運営するレストランもあり、地元の野菜や魚を使ったスローフードのコース料理を提供しています。
こんなコンテストが当たり前のように行われているところがすごいなと思いますね。新潟市の調理学校の先生も同行して一緒に審査員をやったのですが、びっくりされていましたよ。

ビルバオの街

ビルバオは戦略的に出来上がった街なので、星付きのレストランがスローフードを使うなど、付加価値としてスローフードを活用しています。地元の人向けというよりも観光目線です。
イタリア発のスローフードは長岡野菜のコンセプトと似ていて、『なくなってしまう前にきちんと認証しようよ』という考え方。客単価3,000円〜4,000円くらいのレストランがメインです。
スペインとイタリアでは、少しスローフードの解釈が異なっていると感じました。

ビルバオのスローフード認定店にはこのマークが。
市民にはスローフードの考えが浸透し、ゆったり、じっくり土地の恵みをいただく地産地消が当たり前。

ビルバオでは、「Azurmendi(アズールメンディ)」というレストランにも行きました。ヨーロッパで最年少の三ツ星シェフのお店です。
コースは2万円くらい。23品くらい出てきて、3時間かけて食べるんです。
料理が提供される演出も楽しくて、ぜひ行ってみて驚いてほしいから、あんまり写真は載せません(笑)。


前編はここまで。
後編では美食の街として名高いサン・セバスチャンへ向かいます。

お楽しみに!

これえだ

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