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自分の手で繋ぐ、金継ぎの会「studio_mimiosumasete」

いつもとは違う電車に乗り、山々の緑や夏の雲が浮かぶ空を眺めながら小旅行気分が味わえる滋賀県にやってきました。今回訪ねたのは、琵琶湖を眺める家で、ヨガや金継ぎ、布継ぎをされている「studio_mimiosumasete」の愛さんのお宅。想いのこもった器に新しい命を吹き込む「金継ぎ」は、じんわりと心を緩めてくれました。

金継ぎとは、器の割れや欠け、ひびなどで破損した部分を金などの金属粉で直す修復法。古くから日本で受け継がれてきた伝統的な文化です。
傷跡を景色としてとらえ、傷をも器の歴史の一つとして考えます。そして、新しい命を吹き込むように手当てをします。日本のモノを大切にする文化から生まれました。

金継ぎは、使用する素材によって3種類に分けられます。
・【金継ぎ】本物の漆のみを使う伝統的な金継ぎの方法
・【簡漆(かんしつ)金継ぎ】「合成樹脂」と「本物の漆」とを併用する方法
・【簡易金継ぎ】「合成樹脂のみ」を使う方法

その中でも、今回体験したものは「簡易金継ぎ」というものです。

江戸時代の角皿(割れと欠け)

まずは、この割れている破片を強力接着剤を使ってくっつけます。ひびの継ぎ目が見えなくなるところにピタッとはまると仕上がりがきれいになるそうです。

ここだ!とはまる場所がありました。

次は、この欠けている部分に「パテ」を埋めていきます。パテは二層になっているため、よく手でこねることが重要です。この層が混ざりきっていないと、硬化せず、器が崩れてしまいます。
また、しっかりこねることができると硬化が始まります。時間との勝負。丁寧に欠けている部分を埋めたり形を作ったりしていきます。

これがまた難しい…

パテが固まったら、耐水ペーパーとナイフで器のラインがきれいに繋がるようにします。 

丁寧かつ大胆な作業でした

さて次は、いよいよ漆を塗る作業です。

しかし、今日はここまで。
焦らず、ゆっくり器と自分と向き合い、耳を澄ませる。

一緒に参加された方は自分で作った器のお直しでした。

金継ぎは、器を通して自己の内面と対話する時間そのものです。その器と重ねてきたかけがえのない時間や思い出を「金継ぎ」という行為で受け容れ、肯定している。
器を直すという行為を通して、自分の暮らしを見つめることができました。

自分の手で繋ぐからこそ、過去の自分と今の自分をまるっと抱きしめて、新しい物語を紡ぐことができるのかもしれません。

金継ぎの会をされている愛さんに会いに行くと、やわらかくあたたかなパワーをもらえます。
パワースポットを訪れる感覚に近いかも。

【金継ぎの会】「studio_mimiosumasete」 岩瀬 愛さん
【写真】nanaさん
【記事・写真】torikai suzuka


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