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【ネタバレあり】ワンダーエッグ・プライオリティ 第7話 感想

1 はじめに

 ネタバレありです。視聴予定の方は、先にアニメを観ることをお勧めします。

 また、この記事は、あくまで個人の「感想」であって、「正解」ではありません。こんな考え方や感じ方もあるのか、くらいに受け取って頂けると幸いです。



2 今週のにゃらめるこーんず

 「にゃらめるこーんず」とは、アイたち4人のSNS(Line)上のグループ名です。


 初めて描かれたリカの制服姿は、とっても似合っていました!

 口紅を塗る行為は「大人への憧れ」、これが上唇だけなのは「まだ半人前であること」、最後に拭うのは「大人への軽蔑」を表しているのでしょう。


 引きこもっていたアイが登校を再開します。回想シーン以外で、アイが制服を着ているという感動!普段クールな ねいるも、「いいかんじ」と文面では冷静ですが、声がちょっとテンション高めでしたね。


 「まっちょ」スタンプのくだりも良かった ♪ ねいるは、第5話のゲーセン回がよほど楽しかったんでしょうね。リカにパクるなと返すねいる。今日も、リカとねいるが仲良く喧嘩していました。



3 「14才の放課後」

 第7話のサブタイは、「14才の放課後」です。

 「才」は、小学生が「〇〇歳」と書けないため、「歳」の代用になります。ここでは、アイたちが子供であることを強調しているのでしょう。「大人」論は、ワンエグでは「自殺」と並ぶ重要テーマですが、ここでは割愛します。


 アイが登校を再開した日の放課後、いつものように、アイたち4人が集まります。

 朝、母親である「千秋」と喧嘩したリカは、少し元気がありません。でも、しんみりした空気が嫌いなリカは、いつもの笑顔を作って、アイたち3人の下へ駆け寄ります。健気ですね。

 前回、アカと裏アカから貰った「ワンダーアニマル」たちは、雑食のようです。私は、先日の特番で、初めてこの総称を知りました。

 

 アイは、どういう訳か、リカたちに学校へ行くようになった理由を説明していませんでした。説明を促されると「悶々としていてもしかたない」と濁します。
 まだ詳しく話せないのだと察したリカは、「悶々ってやらしーなー」とおちょくって話を変えます。リカは、空気を読む天才ですからね。「そういう意味じゃない!!」と赤面するアイの口が、水木しげる先生の絵みたいでしたw

 リカは、何も言わずにねいるの背中にタッチします。この2人ならではの挨拶 ♪


 アイは、イジメられていないが、腫物扱いを受けたと報告します。心配する桃恵たちに対し、3人も友達がいるからと言って安心させます。これは、アイの本心に違いありませんが、不十分です。アイが学校生活を送れる理由は、リカたちがいるからだけではなく、大好きな沢木先生がいるからです。

 リカは、「アイ、やっぱり友達って素敵だな」と言っていましたが、いつもの笑顔ではなく、少し寂しそうな顔をしているように見えました。もしかしたら、「ちえみ」のことを思い出していたかもしれないですね。ちえみと友達になれていれば...

 なお、ねいるの飲み物は、アイと友達になったときに、アイから病院の屋上で貰ったジュースと同じやつ(PEACH & ORANGE)でした。ねいるは、アイのこと大好きですね~



4 リカの愚痴とすれ違い

 誕生日を向かえたリカは、アイたちに、愚痴に付き合ってもらうと言って、おもむろに5枚の写真を出します。 

 千秋は、リカに父親は分からないと言っていますが、おそらく、誰がリカの父親か分かっていると思います。父親を慕うリカに教えたら、父親の下へ行き、自分を捨てて出ていくと恐れたのではないでしょうか。

 リカも、千秋が「パパに会わせたくない」ということには感づいています。ただ、会わせたくない理由が「私が幸せになるのが許せない」からと言います。親の心子知らずですね。幸せになって欲しくないと思っていたら、あんな手作り感が満載の誕生日ケーキを作れないですよ。


 桃恵は、「Fit Fat」という「KIT KAT」そっくりなお菓子を差し出しながら、千秋への愚痴が止まらないリカの話をカットします。
 拗ねるリカに対し、「味方だから言ってるの」という桃恵のセリフからは、桃恵の優しさと、リカのことを大事に思っていると感じました。

 それでも止まらないリカの愚痴に、桃恵は、「きっとお母さんにも事情があるんだよ...」と、この話を閉めようとしました。ところが、ねいるが「あなたの方も親を憎んでる?」と話を広げたので、桃恵は驚きます。きっと、ねいるのようなタイプは、桃恵の周りにいなかったんでしょうね。

 ねいるは、リカと千秋を「共依存」と評します。ド正論を前にして、リカは、怒って立ち去ります。ただ、ねいるは、全く悪気なく言っているので、リカの態度に驚きます。

 普段、空気を読んでうまく立ち回るリカですが、親のこととなると話は別です。身近すぎると、うまくいかないこともありますよね。

 ところで、アイやリカの家庭は、ある程度分かってきましたが、ねいると桃恵の家族の話をもう少し詳しく知りたいです。特に、桃恵は、母親のことを悪く言うリカを窘めたり、沢木先生を信頼していたり、家族への想いが強いので、是非知りたい。ねいるの両親は、すでに他界しているようですが...



