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いつの日かすべてがかわいく思えるように。

花がほしくなった。
部屋に花を絶やさない暮らしを
していたのだけれど、
(毎月初めにいつもの店に
カジュアルなミニブーケを買いに行くのだ)
この夏は暑すぎる部屋の中で
すぐに弱ってゆく花が不憫で、
飾ることができなかったのだ。

また花のある暮らしがしたい。
そう思い出したのは
秋の空気に入れ替わったからだけではなく、
藤井風さんの新曲『花』を聴いたからだろう。


藤井風さんの曲は、
節まわしが独特だったり
音域が広かったり
フェイクが多用されていたりして、
私のようなシロウトには
なかなか歌いこなせない。
聴くだけで満たされているから
それで充分いいのだけれど。
(歌ってみようとすら思いつかないくらいなのだ)
この『花』という曲は、
何回か聴いただけですぐに覚えてしまい、
歩きながら、
珈琲を淹れながら、
歯を磨きながら(その時はハミング)
つい口ずさんでいたりするのだ。

何しろ耳ざわりがよい。
風さんの歌い方も力みがなく、
肩の力が抜けていてシンプルだ。
歌い出しはしずかで優しい。
ビブラートはほとんどかけないし、
フェイクもあまりしない。
日常にすっと溶け込んでいく。
TVドラマの主題歌だということをふまえると、
皆が覚えやすい口ずさみやすい歌いやすい
ということは、
大事なことなのだと感じている。
その匙加減と、
ドラマに寄り添った雰囲気作りが上手いのだな。
それでいて2番の歌詞をみると、
藤井風さんらしさが
ちゃんと盛り込まれている。
さすがである。

いつの日か
すべてがかわいく思えるさ

という歌詞のように
でこぼこな日々も
いびつな自分も
どんな想いも、
いつか愛おしくなって微笑んで
語れるようになれるといい。
私はそう願う。


花を探しにいこう。
花を再び部屋に呼ぼう。
秋は何の花がいいだろう。
私なりの花を、この腕にいだいてみよう。


文章を書いて生きていきたい。 ✳︎ 紙媒体の本を創りたい。という目標があります。