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骨太の方針2020に思うコト

7月中旬に発表された『骨太の方針2020』ですが、個人的に興味ありな「デジタル政府の実現」「働き方改革」の2つについてまとめてみました。
デジタル政府に関しては、マイナンバーカードの利便性拡張/自治体システムのデジタル化などが明記され、公手続がますます1Stopになるのかなと。
働き方改革についてはジョブ型雇用やフリーランス支援制度強化によるテレワーク/非接触/遠隔業務などが促進されようかと。
デジタル政府化については今までも出ては消え出ては消え…な状態でしたが今回はコロナの影響もあり、本気で進めるようです。よく考えてみると、システム投資は無形資産投資になるので、建設国債でカバーできない(財政法)ゆえに投資が進んでこなかったのかなとも思いました。

【骨太の方針2020の抜粋】
■行政デジタル化■
<Summary>
 「行政のデジタル化」は「一丁目一番地の最優先政策課題」とされており、官邸に司令塔機能を創設して今後1年を集中改革期間として、「マイナンバー制度の抜本改善」や「地方自治体のシステム標準化」に取り組む
 2000年代から様々な電子政府化推進策に取り組み、国連の電子政府ランキングでも上位に位置付けるが、電子申請利用率は最下位(31位/31国中)。利用者目線の欠如が背景にあり、行政目線でのサービス提供(例えばPortalの不在)に起因。今回の「公のデジタル化」は「民のデジタル化」に波及する側面が多く、官民で強調した取組の促進が求められる
<施策/方向性>
(1)次世代型行政サービスの強力な推進;電子政府の断行
 -電子政府実行計画の見直し/施策の実現の加速化
 -現行の電子政府実行計画を年内に見直し、各施策の実現加速化
 -業務プロセス見直しを含め、必要なことを全て計画に盛り込む
 -内閣官房に新たな司令塔機能を構築
(2)マイナンバー制度の抜本改善
 -PHR(個人健康記録)の拡充、一覧性をもったデータ提供
 -e-tax等の自動入力項目の順次拡大(医療費・公金振込口座など)
 -在留カード、マイナンバーカードの一体化
 -各種免許、国家資格、教育等での活用
 -国税還付、年金給付など公金振込口座設定のための環境整備
 -預貯金口座へのマイナンバー附番の在り方、本年中に結論。
(3)国/地方を通じたデジタル基盤の標準化の加速
 -地方自治体の基幹系業務システムの統一標準化、この1年で集中取り組み
 -行政手続のオンライン化(One-Stop/Once-Only化/対面押印不要)
 -地方自治体でのAI/RPA活用の横展開
 -デジタル専門人材の地方への中長期派遣、複数地方自治体でのCIO兼務推進
(4)分野間データ連携基盤の構築、オープンデータ化の推進
 -共通DB構築
 -オープンデータ官民ラウンドテーブルの改善
 -インフラ関連データの公開

■働き方改革■
<Summary>

 「新しい働き方」としてジョブ型雇用の推進が明示、その一環として裁量労働制の実態調査/制度の在り方を検討する。
 既存の裁量労働制/高プロ制度は適用職種の条件/報告義務が煩雑で利用が進まず(企業側への管理/報告義務が促進を阻害)。恐らくボトルネックは「労働者側が転職しがたい構造」にあり、企業/労働者の関係性が平等でないことに起因しており、市場流動化には旧来型の労働慣行(年功序列や退職金制度等)の見直しが必要。
 コロナ前までは人手不足に伴う需要増での転職環境好調がけん引して制度改革の後押しになっていたが、環境変化に伴う反対論が強くなる可能性も
解雇を伴う形のジョブ型雇用導入や裁量労働制の拡大論には反対が強まる可能性が高い。
 フリーランスに対してはセーフティネットの拡大が課題で、労災加入の検討や社会保障対象の拡大(正規雇用者と同等の基盤整備)が明記された

<施策/方向性>
(A)働き方改革関連法の着実な施行
(B)フェーズⅡの働き方改革(ジョブ型雇用)
 -裁量労働制について制度の在り方について検討
(C)兼業、副業の環境整備
 -通算労働時間管理のルール整備(本業側の使用者責任を問わない等
(D)育児介護などに対応した多様で柔軟な働き方
(E)RPA活用を含む生産性向上
(F)テレワークの定着、加速に向けたKPI設定
(G)事業場外みなし労働時間制度の適用要件に関する整理
(H)フリーランス保護ルールの整備
 -独占禁止法(優越的地位の濫用等)等を事業者/フリーランス取引にも適用
 -雇用に相当する場合には労働関係法令が適用されることを明確化
 -上記をガイドラインにより明確化、立法的対応を検討、執行強化
 -特別加入制度を用いて労災加入が可能になるよう検討

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