5 母子かてーずの悩み

 飛び出して行ったリカを追いかけて、アイがリカの下へと来ます。アイは、リカに親の悪口に付き合うと言います。アイが学校へ行く本当の気持ちを知らないリカは、「ムリすんなよ」と言います。

 第7話のアイは、第6話のアイを前提にしている(当たり前)ので、ここで、第6話で「なぜアイが学校に行くと言ったのか」という話をしておきます。なお、第6話で、お風呂から沢木先生の腕にしがみ付くまでについては、第6話の感想をご覧ください。

 では、「なぜアイが学校に行くと言ったのか」についてですが、これは、アイなりの沢木先生への告白です。

 アイは、沢木先生に会いたいという想いだけで、会いに来ましたが、「好きです」とは言えません。なぜなら、初恋の初告白という時点でハードルが高いのに、相手が学校の先生で、年の差があって、しかも、母親と付き合おうとしているからです。小糸の件もありますしね。そら言えねーわ。

 好きとは言えない、でも想いは伝えたい、そんな葛藤の中で、アイは俯いていました。そんなとき、イケメン沢木先生の一言が「大戸さん、空、明るくて綺麗だよ」です!!俯いている女の子が顔を上げるのに、これほど的確な言葉があるでしょうか!イケメンとは、顔がいいだけでなく、相手が欲しい言葉を、適切なタイミングで、さらっと、言える男性をいうんでしょうね。

 この一言が後押しになり、アイは沢木先生の顔を、「両目」で見て、「学校に行きます!!」と告白できました。引きこもっていたら、沢木先生が来てくれないと会えないですし、家にいたら多恵がいます。アイにとって多恵は母親であると同時に、「恋のライバル」となりましたからね。当然、沢木先生とは二人きりで会いたいでしょう。小糸が現れる以前の放課後のように。


 ということで、アイにとって、多恵は「恋のライバル」となったので、むしろ悪口が言いたいのです。アイの「私だって色々あるよ」というセリフは、第6話を観ていないと分からないので、第6話は絶対に観ましょう。

 「私もママのこと今は嫌い」というアイのセリフは、リカに合わせたわけではなく、アイの本心です。アイの気持ちを知らないリカは、一瞬驚きつつも、アイが優しいので、自分に合わせてくれたと受け取ったはずです。



 リカは、ストレス発散として、バッティングセンターでバットを振ります。私の記憶では、90年代のドラマでは、この光景がよく見られました。本作の原案・脚本を担当する野島伸司さんがドラマの脚本を多く手掛けてこられたから、こういう遊びを入れたのでしょうか?
 ちなみに、私も、失恋したとき、バッセンに行くというトレンディドラマの主人公ごっこをしたことがありますwそういえば、アニメだと『SHIROBAKO』でも、行き詰ったときにバッセン行っていました。



6 ねいるの悩み

 母子かてーずが恋と家庭に悩んでいるとき、ねいるも、別の悩みを抱えていました。

 「私は女子社会に向いてないのかもしれない」「思ったことを口に出してしまう...合理的に正しいと思うことを...」と、ねいるは桃恵に吐露します。これは、今回だけの問題ではありません。間違いなく、妹との過去が関係していますね。ねいるは、妹にどんな言葉をかけたのでしょう?

 なお、ねいるの悩みですが、桃恵の言うように、そのままでいいと思います。「素直な気持ちや考えを、真っすぐ伝えられる」のが ねいるの良いところですからね。

 ただ、どんなに正しい事でも、それを発言すべきか否か、発言すべきとしたらどのタイミングなのか、どんな表現で伝えるべきか、と悩む必要があります。「悩み」は、人間を殺すこともありますが、人間を成長させることもあります。ねいるの悩みは、きっと、ねいるを成長させます。



