見出し画像

先生として子どもと過ごしたあの日

小学校教員の頃、子どもたちと学びの架け橋となれる先生を目指していた。そのために、授業作りの軸は「子どもたちの興味・関心をどう高めるか」だった。「やってみたい」という声を引き出すために、さまざまな視点から教材を捉えていた。

教員2年目の3年生クラスで市の教育委員会の研究協力員として外国語活動で英語の劇の授業計画を立て、実践することになった。
私自身外国語が苦手だったため、不安いっぱいの中、スタート。
研究員の方とやりとりする中で、「子どもたちが主体で活動するためには、どんな働きかけが必要か」がこの授業の鍵になることに気がついた。
子どもたちの興味・関心を引き出すためには、身近な出来事や教師自身のお手本、最終ゴールが見えることなどが必要だと考え、クラスの子どもたちの実態に合わせて授業を作っていった。また、協力校同士をzoomで繋ぎ、両校の授業成果を披露するゴールを設定し、子どもたちと一緒に授業を進めた。

ただ知っている単語を使えばいいというわけではなく、相手に伝えるための身振りや方法、相手に合わせてたコミュニケーションが大切になる英語の劇。
授業を進める中で、どんどん子どもたちから提案の声が出てくるようになった。「先生!〇〇さんのいいところを見つけました!」「直していった方がいいところを見つけたので、伝えてもいいですか?」などと子どもたちが主体で動く流れができてきた。タブレットを使って、自分たちの練習を動画に撮って、振り返りを行ったり、自分たちで意見を出し合ったりと授業計画を立てるときに目標としていた姿が見られるようになった。

発表内容を巡って、クラスで揉め事が起こったとき、一緒に悩んで解決策を見つけようとした姿。
どんどん自分たちで進めようと試行錯誤していた姿。
いいところを見つけるとお互いに認め合い、褒め合う姿。
この様子を学級通信を通して、他の教職員や保護者の方に発信し、子どもたちの成長を一緒に喜び、応援する環境も作ることができた。

発表の当日、子どもたちは自ら休み時間を練習時間に充て、最後まで自分たちの納得のいくものを作ろうと一生懸命だった。私は、一番近いところで子どもたちと過ごし、子どもたちの成長した姿がとても印象に残っている。教員という仕事の尊さを感じた時間だった。

「この授業が終わる頃、先生はクラスの子どもたちがどんな姿になっていてほしいですか。」
初めて研究員の方と話した日、このように質問された私は「外国語活動を通して自分の意見を積極的に友だちに伝え、主体的に活動できる子ども」と話した。
そのために、子どもたちの様子を観察し、今のクラスの状態を理解することから始めた。ただ、授業内容を教えるだけでは、学級は成長しない。子どもたちと向き合い、一緒に作っていった授業と学級。とても大切な経験を子どもたちとすることができた。

授業が終わり、子どもたちは「はじめたときは、自分たちにはできないと思っていたけど、やってみると楽しくて、もっとやりたかった」「クラスみんなで一つの劇を英語でするのはワクワクした」と英語が苦手な子も得意な子も一緒になって話していた。

自分にはできないと思っていた私や子どもたち。でも、一つひとつ課題を見つけ、悩みながらも目標に向かって取り組む姿勢を続けることで、自分たちの可能性を知り、自信をつけることができた。この研究は、子どもたちだけでなく、私の大きな成長のきっかけともなった。

*ポートフォリオとして自分の書いた文を一部改変し、再度公開しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?