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短歌 新作8首 『何もいらない』

幸福を感じている間は、目に見えるものや、聞こえてくる音がすべて美しく思える。
陽の光。木々の緑。風の音。冷たい雨。君と僕。
すべてが調和しひとつになって、君と僕は今、世界を取り巻く中心にいる。

そんな気分を、8つの短歌で書いてみました。

第一歌集『愛を歌え』には収録されていない新作です。
もしも気に入っていただけたら、ぜひ『愛を歌え』も読んでみてくださいね。
あの俵万智さんが帯文で「今を生きる愛の名言が、ここにある。」と太鼓判を押してくださった、295の短歌で綴った物語です。

何もいらない

未来から届く手紙の書き出しのように目映ゆい君の「おはよう」

沈黙になるのが怖い 恋人の名前が不意に語られそうで

丁寧に積んだ煉瓦の城壁を壊す覚悟で君に触れたい

最新の機種より4つの眼球で映す緑はきれいなはずだ

日が沈み月が東に昇るなら君の他には何もいらない

歯車がひとつ狂った出逢わない世界線でも捜しに行くよ

盲目の深海魚に生まれ変わったとしても俺と気づいてほしい

これからも共に歩んでいたいからコンバースに履き替えて進もう

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