7 新興宗教

 今回のワンダーキラーは、新興宗教の教祖です。8本の触手の先に注射器がついた「ムカデ」です。中の人繋がりの遊びもありますw

 エッグから出てきた女の子は、白装束で、左頬に火傷の跡と、右手にリスカ跡がある「志乃」です。おそらく、火傷は、一家心中をした際に負ったのでしょう。

 体の弱い母親、仕事が上手くいかない父親、志乃の一家は、ムカデの餌食に遭います。金も家も体も、全てムカデの思いのままになり、利用価値が無くなったらポイです。


 ムカデは、「一皮むけば同じなのに」と、以前のリカと同じこと(「一皮むけばヌメヌメよ。みーんな」)を言います(第3話参照)。


 当初、リカは、ムカデと志乃の言葉に耳を貸しませんでした。しかし、上記の通り、リカは家庭のことで悩んでいる最中でした。サポーターの下のアムカ(アームカット跡)を指摘され、志乃の大量のリスカ跡を見せられながら、「楽になれる」と言われます。次第に、ムカデと志乃の言葉に惑わされ、戦うことと、悩むことを放棄します。

 悩みは、ストレスを伴います。ストレスが一定量を超えた状態が続くと、人間は冷静な判断ができなくなり、普段なら簡単にできることもできなくなります。そんな時にムカデのような声に惑わされてしまう危険があります。これは誰にでも起こると思います。
 しかし、だからといって、悩むことを全て放棄してはいけないし、志乃のように他人に委ねることもしてはいけません。悩むことは、考えることに繋がります。考えることが人間の最大の武器です。

 

 リカがやられそうになるのを見て、アカは「一人失うか」と言い、裏アカは「(そ)のようなだな」と返答します。やはり、この2人にとって、リカたちの身がどうなってもいいようです。

 アカたちが見ていたゲーム画面も気になりました。卵マークの「31」は、これまでアイが助けた女の子の数でしょうか?見切れていましたが、ハートマークは何を意味しているのでしょうね?


 このリカのピンチを「万年」(亀)が助けます。母親(リカ)を助けようとする万年の姿を見て、リカは、「母親のピンチを救うのは子供」であることを教わります。



 戦闘後、リカは、志乃に自分が弱いと認めます。強さの第一歩は、自分の弱さを認めることです。リカの強さが輝いていました。

 「自分を傷つけてでも私は生きてやる!」弱さと強さを併せ持つリカらしい一言ですね。個人的に、第7話で最も好きなセリフが2つありますが、これがその1つです。


 生還したリカに駆け寄ってハグするアイ、グータッチしてハグする桃恵、「死なないで」と微笑む ねいる。いいシーンでした!!やっぱり、ねいるはそのままのねいるでいいんですよね。大事なことを真っすぐ伝えられるねいるは素敵な子です。なお、お気づきかと思いますが、このセリフが第7話で最も好きなセリフです。このセリフは、「自殺」を扱うワンエグにおいて、より重みが増します。



8 母子家庭(シングルマザー)

 第7話のアバン・Bパートのラストがリカと千秋のシーンでした。

 アバンではがっつり喧嘩していたけど、最後はリカが少し大人になりました。それを嬉しく思いつつ、寂しくも思う千秋。

 どうでもいいけど、「七宝山」のボトルキープの量がハンパなかったw千秋はお客さんからモテるんでしょうね。



 母子家庭(シングルマザー)についての考えも少し書きます。

 母子家庭(シングルマザー)とは、妻にとっては夫がいない、子供にとっては父親がいない家庭をいいます。一口に母子家庭といっても、法律上、2つに分けることができます。

 分類の基準は、既婚か否かです。つまり、①未婚でシングルマザーとなった場合と、②既婚後に離婚または死別した場合です。

 ②の場合は、税務上、控除を受けることができます。これにより、所得税・住民税の納税額が減少し、保育料や国民健康保険料も変わります。また、慰謝料、養育費および相続もあるかもしれません。要するに、②の方が経済的な負担が圧倒的に軽減されます。これに対し、①には、行政上、民事上の支援があまりに手薄と言わざるを得ません。

 リカの家庭は、①の未婚のシングルマザーかなと感じました。他方、アイの家庭は、離婚に言及しているので、②の既婚のシングルマザーですね。


 経済的な援助さえしておけばいいわけではないですけどね。

 子供からすると、周りの友達となんで違うんだろうとか、自分のことが嫌いだからいなくなっちゃったのかなとか、悩んでしまいます。そんな子を見て、母親も悩みます。これは、父子家庭でも同様です。

 母子家庭(シングルマザー)に対して、もう少し、優しい世の中になって欲しいな。



9 おわりに

 一言でいうと、第7話は、リカのことが大好きになる回でした!

 大人嫌いなリカだからこそ、いい大人になって欲しいです。

 ということで、最後までお付き合いいただきありがとうございました!!

 また次回お会いしましょう。

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